某美人人妻からカーネーション手ぬぐいを贈ってもらったのだが、「うわっ。もしかして彼女は俺に気があるんじゃないの?糸子みたいに『最後に言わして下さい。好きでした』とか言われたらどうしよう。俺は周防のように禁断の恋に走っちゃうのかっ!そんでもって、三浦に『はずれても、踏みとどまっても、人の道』などと言われてしまうの!?」と考えをめぐらせ、ムラムラしたり(性的に興奮している様子)、ヤマヤマしたり(やましいことを考えている様子)、アヤアヤしたり(慌てふためいている様子)している当方が、NHK朝の連続テレビ小説『カーネーション』の第101回目の放送を見ましたよ。
1955年(昭和30年)9月。
優子(新山千春)は大阪の洋裁専門学校へ熱心に通っている。朝は妹たちよりも早く起き、機嫌よく身支度を整えて出かけていく。周囲の人々はみな、優子をオハラ洋裁店の跡取りだと認めチヤホヤしている。
ただし、糸子(尾野真千子)だけは優子にその気があるのか半信半疑だったが、表面上は強く後押ししていた。優子が学校の課題について糸子に相談すると、糸子も親身に対応してやるのだった。
周囲がそろって優子をもてはやす様子を、直子(川崎亜沙美)だけは苦々しく眺めていた。
9月14日、だんじり祭が開催された。
戦争が終わって10年経ち、男たちも街に戻ってきた。そのおかげで、祭りも往年の勇壮さを取り戻していた。女性でもだんじりを曳くことができるようになったので、直子と聡子(村崎真彩)は装束に身を包み朝早くから出かけていった。糸子も楽しげにふたりを見送った。
夜は小原家で宴会が催された。
人々が盛り上がる中、優子が糸子の前に進みでた。そして、みんなが聞いている中で、東京へ勉強に行きたいと言い出した。洋裁学校の先生が優子の才能を認め、東京の有名な先生を紹介してくれたという。先生にスタイル画を送ったところ大いに評価され、ぜひとも上京しろと招かれたのだ。
優子は自分の描いたスタイル画を披露した。それは糸子も息を呑むほどの出来栄えだった。糸子は優子の眼差しの中に、これまでにはなかった輝きを見た。本気で自分の人生を切り拓こうとし、熱心に頼み込む優子の姿を、ついに糸子は認めた。糸子は無言で頷き、それで優子の東京行きが決まった。
その出来事で、宴会はますます盛り上がった。人々は優子のことを祝福した。優子も泣いて喜んだ。
しかし、その騒ぎとは裏腹に、直子だけは少しも面白くなかった。
優子が出発する日の朝、彼女はふたりの妹に別れを告げていた。ふたりで力をあわせて母を助けることを言って聞かせた。また、将来の跡継ぎは自分が引き受けるから、妹たちは自由に自分の人生を歩めと励ますのだった。
聡子は、自分の大好きなテニスに打ち込むことを約束し、姉の優しさに感謝した。
一方、直子は優子の話を聞き流して、絵ばかり描いていた。
いよいよ出発という段になって、優子は母に買ってもらったバッグを東京行きの荷物の中にしまい込んでしまったことに気づいた。他に鞄を持っていないために難儀してしまった。
すると、
バッグを送る荷物に入れてしまった。
松田(六角精児)が、居間に放り投げられていた赤いバッグを見つけてきた。それは、糸子が直子の中学卒業祝いとして贈ったものだった。
居間に落ちていたということで、直子がそのバッグに興味を失っているだろうことは誰の目にも明らかだった。そこで、優子はそれを持って出かけることにした。
ところが、自分のバッグを無断で持ち出されたことに気づいた直子は、道を追いかけて優子に組みかかった。優子を地面に押し倒し、バッグを力づくで奪おうとした。それを返すまいとする優子との間で揉み合いになった。糸子が止めに入っても、なかなか収まらなかった。
結局、バッグを直子に返し、優子は昌子(玄覺悠子)が店の奥から見つけてきた古臭い手提げ鞄を持って旅立つことになった。
優子が去っていくのを、直子だけは見送らなかった。部屋で赤いバッグを抱きしめて泣いていた。
周囲の者は誰一人として、糸子も含めて、直子の悔しい気持ちには全く気付こうともしなかった。
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