NHK『ちゅらさん』第4回

昨日のマクラでは、某かわいこちゃんの家に「ツナグくん」として出かけたことがあることを報告させていただいたが、もちろん「ツナグくん」の定義通り、その日はパソコンの配線以外は何も繋がなかったわけだけれど、彼女から「これ、私のメールアドレスです」とメモを渡されるという幸福な出来事だけはあったわけで、幸福だったにも関わらず、そのメモをジャンパーのポケットに無造作に入れたまま数日間放置するという失態を犯してしまい、しかも不幸なことに、当時付き合っていた恋人にその紙片を見つけられてしまい「ちょっと!女の字で書かれた女の名前っぽいメアドが、なんでアナタのポケットから出てくるわけ!?」と詰め寄られて大変な目に遭ったという経験を持つ当方が、2001年度上期NHK朝の連続テレビ小説『ちゅらさん』の第4回めをBSプレミアム19:00の再放送で見ましたよ。

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第1週「美ら海の約束」

夕食の席で、恵里(浦野未来)は沖縄で暮らせば和也(遠藤雄弥)の病気はきっと良くなると話した。恵里は、和也が手の施しようのない重病であることを知らず、明るく励まそうと思ってそう言ったのだ。

しかし、和也の母・静子(真野響子)の機嫌が急に悪くなった。沖縄に来ただけで病気が治るなどといったバカなことはないなどと、子供相手に激しい剣幕で喚き立てた。静子は泣きながらその場を去った。食卓は重い雰囲気に包まれた。

その夜、恵里は寝付けなかった。恵里の母・勝子(田中好子)は恵里に和也が重い病気であることを話した。本当は黙っている約束だったのだが、恵里に話さずにはいられなくなったのだ。恵里の目からは元気に見える和也なのに、近い将来死ぬ人間だとは到底信じられなかった。

翌朝、和也はキジムナー(沖縄に住むという子どもの姿をした妖精)の扮装をして朝食の場に現れた。みんなを驚かせようという算段だ。恵里がひどく驚き、和也のイタズラは大成功だった。一同はそれで大笑いし、前夜のわだかまりはすっかり消えた。

しかし、恵里が和也を心配する気持ちは消えなかった。それと同時に、自分にはどうすることもできないという無力感も感じるのだった。

そして2日後、和也の父・伸生(勝野洋)は東京での仕事のため単身帰っていった。

ある日、和也と文也、そして恵里は祖母・ハナ(平良とみ)に連れられて墓参りへ行った。ハナの説明によれば、沖縄の墓はとても大きく、生きている人の住処よりも良い場所に作られるのだという。

和也は、みんなの前でハナに死ぬのが怖いかと聞いた。ハナは怖くないという。死んだ人の魂は生きている人のすぐそばにある。だから怖くないと答えた。その答えを聞き、和也も死ぬのが怖くないと同意した。

和也の返事を聞いたハナは、恵里と文也に花を摘んでくるよう命じ、遠くに行かせた。そして、和也とふたりきりになると、墓の前で嘘をついてはいけないとたしなめた。死ぬのが怖くないと言っていいのは年寄りだけであり、和也のような若い者が言ってはいけないと言うのだ。
和也は、ハナにだけは正直な気持ちを打ち明けた。本当はとても死ぬのが怖いのだ。それを聞いたハナは、素直で良いと笑った。

恵里と文也は、ハナが自分たちを体よく追い払ったことに気付いていた。花を摘みながら和也とハナの方を伺い、ふたりが深刻な話をしている雰囲気を感じ取っていた。特に心配そうな文也に対して、恵里はおかしな表情を作って笑わせようとした。それを見てつい吹き出してしまった文也は、恵里に対して「ブス。この島にはかわいい女の子はいない」などと口喧嘩をふっかけた。恵里も自分は島内でも器量よしで評判だと、負けずに応じた。
恵里が東京には自分よりも可愛い子がたくさんいるのかと聞くと、文也は照れながら、それほど多くないと答えた。そのやりとりでふたりは大笑いした。

ある日、和也が近くの無人島・嘉弥真島に行きたいと言い出した。小型船をチャーターし、みんなで一緒に出かける事になった。恵里はみんなを笑わせようと、船の上でおどけてみせた。みんなが笑った。

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NHK『ちゅらさん』第3回

20年くらい前には「アッシーくん」(女性の送迎専門の男性。一般に肉体関係どころか、手を繋ぐこともできない)、「メッシーくん」(女性に食事をご馳走することに特化した男性。一般に肉体関係どころか、手を繋ぐこともできない)などといった言葉が流行したことがあり、15年くらい前のインターネットブームの頃には「ツナグくん」(女性宅の家電製品やパソコンの接続を無償で行う男性。女性と密室でふたりきりなのに、肉体関係は許されない。繋いでいいのは配線だけで、手を繋ぐことはできない)という言葉が新たに生まれたりしたわけだが、ちょうどその頃に国仲涼子と遠縁だというかわいこちゃんの家にツナグくんとして行ったことのある当方が、2001年度上期NHK朝の連続テレビ小説『ちゅらさん』の第3回めをBSプレミアム19:00の再放送で見ましたよ。

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第1週「美ら海の約束」

長男・和也(遠藤雄弥)の病気療養のため、東京から沖縄の小浜島に長期逗留に来た上村母子。和也は民宿に滞在したままだが、弟の文也(山内秀一)は翌日から地元の小学校へ通うこととなった。文也が東京で通っていた小学校には1000人以上の児童がいたという。恵里(浦野未来)の暮らす小浜島の人口は500人程度であり、小学生だけでその倍以上の人数がいる計算になる。あまりのことに恵里は想像がつかなかった。

恵里の通う小学校は、複式学級である。5年生の恵里と6年生の文也はクラスメイトとなり、同じ教室で授業を受けた。国語の授業では文也の流暢な標準語が披露され、島の子どもたちはみな感心するのだった。

それから1週間ほどが経ち、和也と文也は島の暮らしにすっかり馴染んだ。放課後には、恵里と和也、文也の3人でいつも屋外に遊びに出た。和也の母・静子(真野響子)は、東京では入院ばかりしていた和也が毎日外で遊ぶことなど信じられないことだった。

その日、東京から和也の父・伸生(勝野洋)がやって来た。民宿に到着した時、和也らは遊びに出かけていたので、恵里の父・恵文(堺正章)に案内してもらい、島の見物がてら和也を探しに出かけた。

その頃、恵里は木に登って鳥を捕まえようとしていた。怪我をした鳥を見つけたので、手当してやろうというのだ。和也と文也は、恵里が木から落ちやしないかとヒヤヒヤしながら見上げていた。

恵文や伸生が森の中で彼らを見つけた。その時、気を取られた恵里は過って木から転落した。ちょうど真下にいた和也が、体を張って恵里を受けとめた。和也は腕に軽い怪我を負ったが、おかげで恵里は無傷だった。

大事には至らずに家に帰って来ることができた。伸生や文也は和也の英雄的な行為を褒め称えた。本人もまんざらではなかった。一方の恵里は、和也と顔を合わせるわけにもいかず、家の中でしゅんとしていた。

夕食の時間になり、みんなで食卓を囲んだ。和也や文也は、久しぶりの父との食事で大いに盛り上がっていた。
一方の恵里は落ち込んだまま、改めて和也に謝った。そして、病気だと聞いていた和也が意外に元気であると言い、病気はすぐに良くなるだろうと明るく話すのだった。

すると、それまで機嫌の良かった静子が急に不機嫌になった。責めるような口調で、気休めを咎めるのだった。

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山瀬まみ『パーフェクト・ベスト』

本日、10月2日は山瀬まみの誕生日。

キンチョールのCMで「43歳(事務所発表)」と叫んでいた時点から1歳増えて、44歳となったわけである。キンチョールは殺虫剤であり、宣伝は夏に集中的に行うのが効果的だ。秋になって虫が減れば、当然CMの機会も減ることだろう。CMの発言と実年齢の不整合は、CMが流れなくなることで自然に解消されるわけだからよく出来ている。

さて、本日、キングレコードの「パーフェクト・ベスト・シリーズ」から山瀬まみのベストCDが発売された。本人の誕生日に発売されることは大変喜ばしいことである。
もちろん、発売日であり彼女の誕生日である今日、きちんと入手してうっとりと聞いている当方である。
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NHK『ちゅらさん』第2回

大学院時代のかわいこちゃん後輩が国仲涼子の遠縁だと聞いていたような気がするわけであり、ヒロイン役の国仲涼子を楽しみにしていたと言っても過言ではないわけだが、第1話には登場しなかったのでちょっとガッカリした当方が、2001年度上期NHK朝の連続テレビ小説『ちゅらさん』の第2回めをBSプレミアム19:00の再放送で見ましたよ。

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第1週「美ら海の約束」

民宿こはぐら荘に、久しぶりの客が来た。
東京から来た親子で、母・上村静子(真野響子)と和也(遠藤雄弥)、文也(山内秀一)の兄弟だった。

恵里(浦野未来)は、東京からの客と聞いて、彼らに対して興味津々だった。港から民宿までの送迎の車中で、早くもふたりの子どもたちと仲良しになった。父・恵文(堺正章)も久しぶりの宿泊客に興奮するとともに、静子の上品で洗練された美女ぶりに鼻の下を伸ばしてばかりだった。

上村親子は詳しいことは話そうとしなかったが、和也は病気療養のために小浜島に来たのだという。恵里から見ると、和也は明るく元気そうであった。恵里は和也の病気というのはいたって軽いものだろうと想像するのだった。

その夜、子どもたちを寝かしつけると、静子は恵文や勝子(田中好子)、ハナ(平良とみ)に自分たちの事情を打ち明けた。和也は重い病気にかかっており、病院を何軒も回ったが、治療法が見つからなかったという。どの医師からも異口同音に、あとは本人の気力次第であり、好きなように余命を過ごさせるのが良いと言われたのだという。それで、和也が望んだ通り、小浜島に長期療養に来たのだという。

和也が小浜島の民宿こはぐら荘を知った経緯は摩訶不思議であったという。和也は小さな時からほとんど入院ばかりしていた。その日も和也は、病院の屋上のお気に入りのベンチに座っていたのだという。するとどこからともなく、民宿こはぐら荘のチラシが飛んできたのだという。空を見上げても、病院より高い建物は周囲に見当たらない。和也は、この民宿に行くことが、神に定められた運命だと感じたのだという。
静子の夫は東京で小さな貿易会社を経営しており、東京を離れるわけにもいかない。静子は乗り気ではなかったのだが、希望を叶えてやることが本人の生きる活力にも繋がると周囲から勧められ、こちらに来ることを決意したのだという。

恵文は、和也が拾ったというチラシを調べ、それが本物のチラシであることを認めた。10年近く前に印刷し、東京の旅行代理店に頼んで置かせてもらったものだという。それ以来、増刷したこともないので、今頃それが出てきたことを不思議に思った。そしてますます、神の思し召しだという話を信じるのだった。

その頃、離れの客室では、和也と文也が話をしていた。弟の文也は、沖縄の小浜島に来たことにまだ戸惑っていた。そんな彼に対して、和也は精一杯楽しんで、見たことや感じたことを全て覚えておいて欲しいと頼んだ。自分は近いうちに死んでしまうだろうが、この島で一緒に過ごした時間をずっと覚えていて欲しいと願っているのだ。

そんな話を聞かされ、文也はいたたまれなくなった。ついと部屋を出て行くと、大人たちが話をしている母屋に向かった。そして、何も言わずに母・静子にすがりついて泣くのだった。上村母子の事情を聞いた恵文らは、文也の悲しい気持ちを察した。

その騒ぎに、眠っていた恵里も目を覚ました。ふすまを開けてそっと居間を覗いた。前後の細かい事情はさっぱりわからなかったが、和也の病気に関して文也が胸を痛めているのだろうことは想像できた。恵里は、沖縄の風土が和也の病気を癒やし、文也の悲しみも払拭してくれるだろうと信じるのだった。

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NHK『ちゅらさん』第1回

今朝1回限りでやめてしまった『ごちそうさん』まとめ記事のラストには、「次は、あの朝ドラで会いましょう。」とだけ書いて作品名は曖昧にしておいたのだが、2014年度上期に吉高由里子主演で放送される『花子とアン』(制作発表)ではなく、これまで一度も見たことのなかったこの作品を指していたのですよと、ネタばらしする当方が、2001年度上期NHK朝の連続テレビ小説『ちゅらさん』の第1回めをBSプレミアム19:00の再放送で見ましたよ。

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第1週「美ら海の約束」

沖縄県の八重山諸島に属する小浜島に、古波蔵(こはぐら)一家が住んでいた。
古波蔵恵文(堺正章)は三線ばかり弾いていて、真面目に働かない男だった。一方、その妻・勝子(田中好子)は働き者だった。ふたりはサトウキビ農家として生計を立てていた。ただし、畑に出ても恵文はサボってばかりで、もっぱら勝子が仕事に精を出していた。それでも夫婦仲は良かった。

勝子の実家は那覇にあり、小浜島の古波蔵へ嫁いできた。姑・ハナ(平良とみ)と同居しているが、嫁姑の関係は良好だった。むしろハナは、実の息子よりも勝子の味方をすることが多いほどだった。他に、息子の恵尚(宮谷恵多)がいた。

1972年(昭和47年)5月15日、それまでアメリカの占領下にあった沖縄が日本へ返還された。
沖縄の人々の生活が劇的に変わるわけではなかったが、恵文はそれを好機だと捉えた。日本人が自由に行き来できるようになるので、小浜島にも大勢の観光客がやって来ると読んだのだ。自宅で民宿を経営すると言い出した。
ハナはいつも恵文の思いつきに振り回されるのでまともに相手にしなかった。夫に口答えすることがほとんどない勝子は、何も言わずにいた。

その日、それよりも大きな出来事は、身重だった勝子が産気づいたことだ。そうして無事に長女・恵里が生まれた。長男の恵尚と同様に、父・恵文から一文字授けられた名前だ。恵文はたいそう喜び、恵里に「ちゅらさん」と呼びかけた。それは沖縄の言葉で、美しいという意味だった。

1983年(昭和58年)11月、恵里(浦野未来)は小学5年生になっていた。
現在、兄・恵尚は石垣島の高校に入学し寮生活を行っている。古波蔵家には、次男・恵達(村上雄太)が生まれ、恵里と同じ小学校に通っている。恵里の夢は、祖母・ハナのように立派なおばばになることだった。恵里はいくぶんおてんば娘に育ち、弟の恵達にも威張ってばかりいた。

恵文の開いた民宿は、最初の年こそ何組かの客が来たが、その後は全く客足がなかった。恵里は物心ついて以来、一度も客を見たことがない。恵文と勝子は相変わらずサトウキビ畑で働いており、その稼ぎでは一家が食べていくだけで精一杯であり、蓄えをすることもできていなかった。

勝子は一家の将来が不安になった。特に、子どもたちの教育費が全くないことを心配した。これからの時代は大卒が当たり前になると言われているのに、一家には子どもたちを大学に行かせる余裕が無いからだ。勝子は、恵文に那覇へ引っ越すことを提案した。そこで稼ぎのいい仕事に就き、子どもたちの養育費を捻出しようと提案した。ハナは勝子の意見に半ば賛成だった。

しかし、恵文はのらりくらりと受け答えするだけで、小浜島を出るつもりは全くなかった。

まさにその時、東京の客から予約電話がかかってきた。母と2人の息子で長期滞在したいのだという。恵文は喜び勇んでそれを受け入れた。勝子も、客が来るということで那覇行きの提案を引っ込めた。むしろ、10年ぶりの客を受け入れる準備に張り切るのだった。

電話の翌々日、東京からの客を出迎えるため、恵文と恵里は港へ向かった。

港に入ってきた小型船には、上村母子が乗っていた。母・静子(真野響子)は、小浜島が見えてくるにつれ、何もない町並みに不平を言った。この島に来たいと言い出したのは、長男の和也(遠藤雄弥)だったのだ。和也の病気療養のため、次男・文也(山内秀一)と共にやって来たのだ。静子は、和也の快復のためにはなんでもする気でいた。

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NHK『ごちそうさん』第1回

色白ベビーフェイスが大好きな僕なので、今回のヒロインには何も惹かれるものがなくスルーするつもりだったが、「子役は文字通りべビーフェイスだな、うん」と考えなおすことにした当方が、NHK朝の連続テレビ小説『ごちそうさん』の第1回めの放送を見ましたよ。

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第1週「いちご一会」

1911年(明治44年)春、東京・本郷。
め以子(豊嶋花)は6歳だった。無類の食いしん坊で、毎晩食べ物の夢ばかり見ている。誰よりも朝寝坊だが、朝食の準備ができたといって起こされると、シャッキリと目を覚ます。

その日の朝食は、とても大きなオムレツだった。洋食店・開明軒を営む父・大五(原田泰造)の自慢料理の一つだ。卵を大量に使い、分厚くてフワフワに仕上げてある。それが大好物のめ以子は、口いっぱいに頬張って食べた。

母・イク(財前直見)も大五の店を手伝っており、彼の料理の腕には一目置いている。しかし、家族の朝食用に大量の卵を使ってしまったことにブツブツと小言を言うのだった。

小学校の昼食用に持たされた弁当はケチャップライスだった。それもめ以子の大好物だ。ガキ大将の源太(屋島昂太)は、め以子の弁当が美味いことを知っている。今日もめ以子の弁当をつまみ食いしようとしたが、め以子は取られる前に大急ぎでかっこむのだった。

放課後、め以子は校庭の鶏小屋に立ち寄った。産みたての卵で作ったオムレツを食べてみたいと思ったからだ。鶏小屋に侵入し卵を盗もうとしたが、抵抗した鶏たちに襲われてしまった。全身傷だらけになるとともに、イクが学校に呼ばれて叱られた。

その晩、め以子は夕食抜きの罰を受けた。食べることが何よりも好きなめ以子は落ち込んだ。祖母・トラ(吉行和子)は、隠しておいたカステラをこっそりとめ以子に食べさせた。め以子は美味しいカステラに喜んだ。

それと同時に、トラはそこらにある物を取って食べないよう注意した。おかしなものを食べると腹をこわすからだという。腹をこわしてしまうと、美味しいものが食べられなくなる。それは損だから、拾い食いはするなと言い含めるのだった。

ある日、め以子が遊び場の寺に行ってみると、ガキ大将の源太に声をかけられた。お堂を覗くと、見たこともない赤くて丸い果物(いちご)が供えてあった。め以子はそれを食べてみたくて仕方なくなった。

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NHK『あまちゃん』最終回(第156回)

今回のまとめ記事シリーズでは、「つづく。」というアキ(能年玲奈)の画像をいつも文末につけており、「ドラマがつまらなくなったら、その画像を外し、告知なく連載をやめる」という密かな規律の下で連載を続けてきたわけだが、そういう事態も発生せず無事に完走できたことを喜ばしく思う当方が、NHK朝の連続テレビ小説『あまちゃん』の最終回(第156回め)の放送を見ましたよ。

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最終週(第25週)「おらたち、熱いよね!」

2012年7月1日。
北鉄の北三陸駅-畑野間が運転再開された。記念式典が開かれ、大勢の市民や鉄道ファンが集まった。1984年同日の北鉄開通式も盛況だったが、今日はその時の人手や興奮を大きく超える盛り上がりだった。大吉(杉本哲太)は感激した。

北三陸市長・足立功(平泉成)が祝辞を述べ、その娘でありミス北鉄でもあるユイ(橋本愛)がくす玉を割ろうとした。その時、人のドミノ倒しが発生し、予期せぬ状態でくす玉が割れてしまった。

それは、1984年の開通式とそっくりな光景だった。当時は家出しようと人混みをかき分けた春子(有村架純)がきっかけでドミノ倒しが起きたのだが、今回は正宗(尾美としのり)がきっかけとなった。春子(小泉今日子)が鈴鹿ひろ美(薬師丸ひろ子)に同行し、すでに北三陸を発ったことを知らなかった正宗が、彼女を探すために慌てて駅に来た。その時に人混みをかき分けたのが原因となったのだ。

運行再開の1号列車が駅を出発した。列車は満員で出発し、沿線からも運行再開を喜ぶ人々が笑顔で手を振った。
袖が浜の海開きにも大勢の観光客が集まった。アキ(能年玲奈)がウニを獲って海から顔を出すと、大きな歓声が上がった。
列車が袖が浜にさしかかった時、同乗していたユイは窓から大きく手を振った。浜からそれを見つけたアキも大きく手を振り返すのだった。

北三陸始まって以来の観光客が押し寄せ、北鉄と袖が浜だけでは収容しきれなくなった。そこで、琥珀堀り・勉(塩見三省)の琥珀坑道が開放され、発掘体験が開催された。そこに参加した小学生が、奇妙な石を見つけた。勉が吟味してみると、それはコエルロサウルス類の後ろ足の指の骨だとわかった。琥珀とは比べ物にならないほど珍しいものなので、勉は興奮した。北三陸で恐竜の骨が見つかったというのは大発見であり、自分がその第一発見者になれると思ったからだ。
勉はすぐに弟子の水口(松田龍平)に知らせた。しかし、水口は前日にそれとそっくりなものを見つけていたという。その価値を見出だせなかった水口は箸置きとして使っていたが、それも間違いなく恐竜の化石だった。勉は自分が第一発見者でなかったことに落胆した。

アキとユイのお座敷列車イベントが始まった。
琥珀や化石には無感情で対峙する水口だが、念願のお座敷列車には興奮して参加した。ビデオカメラを構え、典型的なアイドルファンとして列車に乗り込んだ。
本来、北三陸に来る予定のなかった正宗はチケットを用意していなかった。お座敷列車のチケットはすでに売り切れで、数日先の分まで予約でいっぱいだ。たとえ身内であっても載せてやる余地はないという。ホームで落ち込む正宗に声をかけたのは、アイドル評論家のヒビキ一郎(村杉蝉之介)だった。自分は全ての回のチケットを持っているので、初回のチケットを正宗に譲ることを申し出た。こうして正宗は無事に乗り込むことができた。

北鉄の運行再開やお座敷列車のことはテレビニュースでも取りあげられ、東京の喫茶アイドルの店主・甲斐(松尾スズキ)も見た。彼は、アキや春子が自分の店でバイトしていたことを客に自慢するのだった。
お座敷列車の映像はネットでも公開され、ベーリング海上を航海していた忠兵衛(蟹江敬三)も見ることができた。外国人乗組員に対して、自分の孫だといって自慢しながら見せるのだった。
イベントの模様は地元の新聞でも大きく扱われた。ただし、その日の1面は恐竜の化石を発見した水口と小学生が飾ることとなった。

お座敷列車イベントの初日は無事終了した。畑野駅で列車を降りたアキとユイは、いくつか失敗したところがあると反省した。しかし、翌日も翌々日もイベントがあるのだから、そこでは改善しようと話し合った。さらに、今年だけではなく、翌年も同じようにイベントをしようと誓い合った。その頃には北鉄の再開区間も延長され、畑野より先に行けるようになるだろうと期待した。そして、畑野駅から先は東京に繋がっていると語り合うのだった。

ユイは、今すぐ先に進みたいと言い出した。ふたりは線路に降り、畑野駅の先にあるトンネルへ向かって走りだした。

暗いトンネルを走り抜けると、そこは光り輝く世界だった。

(おしまい)

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NHK『あまちゃん』第155回

この半年間、毎日マクラを考えるのが一番辛かったのだけれど、それも明日で終わるのかと思うとほっとしている当方が、NHK朝の連続テレビ小説『あまちゃん』の第155回めの放送を見ましたよ。

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最終週(第25週)「おらたち、熱いよね!」

3組の合同結婚式の最後に新郎新婦からの花束贈呈が行われた。大吉(杉本哲太)の家系はアルコールに弱く母親が酔いつぶれてしまったり、身寄りのない(片桐はいり)、親族が来ていない鈴鹿(薬師丸ひろ子)や荒巻(古田新太)などの事情があったので、夏(宮本信子)が全夫婦から花束を受け取ることになった。

引き続き、夏の挨拶が行われた。
最初に夏は、鈴鹿に感謝の言葉を述べた。鈴鹿が北三陸にやって来たことで地元が大いに盛り上がり、おまけに、一人娘の春子(小泉今日子)の花嫁姿も見ることができたというのだ。
荒巻には、北三陸や東北、その他の田舎へどんどん金を落とすように言った。それが金持ちの勤めであり、金が入れば田舎の人々は元気になるというのだ。
大吉には、二度と安部を泣かすことのないよう釘を差した。そのようなことが起きたら、二度と北鉄には乗らないし、ウニ丼も納入しないと脅すのだった。

スピーチの最後に、夏は今年限りで海女を引退すると宣言した。一昨年には体を壊して入院し、前年には大震災で恐ろしい目に遭った。明日がどうなるかわからない不安な毎日の中で、春子やアキ(能年玲奈)に助けられてなんとか生きてくることができた。その他、町の人々の世話にもなった。老兵の時代は終わり、これからは若い世代の時代だと言うのだ。
そうして、町の人々にエールと感謝の言葉を述べて、夏は挨拶を終えた。

結婚式が終わり、鈴鹿は天野家の春子の部屋でくつろいでいた。そこに春子がやって来た。ふたりは80年代の懐かしのアイドルグッズを眺めて大いに盛り上がった。ふたりは口に出して言うことはなかったが、影武者問題について互いにわだかまりを持っていた。ふと春子は、今日のリサイタルで鈴鹿がわだかまりを解消できたのか聞いてみた。鈴鹿は肯定した。それは春子も同じだった。そうしてふたりは、こころから打ち解け合った。

北三陸駅舎では、アキとユイ(橋本愛)が翌日のお座敷列車イベントについて話していた。テレビカメラも入り、その模様は全国へ向けて放送されるという。ユイは極度に緊張していた。一方のアキは平常心だった。アキは、一人だと心細いが、ふたりが揃えば怖いものはないと言うのだった。
ふたりが一緒に歌うのは3年ぶりだ。アキはあっという間の3年間だったと振り返るが、同じ時間をユイはとても長いものだと感じているのだった。

2012年7月1日早朝。
袖が浜の海開きに向けて、『いつでも夢を』が流れる中、海女たちを招集する放送が行われた。なんと今年は、北三陸に滞在していた鈴鹿ひろ美がアナウンスをするというサプライズが行われた。何も知らされていなかったアキは驚き、楽しい気分になるのだった。

ただし、鈴鹿は海開きやお座敷列車イベントには参加せずに北三陸を去るのだという。チャリティーリサイタルの東北ツアーに向けて、朝の新幹線で移動しなくてはならないからだ。そのツアーには荒巻はもちろん、所属事務所社長である春子も同行する。ゆえに、春子も朝のうちに北三陸を発つことになった。

アキは、せめて北三陸の再開通式だけでも見ていくように勧めた。しかし春子は、北三陸鉄道の開通式といえば、自分が家出した日のことなど、よくないことを思い出してしまうので見たくないというのだった。アキはそれ以上何も言わなかった。

こうして、北三陸の再生の日が始まった。

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NHK『あまちゃん』第154回

「残り3回マーメイド♪」と歌っている当方が、NHK朝の連続テレビ小説『あまちゃん』の第154回めの放送を見ましたよ。

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最終週(第25週)「おらたち、熱いよね!」

鈴鹿ひろ美(薬師丸ひろ子)は音程を外すどころか、とても上手に歌った。そして、リサイタルは大成功に終わった。

春子(小泉今日子)は、本当の鈴鹿は歌の名人なのではないかと勘ぐった。これまで、わざと下手に歌っていたのではないかと荒巻(古田新太)に話した。鈴鹿は、女優としてのプライドを持っており、それはデビュー当時から一貫している。しかし、新人アイドルとして売りだされた鈴鹿は、歌の仕事もやらされることとなった。それが嫌だった鈴鹿は、音痴の振りをすることで歌の仕事を避けていたのではないかと考えたのだ。
しかし、真相は本人以外にはわからなかった。

リサイタル終了後、夏(宮本信子)は忠兵衛(蟹江敬三)が何も言わずに漁に出たことに気付いた。旅立つ直前の忠兵衛に会った正宗(尾美としのり)は、忠兵衛がへそを曲げて無言で漁に出たことを知らせた。海女カフェや北鉄の再開などで、町の人々も夏も忠兵衛の相手をしない。それに腹を立てて旅立ったというのだ。
突然の忠兵衛の旅立ちに、夏は深く落ち込んだ。

春子が海女カフェの控室に呼ばれて入っていくと、そこには花嫁衣裳が3着準備されていた。大吉(杉本哲太)と安部(片桐はいり)、鈴鹿ひろ美と荒巻の合同結婚式にしては1着多い。町の人々は春子と正宗の結婚式も一緒にやろうと言うのだ。
春子は抵抗した。しかし、忠兵衛がいなくなって落ち込んでいる夏の姿を見ると気が変わった。

そうして、3組の合同結婚式が挙行された。海女カフェに作られたバージンロードの上を、計6人の中年たちが半笑いで着飾って歩く姿は、アキ(能年玲奈)にはとても奇妙に見えた。誓いのキスを促されても拒否したり、指輪を床に落としたりと、散々な結婚式だった。

それでも、みんなは笑顔で祝福した。落ち込んでいた夏もすっかり元気を取り戻した。めでたい結婚式となった。

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NHK『あまちゃん』第153回

アキ(能年玲奈)×種市(福士蒼汰)、ユイ(橋本愛)×ハセヘンの恋愛はこのまま描かれることなくフェードアウトしそうな雰囲気が漂っているわけだが、春子(小泉今日子)×正宗(尾美としのり)、鈴鹿×荒巻(古田新太)、大吉(杉本哲太)×安部(片桐はいり)の復縁をそれぞれ見せることで目をそらさせている巧妙な脚本に舌を巻いている当方が、NHK朝の連続テレビ小説『あまちゃん』の第153回めの放送を見ましたよ。

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最終週(第25週)「おらたち、熱いよね!」

2012年6月27日。
アキ(能年玲奈)と水口(松田龍平)は、鈴鹿ひろ美(薬師丸ひろ子)が音痴でることをユイ(橋本愛)にだけ伝えた。驚くユイであったが、『潮騒のメモリー』を聞き直し、確かに若い頃の春子(有村架純)の声だと認めた。

チャリティーコンサートまで残り3日。アキとユイは鈴鹿の特訓に付き合った。しかし、鈴鹿の歌唱力は一朝一夕に向上するものではなかった。

そういているうちに、本番の6月30日を迎えた。この日を楽しみにしていた地元の人々で、海女カフェは満員になった。仮設住宅に住んでいる人には特別招待券が配布され、お年寄りから小さな子どもを持つ家族連れまで、老若男女が集まった。夏(宮本信子)ももちろん来ていたが、忠兵衛(蟹江敬三)だけは来ていなかった。彼は今日、宮古から漁に出ようとしていた。

北三陸の様子はテレビで中継され、正宗(尾美としのり)がテレビで見ていた。春子(小泉今日子)を呼んで一緒に見ようとしたが、彼女の姿が見えない。当日は東京にいるはずだった春子がいないことに、正宗は胸騒ぎがした。すぐに北三陸へ向かった。

開演直前、鈴鹿は『潮騒のメモリー』の歌詞に悩んでいた。最後の「三途の川のマーメイド 友達少ないマーメイド」の部分が、場に相応しくないためどうしても変更したいのだ。しかし、適切な歌詞が思いつかない。アキたちが歌唱力について心配するのをよそに、本人は歌詞のことばかり気にしていた。

荒巻(古田新太)は、鈴鹿の音痴が露呈するという最悪の事態を避けるために手を打っていた。春子を会場に呼び寄せていたのだ。昔と同じように、春子をゴーストシンガーとして歌わせるつもりでいた。しかし、春子の到着が遅れていて、荒巻は肝を冷やした。

いよいよリサイタルが始まった。鈴鹿が舞台に登場した。真相を知る関係者一同は、運を天に任せるしかないと諦めた。

その瞬間、春子が会場に到着した。荒巻は予備マイクを春子に渡し、春子は舞台袖に潜んだ。春子の姿に気付いた鈴鹿は、驚き、声が出なくなってしまった。そしてそのまま、春子がマイクを構え、演奏に合わせて『潮騒のメモリー』の冒頭を歌い始めた。

しかし、その時事故が起きた。マイクを受け取る時、荒巻も春子も慌てていたため、マイクの電池が抜け落ちてしまっていたのだ。春子が歌っても、その声が会場に流れることはなかった。

その様子を見て、鈴鹿は自分の声で朗々と歌い始めた。そしてそれは、奇跡のように見事な歌唱だった。何も知らない客達は鈴鹿の歌の上手さに聞き惚れた。鈴鹿の音痴を知る関係者は、本番に強い鈴鹿の悪運に舌を巻くと共に、鈴鹿と春子の暗い過去がやっと精算できたことに感動するのだった。

鈴鹿の『潮騒のメモリー』は終盤に差し掛かった。彼女が思い悩んでいた「三途の川のマーメイド 友達少ないマーメイド」の部分は「三代前からマーメイド 親譲りのマーメイド」に変更されて歌われた。それが天野家の3人の女たちを意味していることは誰にも明らかだった。

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