NHK『ひよっこ』第3回

峰田和伸だけが気になって、もう一日がんばろうという気になった当方が、NHK朝の連続テレビ小説『ひよっこ』の第3回めの放送を見ましたよ。

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第1週『お父ちゃんが帰ってくる!』

谷田部みね子(有村架純)のおじ・小祝宗男(峰田和伸)が遊びに来た。
彼は次男だったので、離れた村に養子に出された。妻(山崎静代)は気性が荒く、宗男は息抜きに来たのだ。

子供の頃の宗男はおとなしい子で、いつも兄の実(沢村一樹)の後ろに隠れているような引っ込み思案な子供だった。しかし、戦争に行って彼は人が変わった。底抜けに明るく快活になり、風変わりな服装をし、冗談ばかり言うようになった。背中には戦争で負傷した大きな火傷の痕があり、よほど酷い目に遭ったのだと思われた。
みね子の家族は宗男のひょうきんな性格を慕っており、彼が来るだけで家中が明るくなった。ただし、実の父である茂(古谷一行)だけは、宗男の落ち着きのない様子を苦々しく思っていた。

みね子は、東京に出稼ぎに行っている父や、これから東京に就職する幼馴染のことを思うと東京を好きになれなかった。自分の大切な人たちが全て東京に取られているように思うからだ。
そんな彼女に対して、宗男は考えを改めるよう助言した。彼らはイヤイヤ東京に行っているわけではないし、家族のために出稼ぎに行っているのである。むしろ感謝して、笑顔で送り出すべきだと話すのだった。

そして、父・実が帰郷する日になった。
母・美代子(木村佳乃)は夫の帰宅が楽しみでならない。普段からメイクしない彼女が薄化粧した朝だった。お気に入りの一張羅のブラウスを着て、ウキウキと家事をしていた。

東京で帰路につこうとした実は、赤坂の路地裏で一軒の洋食屋を見つけた。仕込み準備をする料理人たち((佐々木蔵之介ほか)の威勢のいい声が聞こえてくる。サンプルケースには、実が見たこともないような美味しそうな料理が陳列されている。汽車の時間が迫っていたが、実は興味を惹かれてしばし佇んでいた。

すると、ちょうど開店の時刻となり、女主人(宮本信子)が看板の掛けかえのために表に出てきた。
彼女は実を店の中へ誘った。実はつられて入店するのだった。

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NHK『ひよっこ』第2回

明日の朝は二度寝の誘惑に勝てそうにない当方が、NHK朝の連続テレビ小説『ひよっこ』の第2回めの放送を見ましたよ。

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第1週『お父ちゃんが帰ってくる!』

谷田部みね子(有村架純)は高校3年生である。そろそろ卒業後の進路を決める時期である。

みね子は家に留まり、家業の畑仕事を手伝うことを決めていた。生まれ育った村や家族のことが大好きなので離れたくないのだ。

ひとつ気がかりなのは、父・実(沢村一樹)が東京に出稼ぎに行って、1年の大半を留守にしていることだ。自分が農作業を手伝うより、父が農業をやる方がいいに決まっている。みね子は中学を卒業する時に、集団就職で東京に行くべきだと考えたこともある。そうすれば家計の足しになるし、父も家に留まることができる。
そのことを父に相談すると、彼は高校進学を強く勧めた。それで進学して現在に至るのだが、みね子は今でも小さな後悔をしていた。

それでもやはり、みね子は地元を愛している。自分が東京に住んだり、そこで働いたりする様子を想像することができない。今の境遇が一番良かったと考えている。

幼馴染でリンゴ農家の三男坊である角谷三男(泉澤祐希)は、卒業後に東京日本橋の米屋で働くことが決まっていた。農家の三男なので、高校卒業後は家に居場所がないのである。

みね子の親友である助川時子(佐久間由衣)も東京のトランジスタラジオ工場に就職が決まった。村でも評判の美人である彼女は、女優になる夢を抱いている。そのことを吹聴したり話し合ったりしているわけではないが、周囲の者は暗黙のうちに理解している。東京の工場への就職は、女優への足がかりだとみなしているふしがあり、時子は就職についてこれといった感慨はなさそうであった。

みね子はますます東京が嫌いになっていた。父を出稼ぎで取られ、来春には幼なじみたちも東京へ行ってしまう。どうして皆が故郷の茨城で暮らすことができないのだろうかと思うのだった。

そんな矢先、東京の建築現場で崩落事故が起きたというニュースが飛び込んできた。テレビの報道によれば、出稼ぎの建設作業員5名が死亡したという。
みね子と母・美代子(木村佳乃)は、父・実の安否が心配になった。
ふたりは郵便局で電話を借り、やっとのことで実と連絡がついた。彼の無事を確認し、安堵するのだった。

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NHK『ひよっこ』第1回

本作の時代設定は1964年だそうだけれど、『あまちゃん』ヒストリーを見返して、夏ばっぱ(宮本信子)が橋幸夫に花束を渡した頃の話で、春子(有村架純)が生まれるのはその2年後なんだなと確認した当方が、NHK朝の連続テレビ小説『ひよっこ』の第1回めの放送を見ましたよ。

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第1週『お父ちゃんが帰ってくる!』

1964年(昭和39年)夏。
秋に開催されるオリンピックに向けて、東京は好景気に湧いていた。高速道路や地下鉄、新幹線が整備され、街にも多くの建物が建設されていた。地方から東京へ移住する人も増加し、東京は世界で初めて1千万の人口を有する都市となった。

そんな情勢の中、茨城県北部の奥茨城村の農家の長女として、谷田部みね子(有村架純)は暮らしていた。
高校3年生の彼女は、毎日1時間以上かけ、自転車(20分)、徒歩(5分)、バス(40分)の道のりで通学している。
それでも、朝早くから祖父・茂(古谷一行)の農作業の手伝い、母・美代子(木村佳乃)と共に朝食の支度、妹・ちよ子(宮原和)や弟・進(高橋來)の世話などを厭うこと無く行っている。学校から帰ってきても、家の手伝いを欠かさない。

みね子の父・実(沢村一樹)は東京の建築現場へ出稼ぎに行っている。ゆえに、一家の長女としてみね子は家の手伝いを率先して行わなければならないのだ。
そのような境遇にあっても、みね子は屈託のない明るい少女だった。秋の稲刈りの時期に父が帰ってくることを楽しみにしていた。

父は東京からの土産として運動靴を買ってくるのが恒例だった。みね子が通学に使っている靴も、父が以前に買ってきてくれたものだ。そろそろくたびれてきたが、みね子はそれを大事に履き続けた。

ある日、弟・進が裸足でちよ子に背負われ、こっそり帰ってきたことに気付いた。みね子が問いただしてみると、靴箱から取り出すときに過って靴を破損してしまったのだという。父の土産を壊してしまったことを家族に言い出せないのだ。

みね子は母に内緒で靴を修理してやった。しかし、ドジなみね子は修理に失敗し、もっとひどい状況にしてしまった。
母・美代子は子どもたちがこっそり靴の修理をしていることに気付いていたが、何も言わずに微笑ましく見守るのだった。

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嘘なんてひとつもないの

2017年3月7日から28日まで、BSプレミアムで『嘘なんてひとつもないの』(全4回)というドラマが放送されていた。
点けっぱなしのテレビから流れてきて、はじめは何の気なしに眺めていたのだけれど、シュールな展開と役者さんたちの巧みな演技に引き込まれて、熱中して見てしまった。

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主人公(須賀健太)は何年間も自室に閉じこもっている青年。
高校時代に親友に裏切られ、親友が犯した痴漢行為の濡れ衣を着せられてしまう。そのせいで人間不信に陥り、部屋から一歩も出ることができなくなってしまった。

そんな彼でも、旅客機のパイロットになりたいという夢を持っていた。自室に立派なフライトシミュレーターを設置し、独学トレーニングだけは欠かさなかった。
けれども、部屋から出ることができないので、操縦士養成学校に通うことはおろか、入学試験すら受けに行くことができない。夢は捨てずにいるものの、対人恐怖が全ての足かせとなっていた。
家族は母ひとり子ひとりであり、母(戸田菜穂)も彼に対して腫れ物に触るように接するばかりで、活路が見いだせないでいた。

ある日、主人公はネット上で自分と同姓同名(ヤマザキマコト)の女性のブログを発見する。彼女(石井杏奈)は職場で酷い目に遭わされて、主人公と同じように引きこもりになってしまったという。

主人公は、自分は正規のパイロットだと嘘をつき、テキストメッセージで彼女へ社会復帰のアドバイスを送る。内容は、いずれも自分がやるべきだと思っていても、自分ではどうしてもできずにいる事柄だった。彼女は受け取った内容を一つずつ実行し、成功報告を返してきた。
その行動に勇気づけられると共に嫉妬に駆られた主人公は、自分も同じことに挑戦していった。

少しずつ自室外へ行動範囲を広げていくことができた矢先、彼女から会ってお礼がしたいという提案があった。対人恐怖症である上にパイロットを詐称したことが露見することは避けたい。しかし、彼女の熱意と彼女へのかすかな恋心に後押しされる形で会ってみることにした。

しかし、全ては壮大な罠の一環であり、主人公は窮地に立たされる。
主人公はどうやって危機を脱し、本当の自分を取り戻していくのか。

というお話。

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人から騙されて対人恐怖症になった主人公が、傷口に塩を塗られるように、さらなる虚偽に嵌められ、ますます苦しめられる様子が痛々しい。
その痛ましい姿を好演する須賀健太がすごくいいし、彼を苦しめる女を演じる石井杏奈の裏表のある悪魔的演技もすごくいい。どちらも見ていてゾクゾクする。

そして、何より僕がこのドラマを気に入った理由は、どうしても他人事だとは思えないプロットのあったところ。
これ以上記事を長くしたくないし、一部ではとても有名な話だと言われているし、当ブログをつぶさに探せば情報が出てきたり出てこなかったりするので、割愛します。
わかるやつだけわかればいい。

なお、最終回は4月3日(月)23時45分からBSプレミアムで再放送です。

追伸:
今日はあの日だそうです。よ~知らんけど。

べリング『なぜペニスはそんな形なのか』を読んで、樹木葬を知る

会社の同僚が、ジェシー・べリング『なぜペニスはそんな形なのか: ヒトについての不謹慎で真面目な科学』(鈴木光太郎 訳)を持っていた。訳者から献本されたのだという。

僕はこの著者のことを知らなかったのだが、進化心理学者でゲイなのだという。18世紀に活躍し、ベーリング海の名称の元となった探検家ヴィトゥス・ベーリングの末裔であるとか、ないとか。現在アラフォーで、Scientific American のコラムもなかなか人気なのだという。
興味を惹かれる著者ではないですか。

先の同僚から本書を受け取ってパラパラと眺めようとしたところ「18章 女性の射出」のページがひとりでに開いた。どうやらその章を真っ先に読み始めたようだ。お前もスキモノだな。

【潮吹きについて】
僕も一般教養(?)として、エロ本やらアダルトビデオやらである程度の学習はしていたので、女性がオルガスムに達した時に尿道から液体を噴出するらしいということは知っていた(残念ながら、実地で直接観察した経験はない)。けれども、その成分が何なのかは知らなかったし、どういう機能があるのか(生殖には関係なさそうだし)も知識がなかった。

本書を読んでわかったことはいくつかある。
女性の射出は性的な刺激の初期には起きないので、性器の潤滑のためにあるのではないということ。尿道の出口に近い腺から分泌されており(尿を貯める膀胱ではない)、尿とは明らかに違う成分であるということ。3ccから50ccほどの量が出ること。生涯のうちに女性の40%ほどが経験すること、などを知った。

一方で、なぜそれが噴出されるのかは未だわかっていないらしい。

なお、女性のオルガスム(いわゆる「イク」ってやつ)に関する生殖上の説明は「20章 女性のオルガスムの謎」にある程度書かれている。
身体的な特徴として、オルガスムの間、子宮頸部が律動する。このことは、精液を保持しやすくし、妊娠の可能性を高めるのだという。加えて、望ましい男性(身体的魅力が高かったり、裕福であったり)と性行為をしている時にはオルガスムに達する頻度が高いという。つまり、良い遺伝子を持っている精子を逃さないようにしていると考えられるそうだ。
そして、オルガスムは女性にとって快楽をもたらす。それが心理的な報酬となるわけだから、望ましい男性との性行為を動機づけ、彼らの精子を囲い込み、良い子を産むという点で適応的だと説明されている。

オルガスムの進化生物的な基本原理は以上のように分かっているのだけれど、潮吹きについてはさっぱりわからないのだという。不思議な事ですね。

理由は何であれ、潮吹きは稀なことでも異常なことでもないらしい。それにもかかわらず、社会通念上は恥ずかしいことということになっている。でも、本当に気持ちいいことなんだから、恥ずかしがらなくてもいいんじゃね?的なことが書いてあった。
男性(もしくは、女性の同性愛者)にとっても、パートナーを最高の快楽に導いたということだから、誇ってもいいんじゃないかと。

【その他の性の話題】
本書は33章からなるオムニバスのエッセイ集で、話題は多岐に渡る。
書名にあるヒトのペニスの形状(3章)に関しては、亀頭の窪みが他の男の精液を掻き出すためにあるという話とか。つまり、ライバルの精子を除去して、自分の精子だけを送り込むために形状が進化してきたという話(一方で、窪みに残った他人の精子を異なる女性に運搬してしまうリスクもあるんじゃないかっつー話も。そのせいで、不貞をしていない妻から他の男の子が生まれることもあるかもしれないとか)。
その他、ヒトの精液(5章)には50種類以上の化学成分があり、特にある種天然ドラッグ(抗鬱、精神高揚など)が含まれており、同時に膣には毛細血管が張り巡らされていてそれらを吸収するようにできているという話なんかが面白かった(かといって、コンドームなしのセックスはリスクがあるから、ドラッグ目的でするのはお勧めしないと注意喚起されていた。天然ドラッグのメリットよりも、性感染症のデメリットの方が大きいと)。

【樹木葬】
とはいえ本書は、このようなヒトの性にに関わる、ある意味下世話な話ばかりではなかった。
人間社会における宗教の役割(27-28章)であるとか、自殺の問題(30-31章)、人間の自由意志と道徳の話題(32章)などもあって、下品な話(本当は、僕は性の問題は下品なことだとは思わないけれど。合意のある性行為ほど平和で幸福なことはこの世に無いと思う)が苦手な人でも読むべき話題はあると思う。

性以外の話題で僕が一番関心を持ったのは、「樹木葬」の話(29章 亡き母の木)。本書では「緑の葬式」と記載されているが、僕がぐぐった限り、日本では一般に「樹木葬」と呼ばれているらしい。

要するに、遺体を容易に分解可能な方法で埋葬(木製の棺桶に入れるのではなく、たとえば麻布でくるんで埋葬する)し、墓石を置く代わりに植樹をするという方法。
想像の通り、遺体は微生物などの作用で分解され、樹木の養分となる。

そこで育った樹木は、故人の象徴としてそこに残るだけではなく、時間の経過とともに成長していく(墓石だと不変)。人としては時間が止まってしまっても、木が大きくなっていくことでその人の時間は続いていく。
本書の中では、隣同士で埋葬された夫婦の木が枝を伸ばし、互いに絡み合っていく様子などが想像されている。子孫たちが、木登りをして先祖と触れ合う様も記述されている。ロマンチックじゃないか。

加えて、従来型の棺桶埋葬や火葬では資源の浪費も問題視されている。
棺桶に使用される木材や金属は、ただ単に遺体を埋めるだけに使われている。その数値が本当なのかはにわかに信じがたいが、1人分の遺体を火葬するのに使われるエネルギーは、車で7700km移動するのに相当するという。その他、遺体を燃やした時の大気汚染の問題もある。

僕はこの話にすっかり入れ込んでしまった。
別に、みんながみんな、従来型の埋葬や火葬をやめるべきだということを主張する気はないが、少なくとも僕の遺体は樹木葬にしてほしいな、と思った。何なら、棺桶に最適な樹木を植えて、数十年後には伐採して棺桶の材料にしてくれてもいい。少しくらいはエコに貢献したい。

こういうことは遺言状に書くべきことだとは思うけれど、効力のある遺言状の作成にはいろいろ面倒な手続きがあるらしいし。今のところ僕が死んだら葬儀の手配をするのはうちの両親だと思うけれど、彼らは古いタイプの日本人だし、実家を新築する際にそれなりの仏壇なんかも備えちゃったので、旧来のやり方に固執するかもしれない。ていうか、余命を考えれば、僕より先に彼らの方が死んじゃうだろうから、頼りないし(ていうか、親と葬式の話をすると、「早く死ね」って言ってると勘ぐられたりして、めんどくさそうじゃない?)。

そんなわけで、ここに記しておくので、僕が死んだ時に思い出した人がいたら、然るべき親族なり関係者なりとうまく連絡が取れたらそうお伝え下さい。よろしくお願いします。

【結論】
本書は、セックス大好きな人も、そうでない人も、それなりに考えさせられる点があるのでお勧めです。
訳者が同僚の知り合いでなかったとしても、お勧めしていたと思います。

グランフロント大阪のキルフェボンで異性を落としたり落とされたりする社会心理学的ハック

某かわいこちゃん女子院生ちゃんから、「キルフェボンのグランフロント大阪店でタルト食べながら、お話を聞かせてください」というデート(デート?デートなのか!?)のお誘いを受けたわけで。
2-3回くらいしか会ったことのない院生さんなわけだけれど、当方好みの色白ベビーフェイスちゃんだし、なかなか聡明な学生さんだということも知っていたので、ノコノコ出かけて行ったわけです。
モテ期キタ━━━━(゚∀゚)━━━━!!とか思うと嬉しいし。

指定のあったキルフェボンという店は、存在は知っていたし、女子に大人気だということも知っていたけれど、僕は行ったことがなかった。
グランフロント大阪店の前を何度か通りがかったことはあった。いつ見ても長い行列ができていて、僕には縁のない店だと思っていたフシもある。
しかし、いい機会なのでホイホイと出かけて行ったわけです。

詳しくは公式サイトを見てもらえば良いわけだけれど、簡単に説明すると、JR大阪駅から直結のグランフロント大阪に店がある。グランフロント大阪は北館と南館の2棟からなり、2階の連絡通路で両棟が接続されている。キルフェボンは南館の2階に店舗があるのだが、ちょうど連絡通路の付け根に位置している。

なお、連絡通路と建物の間にはドアや壁の仕切りが無いので、外気がそのまま流れ込んでくる。気をつけたい。
今日から3月になったわけだけれど、風はまだまだ冷たかった。僕はダウンジャケットを着込んで行ったわけだけれど、外を歩くにはちょうど良かった。

某かわいこちゃん女子院生ちゃんとは14時に店の前で待ち合わせの約束だった。僕は5分くらい前に到着して行列の様子を確認していたのだが、最後尾に「60分待ち」という看板が出ていた。やれやれ。
行列は店の外の通路部分をテープパーティション(支柱の中に巻取り式のテープが入っていて、そこから引っ張り出して他の支柱に繋げるやつ。行列制御用によくあるやつ)で区切り、2列で整然と並ぶように整備されていた。他の一般客の往来を邪魔しないように配慮されていた。
図解すると以下の通り。

時間通りに彼女がやって来て、ふたりで仲良く列に並ぶ。
すぐに店員さんがメニューを持って来て、並んでいる間に注文まで済ませてしまうシステムになっていた。

ふたりで仲良くメニューをめくりながら吟味した。
この店の特徴は、期間限定(季節のフルーツなど)のタルトがたくさんあることらしい。そして、現在提供中のものだけではなく、今後のラインナップ予告もメニューに掲載されていた。長い待ち時間でも退屈しないし、再来店を促す上でもよく考えられていると思った。

メニューを見始めて3分くらいした頃から、僕は自分の異変に気づき始めた。
全身がポーッと熱くなって、胸がドキドキしてきた。色白ベビーフェイスの20代前半女子と一緒にいるせいか!?これは、もしかして恋?恋なのか!?

一応、対外的には草食系ジェントルマンおじさんということになっている当方なので、当たり障りのない世間話などしながら並んでいたのだが、内心では「もう、このまま君を抱きしめたい!」くらいの気分になってきたような、なってこないような。
3月だし、いろんな意味で春が来たの?風はまだ冷たいのに、体がこんなに熱いなんて。君はなんて魅力的な女の子なんだ!

僕はだんだんソワソワし始めて、気を紛らわせるためにも、意識を彼女以外に振り向けるよう努力した。

そして気付いた!

なんと、キルフェボンの壁際の通路床にエアコンの吹き出し口が埋め込まていたのだ。そこから温風が吹き出している。それが僕の体を直撃していたのだ。

上に載せた図を再掲する。

僕が店舗に近い方に立ち、彼女は遠い方に立っていた。そして、温風は壁のところから真上に吹き出してるのだ。僕だけに直撃。

通路の反対側の店舗(帽子店; 行列なし)を見ると、そこにはエアコンの吹き出し口が無い。
キルフェボンの前にだけ設置されているのだ。おそらく、開業時点で行列の発生を予測し、行列客の体温維持のためにエアコンを設置していたのだろう。連絡通路から外気が吹き込んでくるし。
すげぇ話だな、マジで。

社会心理学の知見のうちで、一般的にもっとも有名なやつに「吊り橋効果」(Dutton & Aron, 1974)っつーのがあるじゃない。何らかの理由でドキドキした時、それを誤った原因と結びつけてしまって、不適切な感情になってしまうってやつ。
本当はおっかない吊り橋を渡っていてドキドキしているはずなのに、そこにきれいな女性が現れると、その女性を見たせいでドキドキしたと思い込む→その女性を好きになる、ってやつ。デートに誘うときにはジェットコースターに乗って、本来はジェットコースターによる興奮なのに、自分と一緒にいることで興奮が引き起こされたと錯覚させる→自分に惚れさせるってやつ。

そんなわけで、グランフロント大阪のキルフェボンで異性を落とそうと思ったら、行列に並ぶ時に意中の異性を壁際に立たせると良いと思うよ。相手は本来エアコンで体温が変化しているのに、あなたと一緒にいるからドキドキしているのだと誤解してくれると思うよ。1冊のメニューをふたりで見るというシチュエーションがそれに拍車をかけると思うよ。

実体験をもっておすすめするような、しないような。

アダムス&カーワディン『これが見納め―― 絶滅危惧の生きものたち、最後の光景』を読んだ

『これが見納め―― 絶滅危惧の生きものたち、最後の光景』の著者ダグラス・アダムスはSF作家、マーク・カワーディンは動物学者。そんなふたりが、絶滅危惧の動物を観察に行くというノンフィクション作品。

1988年ころ、BBC(英国放送協会)のラジオ番組の企画として世界を旅し、その時の模様を書籍化したものだそうだ。原著は1990年に出版され、その後何度か版を重ねるベストセラーらしい。翻訳は2011年に初めて出たので、取材からは約四半世紀経っての出版となる。それを、取材から30年経とうかという今日、僕が読んだわけである。
翻訳の出版にあたっては、本書に取り上げられている絶滅危惧種のその後の状況について注が付けられている。著者のカワーディンのチェックを受けて掲載しているとのこと。真面目な本です。

その間、本書で取り上げられている動物のうち、保護活動が功を奏して個体数を増やしたものもいれば、完全に絶滅したと考えられているもの(ヨウスコウカワイルカ)もいるそうだ。
あと、文章のほとんどを担当したダグラス・アダムスも2001年に絶滅した。残念なことである。

ダグラス・アダムスといえば、ユーモアSFの金字塔『銀河ヒッチハイクガイド』で有名。同作品は、「生命、宇宙、そして万物についての究極の疑問の答え」は42と主張していることで特に有名。読んだことない人にとってはなんのこっちゃって話ですが、読んでみればなんで42なのかがわかるだろうし、その意味するところもわかると思うので(ついでに、なぜ我々の生きている地球があるのかもわかるかもしれないし、わからないかもしれない)、一読することをお勧めします。
『銀河ヒッチハイクガイド』を読んで気に入れば、本書『これが見納め』を気に入るだろうし、その逆もまた然り。

『銀河ヒッチハイクガイド』は究極の疑問の答えを巡る物語なのだけれど、そのほとんどが主人公たちの宇宙での珍道中に割かれている。
『これが見納め』は世界の絶滅危惧種を巡る物語なのだけれど、そのほとんどが著者たちの珍道中に割かれている。
そして、いずれもイギリス人特有の回りくどいけど知的なブラックユーモアが満載で楽しい。
#どこかで『東海道中膝栗毛』の弥次喜多珍道中になぞらえているのを見たような気がするけれど、『水曜どうでしょう』みたいな感じと言ってもいいかもしんない。

共著者のカーワディンと初めて会った時の描写であるとか、コモドオオトカゲの観察ツアーで一緒になったアメリカ人団体に辟易した話であるとか、ザイール(現・コンゴ民主共和国)の官僚的な入国審査に腹を立てることであるとか、中国でコンドーム(マイクに被せて水中の音声を録るため)を買おうとして苦労したことであるとか、イヤミなフランス人と同席してイライラしたことや、人嫌いの環境保護職員に嫌われたことなどが、これでもかと面白おかしく書いてある。

序文でリチャード・ドーキンス

わたしが一度も吹き出さずに読めるページは、この本にはたぶん一ページもないと思う。

と書いている。
最初僕はいくらなんでも大げさだろうと思ったのだが、実際に読んでみるとドーキンスの2倍は笑ったと思う。今日のお昼ころ、精華台のジョイフルの一番端の席で、声を押し殺しもせず本を読みながら笑っていたオッサンがいたら、それは僕だ。
ほんとうに、ほんとうに、ユーモア作品として秀逸だ。

そして、とても不思議な事は、一見すれば人間の滑稽さとか身勝手さをこき下ろしているブラックユーモア・ノンフィクションなのに、気付いたら環境保護に関してじっくり考えさせられていた。アダムスがどこでどんなトリックを使ったのかよくわからない。
前から順に読んでいくだけで、自然にそう仕向けられていた。こんな不思議な気持ちになったのは、アレン・カー『禁煙セラピー』を読んだ時以来かもしれない。

動物の話そっちのけで、アダムス本人の自虐ネタや面倒な人々にイライラさせられる話ばかり書いてあったはずなのに、ちゃんと動物の話に着地してくる。

ていうか、アレだ。
上のパラグラフは「動物の話そっちのけ」ってのが誤りなのかもしれない。だって、人間だって動物だもの。そもそも動物の話しか書いてないや。

コンゴには行ったことないので今でも入国審査がクソ面倒かどうかは知らないし、中国にも行ったことがないので現地でコンドームを買う(使う相手いないけどな!)のが今でも一苦労するのか知らないし、フランス人と接した経験はほとんど無いので彼らがイヤミなのかどうかは知らない。
けれども、そういう動物が今では絶滅してくれていたら、アダムスたちの時代で「見納め」になってたら、と思う。
世界はそれだけ豊かで、明るく、賑やかな場所になっているはずだから。

僕の読み方が間違ってるだけかもしれないけれど、この本は人間を含めた動物一般に関する本で、その良いところも悪いところもできる限り記録して、未来のあるべき姿を考えましょうという本だと思いました。
30年前からのメッセージを今受け取っても、何ら遅くなかった。

ミルクティを求めて国会図書館関西館へ

国立国会図書館とは、国会に属する機関であり、国内で発行された出版物を全て収集・保管し、国政および国民にサービスすることを目的に作られた唯一の国立図書館である。

東京の永田町の国会議事堂のすぐ横に東京本館があり、京都府相楽郡精華町には関西館がある。2011年ころ神奈川県に住んでいた当方は、片道2時間くらいかけて永田町にある東京本館へおいしいカレーを食べに行ったことがある。

一方、関西館は当方の職場のすぐ近くにあり、通勤で毎日すぐ横の道を通っている。いつも横目で見ているのだが、入館するのは2年に1回くらいのペースだろうか。ずいぶん前には、女の子たちとデート(デート?デートなのか!?)したこともある。最近では、2年くらい前に、当時熱中していたIngressのポータル奪取のためだけに遊びに行ったくらいか。

さて、そんな国会図書館・関西館に、当方が何をしに行ったかといえば、「ミルクティ」を探しに行ったわけである。

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みうらじゅんと甲冑と私

勝手に観光協会の広島県ご当地ソング「しまなみ慕情」のビデオを見ていた。

0:48あたりのみうらじゅん映像に既視感があった。

2006年に広島城に行った時、俺も兜かぶったわ

自分で言うのもなんだけど、似すぎててコワイ。
ていうか、サングラスかけて兜かぶれば誰でも似るかも。

ただよく見ると、違う兜だね。
僕は広島城でコスプレしたんだけれど、勝手に観光協会がどこでコスプレしたかはわからん。

2017年最強運勢占いランキング<星座×干支×血液型×性別×耳垢>2304位から1位まで発表 今年最高にツイてるのは?

2017年最強運勢占いランキング<星座×干支×血液型>576位から1位まで発表 今年最高にツイてるのは? (モデルプレス)という記事を見た。

いよいよ迎える2017年。あなたにとってどんな一年になるのでしょうか。良い時も悪い時も、運勢は頑張っている人の味方。必ず意味があります。上手く活かす方法を見つけて、大切なものを見逃さないようにしましょう。モデルプレスがお届けする最強運勢占い、今年も「星座×干支×血液型」にて1位から576位までを発表します。

記事を一通り読んだのだが、このランキングがどういう理論なり根拠なりに基づいて作成されたものかよくわからなかった。
よくわかんなかったけれど、「星座×干支×血液型の576通りの組み合わせをシャッフルしただけかもな」とチラリと思った。
チラリと思い、かなり簡単にできるよなと思い、せっかくなのでその記事の上をいくランキングを作ろうと思った。

そこで、「星座(12通り)×干支(12通り)×血液型(4通り)×性別(2通り)×耳垢(2通り)」にて1位から2304位までを発表します。
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