NHK『カーネーション』第5回

「関西に長く住みすぎたな。気がつけば、関西弁を喋らない女の子にはトキめかなくなってしまっている」とひとりごちている当方が、NHK朝の連続テレビ小説『カーネーション』の第5回目の放送を見ましたよ。

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第1週「あこがれ」

糸子(二宮星)は、自分が女に生まれたこと、そして、その事によって自由が奪われている現実から、どうしようもない無力感に苛まれていた。

学校の帰り道、だんじりの倉庫の扉が開いていることに気付いた。忍び込んだところを泰蔵(須賀貴匡)に見つかってしまったが、彼は糸子のしたいようにさせてくれた。そこで、糸子はだんじりの屋根に乗ってみた。
しかし、糸子の気分は少しもよくならなかった。あんなに登ってみたいと思っていただんじりの屋根なのに、うす暗い倉庫の中で一人で乘ってみても、思っていたほどには興奮しないのだった。気がすんだか?という泰蔵の言葉にも、力なく首を振って去っていくのみだった。

家に帰っても、糸子は塞ぎこんだままだった。父・善作(小林薫)もさすがに糸子のことが心配になり、糸子に手を上げたことを後悔する素振りを見せた。ところが反省もつかの間、母・千代(麻生祐未)に責任転嫁し、千代がしっかりしていないから糸子がおかしくなるのだと、がなりたてはじめた。

その父の怒鳴り声を聞いて、糸子はますます自分が女である事が嫌になった。このまま大人になっても、一日中家に篭り、夫に叱られてばかりなのだと思うと失望した。

その時、神戸の祖母・貞子(十朱幸代)から小包が届いた。知り合いの外国人からおみやげに貰ったという、ピンクのかわいらしいドレスを送ってよこしたのだ。ちょうど、ドレスの絵を描いて妹たち(荒田悠良村上凜花田鼓)に見せてやっているところであり、糸子は思いがけない贈り物に有頂天になった。喜び勇んで、父や祖母・ハル(正司照枝)に見せに行った。家族はみんなが明るくなった。

しかし、貞子は寸法を知らずに送ってきたため、そのドレスは糸子には小さすぎた。そのため、次女の静子に着せられることとなった。糸子は少しも面白くなかった。3人の妹たちは、成長に連れて順にそのドレスを着る機会が訪れる。しかし、糸子だけは着るチャンスが全くないのだ。

糸子は、だんじりの大工方などの役割は、女である限り手に入らないと諦めていた。しかし、ドレスならば、女の自分でもいつかは着ることができるかもしれない。そう考えると、少しだけワクワクしてきた。

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NHK『カーネーション』第4回

「ネットでの評判を見ると、同じ関西弁でも岸和田と神戸の方言が使い分けられているらしいが、俺には聞き分けられねぇや」とひとりごちている当方が、NHK朝の連続テレビ小説『カーネーション』の第4回目の放送を見ましたよ。

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第1週「あこがれ」

糸子(二宮星)は神戸の洋館で見た外国人達の着物のことが忘れられなくなった。岸和田へ帰宅してからも、ずっと夢うつつだった。
料理屋の娘の奈津(高須瑠香)に話したところ、「ドレス」という言葉を教えてもらった。

父・善作(小林薫)は、押しの弱い自分の代わりに、またしても糸子を集金に行かせた。しかし、だんご屋の主人は子供が相手だと思って、やはり代金を支払おうとはしなかった。一方の糸子は、金をもらうまでは絶対に店先から動かない覚悟だった。

そうして粘っていると、幼なじみの勘助(吉岡竜輝)ら悪ガキたちがだんごを買いに来た。彼らはだんご1本分の金で2本のだんごを持って逃げた。店を離れられない主人に代わって、糸子が彼らを追いかけ、だんごを取り返した。
糸子の行動に感謝と根負けをした主人は代金を支払ってくれた。

金を持って帰る途中、糸子は人数の増えた悪ガキたちに取り囲まれた。だんごの仕返しをするために集まったのだ。初めは相手にする気のなかった糸子であったが、「女だからといって容赦しない」などと自分の性別について言及されたことに堪忍袋の緒が切れた。河原でガキ大将と取っ組み合いの喧嘩を始めた。

喧嘩は糸子の優勢だった。しかし、川の中でもみ合っているうちに、集金したばかりの金が流れてしまった。それを取り戻そうとしたが、ついに糸子も溺れて流されてしまった。
その時、たまたま騒ぎを聞きつけた大工(かつ、勘助の自慢の兄)の泰蔵(須賀貴匡)が川に飛び込んで糸子を救助してくれた。金は失ってしまったが、全員身体は無事だった。

家に帰ると、糸子は父に金を失ったことを謝った。
善作は金のことは何も言わなかった。その代わり、女が男に張り合ったことについて、怒鳴り声と張り手で叱責した。女が男に敵うはずがないというのが、善作の一貫した態度なのである。

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NHK『カーネーション』第3回

「確かに、二宮星&小林薫の『じゃりン子チエ』実写版は見てみたいな」とひとりごちている当方が、NHK朝の連続テレビ小説『カーネーション』の第3回目の放送を見ましたよ。

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第1週「あこがれ」

父・善作(小林薫)に頼まれ、料理店・吉田屋へ集金に来た糸子(二宮星)。しかし、吉田屋の主人(鍋島浩)は翌日払うと言って、支払いに応じない。

糸子は、吉田屋の玄関の前にうずくまり、来店客の前で泣き真似を始めた。集金できなければご飯がもらえないと訴え、客の同情を引く作戦だった。その策は成功し、客たちは糸子の味方になって主人を説得してくれた。いつまでも店の前に居られても困るため、主人はしぶしぶと着物の代金を支払った。

ことの成り行きを心配していた善作であったが、糸子が金を持って帰ってくると大喜びした。父が自分の首尾を褒めてくれたことで、糸子も嬉しくなった。
父は、糸子が男の子だったらどんなに良かっただろうかと話し始めた。一人前の商売人として、自分の片腕として、しっかりと教育を施し、店をもっと大きくできただろうにと想像するのだった。
糸子も全くその通りだと思った。だから、自分は女だけれど、一人前の商売人になることができると胸を張って答えた。しかし、その途端に父の態度が変わった。女の役割は自分で商売をすることではなく、良い所に嫁いで夫に仕えることなであると諭すのだった。そう言われて、糸子も不機嫌になるのだった。

大正14年(1925年)の正月になった。
糸子は、母・千代(麻生祐未)に連れられ、神戸にある母方の実家を訪ねた。祖父母の家は金持ちであり、家が大きく、おせち料理も豪華で、調度品も立派なものであった。

実は、千代は年始の挨拶にかこつけて、実父の清三郎(宝田明)に金の無心に来たのだ。善作の商売下手や不景気のせいもあり、問屋への支払いに窮していると白状した。
清三郎は、商売の責任者である善作が説明に来ないことに腹を立てた。そして、その矛先は千代に向かった。千代がおっとりしすぎて油断しているから夫がつけあがるのだと小言を始めた。さらには、そもそも善作との結婚には賛成していなかった、駆け落ち同然だったから止める間もなかったと言ってへそを曲げてしまった。

その頃、糸子はイトコの勇(大八木凱斗)に外国の珍しい調度品を見せてもらっていた。しかし、タイタニック号の模型や地球儀などにはまったく興味を持つことができなかった。注意が散漫になってあちこち見回しているうちに、糸子は陶器の人形に目を留めた。それは、糸子が見たことも想像したこともなかったような、美しい衣服を着けた人形だった。

糸子がドレスに興味を抱いたことを知った勇は、彼女をある洋館に連れて行った。こっそりと忍び込んで大広間を覗くと、そこでは大勢の外国人が盛装してパーティーを行なっていた。糸子は女性たちのドレスに目が釘付けになってしまった。
ふたりの侵入は、パーティーの出席者たちにすぐに見つかってしまった。けれども、叱られることも追い出されることもなく、むしろ歓迎されてしまった。ふたりは外国人の紳士淑女たちと手をつないで踊るのだった。

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NHK『カーネーション』第2回

「あ、俺の尾野真千子数は2だわ」(俺 → [どさんこワイド212/1994年] → 木村洋二 → [Mother/2010年] → 尾野真千子)とひとりごちている当方が、NHK朝の連続テレビ小説『カーネーション』の第2回目の放送を見ましたよ。

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第1週「あこがれ」

尋常小学校の授業で、自分の名前の由来を発表することになった。糸子(二宮星)とは、家が呉服屋のこともあり、糸で一生食べていけるようにという願いが込められているという。それを聞いた先生(桂茶がま)は、良い婿をもらい、家業を盛りたてることが糸子の生きる道だと言って聞かせた。

しかし、糸子自身はそういった仕事にまったく興味がなかった。自分は大工になって、だんじりの屋根に登る役を努めたいとみんなの前で発表するのだった。
「女のくせに男の仕事をやりたがっている」と言っては、教室中が爆笑した。先生も、「常に男の一歩後に付き、男を引き立てるのが女の役割だ」と叱った。承知できない糸子が食って掛かるも、先生は女とはそういうものだの一点張りで、取り合ってもらえなかった。

続いて、吉田奈津(高須瑠香)の名前の由来が発表された。彼女の生家は大きな料理屋である。歴代の女将の名には「津」の字がついており、奈津もそれに倣ったという。奈津本人も、将来は立派な女将になって婿を取り、その男を立派な料理人にして差し上げるのが夢なのだと語った。

その頃、糸子の父・善作(小林薫)は仕事がうまく行かなくてむしゃくしゃしていた。不景気なせいもあるが、善作は元来の商売下手なのだ。気に入った反物がないという客に対して、何か細々したものでも売りつければいいものの、それができずに手ぶらで帰してしまう。集金に出かけても、のらりくらりとかわされて、思うように取り立てができない。家父長として、家の中ではそれなりの扱いを受けているが、祖母・ ハル(正司照枝)には陰に陽に悪口を言われている。

集金に困った善作は、糸子を使いに遣ることにした。子供が来れば、相手も情にほだされて、つい支払ってしまうだろうという算段だ。以前からちょくちょくこの作戦を使っており、糸子自身も喜んでその役をこなしている。

今日の集金先は、奈津の家の料理屋だという。父によれば、吉田屋の主人は手強いので、頭を使って立ち回らねばならないという。糸子は自分に任せておけと、自信満々で出かけていった。

吉田屋では、奈津が取り付いだ。ところが、奈津の父が「明日来いと言っている」とのことで門前払いされてしまった。しかし、それしきのことで手ぶらで帰る糸子ではなかった。

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NHK『カーネーション』第1回

「半年ぶりに、俺の根性試しがはじまるぜ」とひとりごちている当方が、NHK朝の連続テレビ小説『カーネーション』の第1回目の放送を見ましたよ。

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第1週「あこがれ」

大正13年(1924年)9月、大阪府岸和田市。
早朝にも関わらず、街中の男たちが続々と集まってくる。今日は岸和田の名物、だんじりの日だ。男はだんじりを曳く役割、女はごちそう作りと朝から大忙しである。

いつもは朝寝坊の小原糸子(二宮星)もぱっちりと目を覚ました。糸子もこの日を楽しみにしていたのだ。出かけていく父・善作(小林薫)を大はしゃぎで送り出した。

近所の髪結い・安岡玉枝(濱田マリ)が小原家を訪ねてきた。一緒にだんじり見物をしたいと言うのだ。安岡家の長男・泰蔵(須賀貴匡)は、今日のだんじりで大工方を務める。大工方とはだんじりの屋根の上から合図を出す役割である。もっとも目立ってかっこいい役であるが、同時に危険もつきまとう。失敗して恥を欠いたり、怪我をしたりするのではないかと、玉枝は心配でならない。

玉江は、次男の勘助(吉岡竜輝)を連れていた。勘助は糸子と同じ尋常小学校5年生であるが、ふたりはあまり仲良くしようとしない。勘助は糸子を自分の格下だと思っている。一方の糸子も勝気な性格であり、弱虫のくせにすぐに威張ろうとする勘助のことが気にくわない。ふたりはいつも喧嘩ばかりしている。
それでも、だんじりがやって来ると、ふたりは揃って声援を送った。だんじりが大好きな気持ちは同じだった。

大工方の泰蔵は、完璧に役割をこなした。夜には、小原家にみんなが集まって宴会となった。糸子の祖母・ハル(正司照枝)と母・千代(麻生祐未)が腕によりをかけて作った料理も大好評だった。

夜の余興として、子供たちもだんじりを曳かせてもらった。ただし、だんじりに登ることを許されたのは男の子だけで、女の子は良くても綱を曳く係だけだった。糸子は自分も大工方になりたいと願ったが、しきたりでそれは許されないのだ。勘助からも、女には無理だと言われ、頭に来て彼をつねってやった。

だんじりの翌日、街も人も日常に戻った。
昨日は早起きした糸子であったが、今日は家中の誰よりも寝坊した。昨日はあんなにたくさんのごちそうがあったのに、今日は白米とメザシだけの食事だ。昨日は一日中機嫌の良かった父なのに、行儀の悪い糸子のことを今日は朝から怒鳴りちらしている。

学校では、男子たちがカエルをいじめていた。糸子はそれを助け、逆に男子たちを追い掛け回した。
その様子を、離れたところから呆れた顔で眺めていた少女がいた。街で一番の料理屋の娘の吉田奈津(高須瑠香)である。粗暴な糸子と違って、彼女はおしとやかで、通学にも日傘をさしている。
奈津は毎日違う着物で学校へやって来る。呉服屋の娘である糸子ですら、毎日同じ着物だというのに。

下校途中、だんじりで大工方を務めた泰蔵とすれ違った。奈津は恋する娘のまなざしで彼を見つめた。一方の糸子は、自分もだんじりに参加したいと、そればかり考えていた。

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映画『ソーシャル・ネットワーク』を見た

世界最大のSNS Facebookを作った学生たちの友情と確執を描いた作品。デヴィッド・フィンチャー監督、ジェシー・アイゼンバーグ主演、2010年作品。

主人公のマーク・ザッカーバーグは、他人の感情に注意が向かず、不適切な言葉を投げかけては人を不快にさせる。人付き合いのヘタクソなコンピュータ・オタクなのだが、彼のテクニックと独創性は一流だった(実際に Facebook を創り上げたことだし)。
ある日、数少ない友人の一人であり、唯一の恋人(まぁ、恋人は通常唯一であるべきだが)にまでヒドイことを言ってしまい、フラれてしまう。その腹いせもあり、マークはネット上でのコミュニティサイトの作成にのめり込んでいく。
少しずつプロジェクトに協力する仲間も増えてきた。しかし、プロジェクトが大きくなるに連れて、組織の内外に嫉妬や方向性の相違が生まれ、マークは孤立していく。

そんなお話。

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映画『探偵はBARにいる』を見た

大泉洋が、札幌ススキノの便利屋<俺>を演じる映画『探偵はBARにいる』を見てきた。

原作は東直己『バーにかかってきた電話』。2011年現在、11作ほど出ている<俺>シリーズの2作目だ。
僕はこのシリーズが大好きでほとんど読んでいる(文庫で追いかけているので、単行本で出ている最新作だけは読んでいない)。僕は札幌の街が大好きだから、そこが舞台になっているシリーズも自然に気に入る。著者も札幌在住で、文中に出てくる流暢で正確な北海道弁にも好感が持てる。ススキノを根城にする主人公は、ニヒルな伊達者なのだが、たまに抜けているところもある。なかなか味わい深いキャラクターだ。

大好きなシリーズの映画化とあっては、当然楽しみになる。主人公を演じるのが、今や北海道を象徴する俳優の大泉洋であるということでも期待は高まる。そして、今回の映画の原作になっている『バーにかかってきた電話』はシリーズの中でもお気に入りの一つだ。

原作が大好きなだけに、映像化に対しては少々警戒もしていた。
しかし、先週の公開以来、ネット上の評判をいくつか拾い読みしたところ、いずれも上々の評価だった。
だから、期待に胸ふくらませて見に行った。

僕が見たのTOHOシネマズ海老名で、水曜日の昼の回だった。スクリーン1というかなり大きなスクリーンだったのだが、観客は半分以上は入っていたようだ。なかなかの入りだと思う。ただ、毎月14日はTOHOシネマズのサービスデイで、料金が一律1000円である。そのせいで通常よりも混んでいた可能性もあるが、それを差し引いても人気なのではないかと思う。

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DVD『センセイの鞄』

川上弘美の『センセイの鞄』は、老人と年増女の回りくどい恋愛話なのであるが、僕は大好きな小説だ。読んだのはいつだっけ?と、当ブログの過去記事を探してみたら、2004年の10月末だった。
つい最近のことだと思っていたのに、記録を見ると随分昔の話だ。

とてもお気に入りの小説であり、「好きな本を20冊挙げろ」と言われれば、おそらく余裕でランクインである。
しかし、時の流れとは残酷である。実は、細かい内容をすっかり忘れ去っている。
漠然と、「しっとりとしていて、いいお話だった」と印象に残っているのみである。

ところで『センセイの鞄』は、谷口ジローが漫画化していたり(『孤独のグルメ』の人ですよ)、沢田研二&富田靖子の音楽劇になっていたりするらしい。どちらも未見だが。

それらの映像化も気になるのだが、僕が数年前からどうしても見たいと思っていたのは、小泉今日子柄本明出演で WOWOWがドラマ化したというものだ。
小泉今日子のどこか冷めていて陰のある感じと、柄本明の飄々とした感じは、本作のツキコとセンセイのイメージにぴったりではないかと思っていたからだ。

そんなわけで、やっと小泉&柄本版のDVDを入手して、見ることができた。

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NHK『おひさま』日誌終了

頭痛に苦しめられ1日中寝ていた当方が、NHK朝の連続テレビ小説『おひさま』の第64回目の放送を見逃しましたよ。

そんなわけで、63回続いた『おひさま』のまとめ記事は昨日で終了ということになりました。正直なところ、最近は見ていてつまらなかったし、連載するモチベーションも激しく低下していたので、わりとせいせいしていたりもします。

とはいえ、一部の楽しみにしてくださっていたみなさんには申し訳ありません。
これまで読んでくださって、ありがとうございました。

次は、『カーネーション』でお会いしましょう。

NHK『おひさま』第63回

昨日のまとめ記事では、ついうっかりとマクラを書き忘れた当方が、NHK朝の連続テレビ小説『おひさま』の第63回目の放送を見ましたよ。

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第11週「戦火の恋文」

1944年(昭和19年)春。日本軍劣勢の噂が人々の耳にも届くようになった。国内の物資も不足がちになっていた。

いよいよ春樹(田中圭)が軍医として戦地に旅立つ時が来た。

春樹は良一(寺脇康文)と名古屋で再会した。良一は飛行機工場で新兵器の開発に携わっている。過酷な環境に置かれているようで、春樹の目にも良一の憔悴がわかった。しかし、良一は弱音は一切吐かなかった。
良一は生きて帰ってくるよう言おうとした。しかし、春樹はその気持は口に出さずともわかると伝え、みなまで言わせなかった。

春樹は、以前に茂樹(永山絢斗)と話した内容を父に知らせた。春樹が実家で病院を開き、家族全員がその近所に住むようになればいいと言っていた。自分もそうなれば良いと思うと言うのだった。

父と別れた春樹は、まず安曇野の実家に立ち寄った。無人となった家屋を眺め、そこが病院となった様子を想像した。自分が医者として働く横に真知子(マイコ)を置いた。

それから、陽子(井上真央)に会うため松本へ向かった。陽子の義理の両親(串田和美、樋口可南子)ともすっかり打ち解けた。陽子が良い家族に嫁いだことを春樹は喜び、安心するのだった。

夜、陽子と二人っきりになった春樹は、真知子へ宛てた手紙を差し出した。
生前の母(原田知世)に言われていたとおり、自分は何でもすぐに我慢してしまう質である。しかし、最期くらいは自分らしくない行為をしたいというのだ。真知子に自分の気持ちを告げずに死ぬのは悔やまれることである。
そこで、もし自分が生きて帰らなかった場合は、その手紙を真知子に渡して欲しいというのだった。

翌朝、春樹は戦地へ旅立った。
陽子は、真知子も春樹に心を寄せていることを知っている。しかし、そのことを春樹に教えたことはなかった。黙ったままでよかったのかと、後日何度も悩むのだった。

その頃、真知子の婚約者

その頃、真知子へ婚約者(萬雅之)の死亡が伝えられた。欧州からの帰国の途中、船の事故にあって死亡したというのだった。

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