NHK『カーネーション』第7回

尾野真千子に関しては、先週の土曜スタジオパークにゲスト出演した時の様子(出演情報;ビデオあり)やtwitterの投稿を見て、「オーラが全くなくてマイペースなところが、かえって大物のオーラ感を醸し出してるよな」と思ったり、思わなかったりしている当方が、NHK朝の連続テレビ小説『カーネーション』の第7回目の放送を見ましたよ。

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第2週「運命を開く」

女学校へ通っている糸子(尾野真千子)は友だちも作らず、休み時間も裁縫のことばかり考えている。裁縫の授業も週に4回あるが、初歩的なことばかりで、糸子はその授業に身が入らない。自宅で好きなだけ裁縫をしようと思っても、授業は午後遅くまであるし、宿題もたくさん出るので、なかなか時間を割けない。

家の呉服屋の商売はあいかわらず不景気だった。なかば自棄になった父・善作(小林薫)は、謡教室を始めた。弟子も数人集まり盛況であった。善作は稽古の場で着物も売りつける算段であったが、そっちの方はからっきしであった。そのかわり、謡教室の月謝でいくらか家計が助かった。
けれども、糸子の女学校の学費や、さらに3人の妹たちの学費のことを考えると、依然として家計は苦しいのだった。

善作が集金を苦手にしているのも変わっておらず、今ではほぼ全ての集金を糸子に任せていた。女学校進学後、ただでさえ裁縫の時間が減ったことを不満に思っている糸子であったが、父の命令には逆らえるはずもなかった。今日は隣町への集金を命じられたので、いつもより余計に時間がかかることとなった。

初めての集金先で、糸子は少し道に迷った。
しかし、ふと覗いたパッチ屋の奥に、見たことのない機械を見つけた。何をするものかわからないまま見つめていると、職人がそれを操作し始めた。すると、あっという間にきれいに布が縫い合わされてしまった。

ミシンに初めて出会った糸子は強いショックを受けた。そして、それがまるでだんじりのようだと思った。自分が乗るべきだんじりは、あの機械なのだと思うのだった。

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『コドモのコドモ』

オトナのための性教育ビデオですかね、これは。

小学5年生の女の子(甘利はるな)が、妊娠・出産するというお話。
父親は、幼なじみで同級生の男の子(川村悠椰)。性に関する知識を全く持っていなかったふたりが、わけもわからず遊びの延長上で性交して妊娠するという流れ。あまりにあまりな設定だが、小学5年生ならば初潮・精通も終わっていて不思議ではない年頃なので、生物学的にはアリなお話だろう。
妊娠の事実はクラスメイトたちには知られることとなったが、大人達には一切秘密にされた。それでも胎児は時間と共に成長していき、主人公は破水してしまう。大人達の助けなしに小学生たちだけで出産に挑む。それもどうかというストーリーだが、駅のトイレで一人で出産してそのまま乳児を遺棄するというニュースもたまに聞こえてきたりするので(あんまりいいたとええじゃないけど)、まぁアリっちゃアリなお話しなのかもしれない。

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NHK『カーネーション』第6回

「俺のライバルは『5分でカーネーション』というネットで見れちゃう公式ダイジェスト映像だ(第1週)」とひとりごちている当方が、NHK朝の連続テレビ小説『カーネーション』の第6回目の放送を見ましたよ。

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第1週「あこがれ」

糸子(二宮星)は、神戸の祖母(十朱幸代)からもらったドレスを近所のおばさん連中に見せびらかした。おばさん達は初めて目にする派手なドレスをからかいながらも、とてもきれいだと褒めてもくれた。
隣の履物屋の女将が、洋服の一種だといってアッパッパ(近畿地方の方言で、木綿製の簡易なワンピース。Wikipediaで調べる)を見せてくれた。そのアッパッパは自作の物だと言い、糸子にも自分で縫ってみるよう勧めた。

早速家に帰った糸子は、祖母(正司照枝)に余り布を見せてもらった。地肌にあう生地、羽織にあう生地など、素材の違いを簡単に教えてもらった。糸子は、生まれて初めて、生地が面白いものだと思った。

糸子は、さらしの生地をもらった。それは古くて黄ばんだものだったが、初めての布地がうれしくて、熱中して縫い物を始めた。母(麻生祐未)に声をかけられても聞こえず、食事も睡眠もそっちのけで、アッパッパの作製にのめり込んだ。

多少の難点はあったが、初めてのアッパッパが完成した。自分で着用し家族に披露したところ、みんながたいそう褒めてくれた。父(小林薫)も、将来有望だ、店の着物も糸子に縫わせよう、などと大はしゃぎであった。
糸子は嬉しかった。それからは、男子と喧嘩することもめっきりなくなり、学校が終わるや否や帰宅し、裁縫に明け暮れた。

しかし、ひとつだけ不満だったのは、岸和田のあたりでは洋服を着る人がまだほとんどいなかったことである。

昭和2年(1927年)。
糸子(尾野真千子)は成長し、女学生になっていた。ただし、おてんばなところは相変わらずだった。朝寝坊をし、台所で立ちながら飯をかっこみ、猛ダッシュで学校に向かった。

けれども、ひとつだけ変わったことがある。だんじりは今でも大好きだが、「大工方になりたい」とはもう思わないようになっていた。

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NHK『カーネーション』第5回

「関西に長く住みすぎたな。気がつけば、関西弁を喋らない女の子にはトキめかなくなってしまっている」とひとりごちている当方が、NHK朝の連続テレビ小説『カーネーション』の第5回目の放送を見ましたよ。

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第1週「あこがれ」

糸子(二宮星)は、自分が女に生まれたこと、そして、その事によって自由が奪われている現実から、どうしようもない無力感に苛まれていた。

学校の帰り道、だんじりの倉庫の扉が開いていることに気付いた。忍び込んだところを泰蔵(須賀貴匡)に見つかってしまったが、彼は糸子のしたいようにさせてくれた。そこで、糸子はだんじりの屋根に乗ってみた。
しかし、糸子の気分は少しもよくならなかった。あんなに登ってみたいと思っていただんじりの屋根なのに、うす暗い倉庫の中で一人で乘ってみても、思っていたほどには興奮しないのだった。気がすんだか?という泰蔵の言葉にも、力なく首を振って去っていくのみだった。

家に帰っても、糸子は塞ぎこんだままだった。父・善作(小林薫)もさすがに糸子のことが心配になり、糸子に手を上げたことを後悔する素振りを見せた。ところが反省もつかの間、母・千代(麻生祐未)に責任転嫁し、千代がしっかりしていないから糸子がおかしくなるのだと、がなりたてはじめた。

その父の怒鳴り声を聞いて、糸子はますます自分が女である事が嫌になった。このまま大人になっても、一日中家に篭り、夫に叱られてばかりなのだと思うと失望した。

その時、神戸の祖母・貞子(十朱幸代)から小包が届いた。知り合いの外国人からおみやげに貰ったという、ピンクのかわいらしいドレスを送ってよこしたのだ。ちょうど、ドレスの絵を描いて妹たち(荒田悠良村上凜花田鼓)に見せてやっているところであり、糸子は思いがけない贈り物に有頂天になった。喜び勇んで、父や祖母・ハル(正司照枝)に見せに行った。家族はみんなが明るくなった。

しかし、貞子は寸法を知らずに送ってきたため、そのドレスは糸子には小さすぎた。そのため、次女の静子に着せられることとなった。糸子は少しも面白くなかった。3人の妹たちは、成長に連れて順にそのドレスを着る機会が訪れる。しかし、糸子だけは着るチャンスが全くないのだ。

糸子は、だんじりの大工方などの役割は、女である限り手に入らないと諦めていた。しかし、ドレスならば、女の自分でもいつかは着ることができるかもしれない。そう考えると、少しだけワクワクしてきた。

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NHK『カーネーション』第4回

「ネットでの評判を見ると、同じ関西弁でも岸和田と神戸の方言が使い分けられているらしいが、俺には聞き分けられねぇや」とひとりごちている当方が、NHK朝の連続テレビ小説『カーネーション』の第4回目の放送を見ましたよ。

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第1週「あこがれ」

糸子(二宮星)は神戸の洋館で見た外国人達の着物のことが忘れられなくなった。岸和田へ帰宅してからも、ずっと夢うつつだった。
料理屋の娘の奈津(高須瑠香)に話したところ、「ドレス」という言葉を教えてもらった。

父・善作(小林薫)は、押しの弱い自分の代わりに、またしても糸子を集金に行かせた。しかし、だんご屋の主人は子供が相手だと思って、やはり代金を支払おうとはしなかった。一方の糸子は、金をもらうまでは絶対に店先から動かない覚悟だった。

そうして粘っていると、幼なじみの勘助(吉岡竜輝)ら悪ガキたちがだんごを買いに来た。彼らはだんご1本分の金で2本のだんごを持って逃げた。店を離れられない主人に代わって、糸子が彼らを追いかけ、だんごを取り返した。
糸子の行動に感謝と根負けをした主人は代金を支払ってくれた。

金を持って帰る途中、糸子は人数の増えた悪ガキたちに取り囲まれた。だんごの仕返しをするために集まったのだ。初めは相手にする気のなかった糸子であったが、「女だからといって容赦しない」などと自分の性別について言及されたことに堪忍袋の緒が切れた。河原でガキ大将と取っ組み合いの喧嘩を始めた。

喧嘩は糸子の優勢だった。しかし、川の中でもみ合っているうちに、集金したばかりの金が流れてしまった。それを取り戻そうとしたが、ついに糸子も溺れて流されてしまった。
その時、たまたま騒ぎを聞きつけた大工(かつ、勘助の自慢の兄)の泰蔵(須賀貴匡)が川に飛び込んで糸子を救助してくれた。金は失ってしまったが、全員身体は無事だった。

家に帰ると、糸子は父に金を失ったことを謝った。
善作は金のことは何も言わなかった。その代わり、女が男に張り合ったことについて、怒鳴り声と張り手で叱責した。女が男に敵うはずがないというのが、善作の一貫した態度なのである。

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NHK『カーネーション』第3回

「確かに、二宮星&小林薫の『じゃりン子チエ』実写版は見てみたいな」とひとりごちている当方が、NHK朝の連続テレビ小説『カーネーション』の第3回目の放送を見ましたよ。

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第1週「あこがれ」

父・善作(小林薫)に頼まれ、料理店・吉田屋へ集金に来た糸子(二宮星)。しかし、吉田屋の主人(鍋島浩)は翌日払うと言って、支払いに応じない。

糸子は、吉田屋の玄関の前にうずくまり、来店客の前で泣き真似を始めた。集金できなければご飯がもらえないと訴え、客の同情を引く作戦だった。その策は成功し、客たちは糸子の味方になって主人を説得してくれた。いつまでも店の前に居られても困るため、主人はしぶしぶと着物の代金を支払った。

ことの成り行きを心配していた善作であったが、糸子が金を持って帰ってくると大喜びした。父が自分の首尾を褒めてくれたことで、糸子も嬉しくなった。
父は、糸子が男の子だったらどんなに良かっただろうかと話し始めた。一人前の商売人として、自分の片腕として、しっかりと教育を施し、店をもっと大きくできただろうにと想像するのだった。
糸子も全くその通りだと思った。だから、自分は女だけれど、一人前の商売人になることができると胸を張って答えた。しかし、その途端に父の態度が変わった。女の役割は自分で商売をすることではなく、良い所に嫁いで夫に仕えることなであると諭すのだった。そう言われて、糸子も不機嫌になるのだった。

大正14年(1925年)の正月になった。
糸子は、母・千代(麻生祐未)に連れられ、神戸にある母方の実家を訪ねた。祖父母の家は金持ちであり、家が大きく、おせち料理も豪華で、調度品も立派なものであった。

実は、千代は年始の挨拶にかこつけて、実父の清三郎(宝田明)に金の無心に来たのだ。善作の商売下手や不景気のせいもあり、問屋への支払いに窮していると白状した。
清三郎は、商売の責任者である善作が説明に来ないことに腹を立てた。そして、その矛先は千代に向かった。千代がおっとりしすぎて油断しているから夫がつけあがるのだと小言を始めた。さらには、そもそも善作との結婚には賛成していなかった、駆け落ち同然だったから止める間もなかったと言ってへそを曲げてしまった。

その頃、糸子はイトコの勇(大八木凱斗)に外国の珍しい調度品を見せてもらっていた。しかし、タイタニック号の模型や地球儀などにはまったく興味を持つことができなかった。注意が散漫になってあちこち見回しているうちに、糸子は陶器の人形に目を留めた。それは、糸子が見たことも想像したこともなかったような、美しい衣服を着けた人形だった。

糸子がドレスに興味を抱いたことを知った勇は、彼女をある洋館に連れて行った。こっそりと忍び込んで大広間を覗くと、そこでは大勢の外国人が盛装してパーティーを行なっていた。糸子は女性たちのドレスに目が釘付けになってしまった。
ふたりの侵入は、パーティーの出席者たちにすぐに見つかってしまった。けれども、叱られることも追い出されることもなく、むしろ歓迎されてしまった。ふたりは外国人の紳士淑女たちと手をつないで踊るのだった。

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NHK『カーネーション』第2回

「あ、俺の尾野真千子数は2だわ」(俺 → [どさんこワイド212/1994年] → 木村洋二 → [Mother/2010年] → 尾野真千子)とひとりごちている当方が、NHK朝の連続テレビ小説『カーネーション』の第2回目の放送を見ましたよ。

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第1週「あこがれ」

尋常小学校の授業で、自分の名前の由来を発表することになった。糸子(二宮星)とは、家が呉服屋のこともあり、糸で一生食べていけるようにという願いが込められているという。それを聞いた先生(桂茶がま)は、良い婿をもらい、家業を盛りたてることが糸子の生きる道だと言って聞かせた。

しかし、糸子自身はそういった仕事にまったく興味がなかった。自分は大工になって、だんじりの屋根に登る役を努めたいとみんなの前で発表するのだった。
「女のくせに男の仕事をやりたがっている」と言っては、教室中が爆笑した。先生も、「常に男の一歩後に付き、男を引き立てるのが女の役割だ」と叱った。承知できない糸子が食って掛かるも、先生は女とはそういうものだの一点張りで、取り合ってもらえなかった。

続いて、吉田奈津(高須瑠香)の名前の由来が発表された。彼女の生家は大きな料理屋である。歴代の女将の名には「津」の字がついており、奈津もそれに倣ったという。奈津本人も、将来は立派な女将になって婿を取り、その男を立派な料理人にして差し上げるのが夢なのだと語った。

その頃、糸子の父・善作(小林薫)は仕事がうまく行かなくてむしゃくしゃしていた。不景気なせいもあるが、善作は元来の商売下手なのだ。気に入った反物がないという客に対して、何か細々したものでも売りつければいいものの、それができずに手ぶらで帰してしまう。集金に出かけても、のらりくらりとかわされて、思うように取り立てができない。家父長として、家の中ではそれなりの扱いを受けているが、祖母・ ハル(正司照枝)には陰に陽に悪口を言われている。

集金に困った善作は、糸子を使いに遣ることにした。子供が来れば、相手も情にほだされて、つい支払ってしまうだろうという算段だ。以前からちょくちょくこの作戦を使っており、糸子自身も喜んでその役をこなしている。

今日の集金先は、奈津の家の料理屋だという。父によれば、吉田屋の主人は手強いので、頭を使って立ち回らねばならないという。糸子は自分に任せておけと、自信満々で出かけていった。

吉田屋では、奈津が取り付いだ。ところが、奈津の父が「明日来いと言っている」とのことで門前払いされてしまった。しかし、それしきのことで手ぶらで帰る糸子ではなかった。

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NHK『カーネーション』第1回

「半年ぶりに、俺の根性試しがはじまるぜ」とひとりごちている当方が、NHK朝の連続テレビ小説『カーネーション』の第1回目の放送を見ましたよ。

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第1週「あこがれ」

大正13年(1924年)9月、大阪府岸和田市。
早朝にも関わらず、街中の男たちが続々と集まってくる。今日は岸和田の名物、だんじりの日だ。男はだんじりを曳く役割、女はごちそう作りと朝から大忙しである。

いつもは朝寝坊の小原糸子(二宮星)もぱっちりと目を覚ました。糸子もこの日を楽しみにしていたのだ。出かけていく父・善作(小林薫)を大はしゃぎで送り出した。

近所の髪結い・安岡玉枝(濱田マリ)が小原家を訪ねてきた。一緒にだんじり見物をしたいと言うのだ。安岡家の長男・泰蔵(須賀貴匡)は、今日のだんじりで大工方を務める。大工方とはだんじりの屋根の上から合図を出す役割である。もっとも目立ってかっこいい役であるが、同時に危険もつきまとう。失敗して恥を欠いたり、怪我をしたりするのではないかと、玉枝は心配でならない。

玉江は、次男の勘助(吉岡竜輝)を連れていた。勘助は糸子と同じ尋常小学校5年生であるが、ふたりはあまり仲良くしようとしない。勘助は糸子を自分の格下だと思っている。一方の糸子も勝気な性格であり、弱虫のくせにすぐに威張ろうとする勘助のことが気にくわない。ふたりはいつも喧嘩ばかりしている。
それでも、だんじりがやって来ると、ふたりは揃って声援を送った。だんじりが大好きな気持ちは同じだった。

大工方の泰蔵は、完璧に役割をこなした。夜には、小原家にみんなが集まって宴会となった。糸子の祖母・ハル(正司照枝)と母・千代(麻生祐未)が腕によりをかけて作った料理も大好評だった。

夜の余興として、子供たちもだんじりを曳かせてもらった。ただし、だんじりに登ることを許されたのは男の子だけで、女の子は良くても綱を曳く係だけだった。糸子は自分も大工方になりたいと願ったが、しきたりでそれは許されないのだ。勘助からも、女には無理だと言われ、頭に来て彼をつねってやった。

だんじりの翌日、街も人も日常に戻った。
昨日は早起きした糸子であったが、今日は家中の誰よりも寝坊した。昨日はあんなにたくさんのごちそうがあったのに、今日は白米とメザシだけの食事だ。昨日は一日中機嫌の良かった父なのに、行儀の悪い糸子のことを今日は朝から怒鳴りちらしている。

学校では、男子たちがカエルをいじめていた。糸子はそれを助け、逆に男子たちを追い掛け回した。
その様子を、離れたところから呆れた顔で眺めていた少女がいた。街で一番の料理屋の娘の吉田奈津(高須瑠香)である。粗暴な糸子と違って、彼女はおしとやかで、通学にも日傘をさしている。
奈津は毎日違う着物で学校へやって来る。呉服屋の娘である糸子ですら、毎日同じ着物だというのに。

下校途中、だんじりで大工方を務めた泰蔵とすれ違った。奈津は恋する娘のまなざしで彼を見つめた。一方の糸子は、自分もだんじりに参加したいと、そればかり考えていた。

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映画『ソーシャル・ネットワーク』を見た

世界最大のSNS Facebookを作った学生たちの友情と確執を描いた作品。デヴィッド・フィンチャー監督、ジェシー・アイゼンバーグ主演、2010年作品。

主人公のマーク・ザッカーバーグは、他人の感情に注意が向かず、不適切な言葉を投げかけては人を不快にさせる。人付き合いのヘタクソなコンピュータ・オタクなのだが、彼のテクニックと独創性は一流だった(実際に Facebook を創り上げたことだし)。
ある日、数少ない友人の一人であり、唯一の恋人(まぁ、恋人は通常唯一であるべきだが)にまでヒドイことを言ってしまい、フラれてしまう。その腹いせもあり、マークはネット上でのコミュニティサイトの作成にのめり込んでいく。
少しずつプロジェクトに協力する仲間も増えてきた。しかし、プロジェクトが大きくなるに連れて、組織の内外に嫉妬や方向性の相違が生まれ、マークは孤立していく。

そんなお話。

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映画『探偵はBARにいる』を見た

大泉洋が、札幌ススキノの便利屋<俺>を演じる映画『探偵はBARにいる』を見てきた。

原作は東直己『バーにかかってきた電話』。2011年現在、11作ほど出ている<俺>シリーズの2作目だ。
僕はこのシリーズが大好きでほとんど読んでいる(文庫で追いかけているので、単行本で出ている最新作だけは読んでいない)。僕は札幌の街が大好きだから、そこが舞台になっているシリーズも自然に気に入る。著者も札幌在住で、文中に出てくる流暢で正確な北海道弁にも好感が持てる。ススキノを根城にする主人公は、ニヒルな伊達者なのだが、たまに抜けているところもある。なかなか味わい深いキャラクターだ。

大好きなシリーズの映画化とあっては、当然楽しみになる。主人公を演じるのが、今や北海道を象徴する俳優の大泉洋であるということでも期待は高まる。そして、今回の映画の原作になっている『バーにかかってきた電話』はシリーズの中でもお気に入りの一つだ。

原作が大好きなだけに、映像化に対しては少々警戒もしていた。
しかし、先週の公開以来、ネット上の評判をいくつか拾い読みしたところ、いずれも上々の評価だった。
だから、期待に胸ふくらませて見に行った。

僕が見たのTOHOシネマズ海老名で、水曜日の昼の回だった。スクリーン1というかなり大きなスクリーンだったのだが、観客は半分以上は入っていたようだ。なかなかの入りだと思う。ただ、毎月14日はTOHOシネマズのサービスデイで、料金が一律1000円である。そのせいで通常よりも混んでいた可能性もあるが、それを差し引いても人気なのではないかと思う。

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