僕が朝ドラに注目する理由は、NHKらしい手堅い脚本や出演者の演技はもちろんだが、ヒロインの故郷や職業を通じて地方の景観や風俗、職人芸、職業観などを垣間見せてくれるという「雑学的面白さ」への期待があるわけで、『ちりとてちん』(主演:貫地谷しほり)では福井県小浜市の名物や落語家の生態についてよくわかったし、世紀の駄作『だんだん』(主演: マナカナ)ですら島根県松江市の紹介だけは見事だったし実際に行って好きな街になったし、『つばさ』(主演: 多部未華子)を見てはいつか埼玉県川越市に遊びに行ったり和菓子を食べたいと願うようになったし、『ゲゲゲの女房』(主演: 松下奈緒)は隻腕・水木しげるの漫画を描く様子が見事に写実されていて舌を巻いたし、広島県尾道市が舞台の『てっぱん』(主演: 瀧本美織)を見てから初めて大林宣彦の「尾道三部作」に興味が湧いて原田知世の『時をかける少女』を見て楽しんだし、『おひさま』(主演: 井上真央)の長野県安曇野の風景の美しさに心打たれて先日ドライブに出かけたし蕎麦も食ったし、『カーネーション』(主演: 尾野真千子)を見て日本のファッション史のおおまかな流れを理解できて満足したわけであり素晴らしいわけでもあったわけだが、一方で『梅ちゃん先生』(主演: 堀北真希)とかありゃなんだ?東京蒲田という舞台も医者の仕事の裏事情もほとんど絵空事で架空の土地の架空の職業みたいな感じで少しも憧れを抱かなかったし、本作に関していえば、つい半月前までは沖縄県宮古島の位置すら知らなかった俺なのでそこがどんな場所なのかふんだんに紹介してくれるのかと期待していたのに九州訛りの大阪弁をしゃべる武田鉄矢が島民をこき下ろすだけだったり、ホテルの裏方の苦労ややり甲斐をめいっぱい紹介してくれるのかと期待していたら中学生が作文で想像して書くようなホテルスタッフしか出てこないからがっかりだし、ほんとどうにかしてくれよとブツブツ言っている当方が、NHK朝の連続テレビ小説『純と愛』の第15回めの放送を見ましたよ。
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第3週「しんじるこころ」
兄・正(速水もこみち)が那覇にいる女性を妊娠させた。しかし、彼女と別れたがっている。実家の母(森下愛子)にせがまれ、純(夏菜)は那覇にやってきた。歳の近い純ならば、相手の女性を説得して穏便に別れさせることができるだろうと当てにされたのだ。
空港で純は母、正と合流した。
正の説明によれば、相手はマリヤ(高橋メアリージュン)という名で、日本人とフィリピン人とのハーフだという。那覇のキャバクラで働いており、そこで正を出会ったという。普段はおとなしい性格だが、興奮すると人が変わるという。我を忘れると英語で喚き立て、何をしだすか分からなくなるという。
3人はタクシーでマリヤのアパートの前に乗り付けた。ただし、ふたりはアパートの前で待つといい、純を一人で説得に向かわせた。不承不承ながら純はマリヤの部屋へ向かった。
呼び鈴を鳴らすと、すぐにマリヤが出てきた。純が正の使いで来たと言った途端、マリヤに殴られた。純のことを正の新しい恋人だと早合点して、かっとして手が出たのだ。すぐに妹であることを説明するとマリヤは深く謝罪の上、部屋に招き入れ鼻血の手当をしてくれた。
手当が済むと、マリヤはお茶の準備を始めた。純を歓迎しているのだ。
マリヤの暮らしは質素なものだった。中では、正とマリヤが楽しそうに写っている小さなスナップ写真だけが目を引いた。それを見るだけで、マリヤが正のことを大切に思っている様子がうかがえた。マリヤと話をして、彼女の真の愛情も確認できた。優しくてハンサムな正のことを心から愛していると言うのだ。
話しているうちに、マリヤの感情は高ぶってきた。彼女が言うには、自分が正のことを好きになればなるほど、彼の気持ちが離れていくのがわかったのだという。そして、子供ができたとわかった途端、正はひどく冷淡になったというのだ。腹の中の子が、正の子ではないことを疑っている素振りもあるという。マリヤは自分の愛を信じてもらえないことにひどく落胆している。
ついに包丁を握り、この場で死ぬとまで言い出した。
慌てて純は包丁を取り上げた。互いに落ち着くことと、包丁をマリヤから遠ざけるため、純はトイレに篭った。
するとそこへ、愛(風間俊介)から電話がかかってきた。外国人宿泊客(ベン・スレター)のために購入するケーキは無事に買えそうだから安心しろという連絡だった。ただし、大阪に嵐が近づいていおり、悪くすると飛行機が欠航になる恐れがあるという。今日中に外国人宿泊客にケーキを渡すためには、早く大阪へ戻った方が良いという助言だった。
純は、正とマリヤを直接話し合わせることにした。マリヤの心情を思いやれば、ふたりが面と向かって話すことが必要だと思ったのだ。その上、純もこの話には深入りしたくないし、何よりも嵐が来る前に大阪に帰りたくなったのだ。
アパートの外で、純は正に対して、マリヤの愛が本物であることを説明した。けれども正は、マリヤに口を開くやいなや、本当に自分の子どもかどうか疑わしいと言ってしまった。
怒ったマリヤは何も言わずに正の頬を叩いた。そして、出勤するといって歩き去ってしまった。
正はマリヤを追いかけた。母はどうしていいかわからずオロオロするばかりだった。しかし純は、飛行機に乗るために、母を無視して空港へ向かった。
空港への道中、純は土産物屋で竹笛を見つけた。外国人宿泊客の娘は珍しい楽器を集めるのが趣味だと言っていたのを思い出し、彼女の誕生日プレゼントに最適だと思い、それを購入することにした。
そして土産物屋に入って行くと、なんとそこで働いていたのは弟・剛(渡部秀)だった。家出し、昨夜届いた絵葉書では東京にいると書いてあった剛が那覇にいることにひどく驚いた。剛の方も、大阪で働いているはずの純が那覇にいることに驚いた。
しかし、そんなことに構っていられない純は、早く大阪に帰りたくて焦れた。ところが、焦れば焦るほど、マリヤのことが気になり出して留めることができなくなった。剛と連れ立って、歓楽街へマリヤの働いている店を探しに行った。
ほどなくマリヤの店は見つかった。そっと覗いて聞き耳を立てると、正は離れた所に座っていた。代わりに、母がマリヤに向かって説得している最中だった。母は、自分も3人の子持ちだから子を授かった女性の気持ちはよく分かるとは言うものの、マリヤに堕胎しろと言うばかりだった。対するマリヤは、正を愛しており、ふたりの子どもをどうしても産みたいと言って聞かなかった。
そのやり取りを聞いて、純は頭に来た。店内に飛び入り、傍観を続ける正へ食ってかかった。
するとそこへ、新たな人物が現れた。宮古島にいるはずの父・善行(武田鉄矢)だった。
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