映画『ぼくたちと駐在さんの700日戦争』がおもろかった

僕は基本的に、色白ポッチャリ系ベビーフェイスの女の子が大好物だ。

ただし、女優の麻生久美子に関しては例外だ。
彼女は僕の中で5本の指に入る「キレイなお姉さん」系でかなりのお気に入りだ。
普段から、たとえチョイ出であっても、麻生久美子の出演作をコツコツとレンタルして来ては見ている。

そんな中、『ぼくたちと駐在さんの700日戦争』という作品にも麻生久美子が出演していると知ったので見てみた。

麻生久美子

この作品でも麻生久美子はキレイだった。
脚本中も、男子高校生たちが憧れる美人のお姉さんという役柄だった。
眼福であった。
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映画『ペイ・フォワード』

この世界はクソだ。

世の中はクソだ

学校内でのいじめ、満足な教育を受けられなかったことによる貧困。アルコール依存症、家庭内暴力。ホームレス、強盗事件。

中学1年生の社会科を担当するシモネット先生(Kevin Spacey)は、風変わりで少々偏屈だ。
彼は、生徒たちに課題を与えた。実世界で起きている問題を見つけ、それを解決する方法を考案し、実践しろ、と。

Think of an idea to change our world -- and put it into ACTION!

トレバー少年(Haley Joel Osment)は、世界に善意の輪を広げたいと思った。それを実現するユニークな方法も考え出した。
初めに、トレバー自身が3人の相手に善い行いをする。善行を受けた3人は、さらに別の3人に善い行いをする。次の人も同じことをする。
そうすれば、指数関数的に善行を受ける人が増えるだろうという目論見だ。

Pay it forward

しかし、人々はトレバーが考えていたよりも臆病だ。善意を受けても、それを他の誰かに受け渡すことができない人もいる。

Kevin Spacey

そして、ついにトレバーは・・・。

Ending

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東直己『探偵はBARにいる』の映画化を東映が正式発表

東映株式会社のwebページに、映画『探偵はBARにいる』の情報がアップされている。
まだほとんど何も書かれていないが、大泉洋が主演だという噂も聞く。

謎の女との接触が呼び寄せた三つの殺人事件-。不可解な事件の真相は?謎の女の正体は?全てが終わる時、探偵を待つものは?日本推理作家協会賞受賞の東直己の人気シリーズ<ススキノ探偵シリーズ>が遂に映画化!原作はシリーズ第二作目の『バーにかかってきた電話』。2011年、新たなるエンターテインメントが誕生する!!

2011年9月公開予定とのこと。

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映画『ゲゲゲの女房』

 「やっぱり、これを見ないことには区切りがつかないよな、もしくはボーナストラックと考えてもらってもいいよ」とひとりごちている当方が、映画『ゲゲゲの女房』を見ましたよ。

* * *

 武良布枝(吹石一恵)は、島根県安来で家業の酒屋を手伝っているうちに婚期を逃してしまい、すでに29歳になっていた。本人は乗り気ではなかったのだが、両親に勧められるがまま、武良茂(宮藤官九郎)という男と結婚した。
 茂は布枝よりさらに10歳も年上で未婚、戦争で左腕を失ってしまったという。最良の条件とは言えなかったが、貸本漫画家として東京で活躍しているという話であった。
 見合いをしてから5日で結婚し、すぐに東京で夫婦生活を始めた。

 しかし、茂の暮らし向きはお世辞にも良いとは言えず、布枝は驚く。茂を問い詰めたところ、見合いを成功させるために仕事が順調だとウソをついたことをあっさりと認めた。その上、少しも悪びれるところがなかった。
 家には1粒も米がないどころか、米屋への支払いもずいぶんと滞ったままだった。家屋はボロ屋である上に、新婚家庭の2階には布枝の知らない男が間借りしていた。茂は傷痍軍人恩給をもらう資格があったが、受取人は実家の両親になっており、茂には一銭も入ってこないという。
 茂は布枝を連れて帰って来るや、ろくに話もしないうちに仕事部屋に一人で篭ってしまった。布枝は途方にくれてしまった。

 生活を始めるも、茂は仕事ばかりで、少しも布枝に心を開こうとしない。しかも、貸本漫画業界の景気も悪く、原稿料は値切られるばかりだ。布枝は、ついに野草を採ってきて料理をしなければならないところまで落ちぶれた。

 ふと、居間の振り子時計のゼンマイが巻かれていないことに気づいた。毎日ゼンマイを巻くときだけ、布枝は自分が人間らしく生きていることを実感するかのようであった。
 しかし、生活に困ってしまい、その振り子時計も質入されてしまった。

 人手が足りなくなった茂は、布枝に原稿作成を手伝うよう命じた。持ち前の器用さでアシスタントを立派に務める布枝であったが、いまだ茂の漫画の内容は理解できずにいた。
 子供も生まれ、ますます生活は逼迫する一方だった。ついに爆発した布枝は、茂が大切にしていた漫画用資料を古本屋に売却するよう迫る。漫画では食っていけないので、転職するよう訴えたのだ。

 しかしその直後、茂の個性的な作品は週刊少年マガジンの編集部の目に留まり、破格の条件で同誌へ執筆することを依頼された。

 作品を書き上げた茂は、意気揚々と編集部へ作品を届けに出かけた。

 布枝は留守番をしながら、畳に横たわり伸びをした。
 やっと運が向いてきたことに気が軽くなったのだ。

 質受けすることのできた振り子時計のゼンマイをそっと巻く布枝であった。

* * *

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『機動戦士ガンダムUC [ユニコーン]』(2) を見た

 今年3月に第1話を見たのに引き続き、機動戦士ガンダムUC[ユニコーン]の第2話「赤い彗星」を見た。

 第1話で謎の美少女とされていたオードリー・バーンの正体は、ミネバ・ラオ・ザビで確定しました。本人が認めましたし、ネオ・ジオン陣営もそうみなしています。

 今回は、フル・フロンタルというネオ・ジオンの大佐が登場。赤い制服で仮面を付け、金髪です。マスクを取るシーンがあり、青い瞳を有し、額には傷跡があります。彼の乗る赤いモビルスーツは通常の3倍で動きます。声優は池田秀一です。
 これらの特徴は、いずれもガンダム・シリーズの超有名敵役「シャア・アズナブル」に合致します。登場人物たちも、彼のことをシャア・アズナブルではないかと疑っています。ただし、シャアは3年前の戦争で行方不明になっています。死んでしまったのだからシャアがいるはずがないと思いつつも、彼は死んだふりをして別人として再来したのではないかとも思われるわけです。
 シャアは、ファーストガンダム→Zガンダム、および Zガンダム→逆襲のシャアの2度に渡って「死んだかと思ったら生きていた」という伝統芸を披露したので、うかうか見ていられないわけです。
 はたして、彼の正体や如何に。

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黒板純が1/60ガンダムを手に入れるところ

 ドラマ『北の国から』第13回にて。

純がガンプラをもらった

 うろ覚えだけれど、このボックスアートは 1/60 ガンダムだよね。定価は2,500円だったか。
 ドラマの舞台は1981年5月。当時、僕は2,500円もするプラモデルなんて買ってもらえなかった。つーか、ガンプラは人気で品薄だった。一番小さなガンダム(1/144 300円)すら在庫がなかった。
 そんなわけで、僕が初めて買ってもらったプラモデルは、クリスマスプレゼントとして 1/144ボール(300円)。その次が 1/144 コア・ブースター(300円)。
 純(吉岡秀隆)くんが羨ましい。
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NHK『てっぱん』 第2週「18歳の決断」

 前回のまとめ記事で「『てっぱん』の日々まとめは今日で終了」と宣言したことのミソは「週刊にしてみてはどうだろうか」という意味だったとネタばらしする当方が、NHK連続テレビ小説『てっぱん』の第2週放送を見ましたよ。

* * *

第2週「18歳の決断」

【7】
 大阪の初音(富司純子)にトランペットを押し付け、あかり(瀧本美織)は尾道に帰ってきた。ところが、初音に尾道の家族を大事にしろと言われたことが心に引っかかっていた。

 翌朝、なんと兄の鉄平(森田直幸)が初音のところからトランペットを取り戻してきていた。彼はあかりの後を追って大阪に行っていたのだ。あかりが楽しそうにトランペットを吹いていたという話を大阪で聞き、トランペットはあかりが持っているべきだと判断したのだ。

 うろたえるあかりであった。そして彼女は、音楽で生きていくことは諦め、高校卒業後は尾道に残って就職すると言い出した。

【8】
 家族はそれぞれに悩んでいた。それを取り繕い、以前と同じように明るく振舞った。しかし、どこかちぐはぐな雰囲気が漂っている。

 ある日、あかりと真知子は一緒に買物に出かけた。真知子は唐突に旧フェリー乗り場に向かった。18年前、真知子が千春(木南晴夏)と初めて出会った場所だという。千春は妊娠6ヶ月の体で、トランペットケースを抱えてベンチにうずくまっていた。

【9】
 当時、真知子は千春を家に連れて帰った。腹ペコだと言う千春にお好み焼きを振舞った。その食べっぷりに、真知子はいっぺんで千春のことを好きになったという。
 産みの母親の話を唐突に聞かされ、あかりは頭に来た。真知子を残して、一人で家に帰って行った。初音と出会ってから、人生の歯車が狂ったと苛立たしく思うのだった。
 ところが、夕食の準備をする頃には、あかりはすっかり平常心に戻っていた。すぐに怒るところは父親似、楽観的なところは母親似だなどと明るく話し始めるのだった。

 あかりは本格的に就職活動を始めた。何社も面接を受けたが、なかなか尾道での採用には繋がらなかった。本人も周囲も焦り始めてしまった。1ヶ月以上、面接を受けては不採用の連続だった。

 いよいよ、あかりの高校生活最後の演奏会の日になった。
 真知子はあかりの髪を結ってやった。今日くらいは就職活動のことを忘れて、楽しく演奏してくるようにと言って送り出した。

 ところが、あかりは演奏会場へは向かわなかった。
 演奏会と同じ日程で採用面接が行われることになっていたのだ。あかりは誰にも相談せずに、採用面接へ行ってしまった。

【10】
 錠と真知子はあかりの最後の演奏会を見に来た。しかし、あかりの姿が見えないことに驚き、落胆してしまう。

 あかりが帰宅した。あかりも家族も、互いに腫れ物に触れるかのような態度をとっていた。
 その中で唯一、真知子だけは激しい態度であかりに向き合った。大阪に行ってから様子がおかしいと指摘し、初音に変なことを言われたのではないかと問いただした。
 あかりは、みんなの前でこそ強がって否定した。しかし、ひとりになると全て初音のせいだと、彼女を恨むのだった。

 翌朝。真知子の姿が消えた。
 真知子は誰にも告げずに、一人で初音を訪ねた。

【11】
 真知子は、初音があかりに何かおかしなことを言ったのではないかと問い詰めた。しかし、初音は心当たりがないと答える。その代わり、自分の行動がきっかけで、あかりが出生の秘密を知ってしまったことを謝罪し、深く頭を下げた。

 真知子はその日があかりの18回目の誕生日だと伝えた。それはすなわち、千春が母親になった日でもある。真知子は小さなケーキを2つ差し出した。

 その時、真知子の所在を探しているあかりから電話がかかってきた。真知子に頼まれ、彼女は来ていないと答えた。
 そして、電話を切る間際に、尾道に残って両親に恩返ししろと言った。

 それを聞いていた真知子は反発を覚えた。自分は親として当然のようにあかりを育てた。恩返しを強制するのは筋違いである、と。そう言い残して真知子は尾道に帰った。

 初音は2つのショートケーキを仏前と自分とで分けて食べた。

 夜。真知子は大きなケーキを用意して、あかりの誕生日を祝った。

 どうして尾道での就職にこだわるのかと聞かれたあかりは、自分には引け目があるのだと正直に打ち明けた。自分はよその親から生まれた子供であり、尾道や村上家とは明確な絆がない。自分がこの家の娘であるという証とするため、尾道に残りたいのだという。

 それを聞いていた真知子は、恩返しのつもりか。自分は見返りが欲しくて育てたわけではないと怒りを顕にした。「恩返し」というキーワードは、あかりと初音しか知らないはずだった。あかりには真知子が大阪に行っていたのだとわかった。

 あかりは、どうして自分を育てる気になったのか聞いてみた。
 真知子が答えた。錠が初めて赤ん坊のあかりを抱いたとき、とても優しい顔で「かわいいのぉ」と言った。自分の子供として育てるのには、その一言で十分であったと答えた。

 あかりは突然、大阪で就職することを決めた。尾道ではさっぱり仕事が見つからないが、大阪ならばいくらでも就職口があるからだ。
 そして、それよりも大きな理由があった。初音に自分は尾道でした生きていけないと言われたのが悔しかった。大阪に乗り込んで見返してやろうと決意した。

【12】
 大阪での就職が決まり、あかりは無事に高校を卒業した。

 明日はいよいよあかりの出発の日だというのに、父は素っ気無い態度である。翌日は進水式に参列することになっており、あかりの見送りに行くことができないと言う。尾道で過ごす最後の夜も、進水式の準備のために家に帰ってこれないという。

 次兄・鉄平は高校卒業後も仕事が決まっていなかった。この日、父に頭を下げて弟子入りすることになった。長男・欽也(遠藤要)は信用金庫に勤め、融資担当として進水式に出席することになっている。ふたりの兄たちも進水式の手伝いに行ったまま帰ってこなかった。
 あかりは、真知子とふたりっきりでお好み焼きを食べて最後の夜を過ごした。

 出発の日、真知子から真新しい携帯電話を手渡された。父からの贈り物だという。以前に携帯電話をねだった時、就職するまで必要ないと断ったことを錠は覚えていたのだ。そして、その約束を果たしたのだ。あかりが大阪で就職することには猛反対で、見送りにも来なかったが、ちゃんと門出を祝福しようという気持ちは持っていたのだ。

 真知子と鉄平に見送られて渡船に乗り込んだ時、新しい携帯電話が鳴り出した。出てみると、父の声が聞こえた。彼は自分の娘の旅立ちを祝福するスピーチをしていた。

 推進式で、錠はスピーチを頼まれた。不慣れな錠は舞い上がってしまい、自分の子供達の話を始めてしまった。ふたりの息子について話した後、あかりに言及した。呆れ始める列席者であったが、欽也は自分の携帯電話からあかりに電話をかけ、錠のスピーチを中継した。

 前後の分からなくなった錠は、あかりのために「瀬戸の花嫁」を歌い出した。その歌声を聞きながら、あかりは大阪へと旅立っていった。

* * *

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本日の『てっぱん』(7) 萌ポイント

 まとめ記事の連載をやめることにした当方が、NHK連続テレビ小説『てっぱん』の第7回めの放送を見ましたよ。

* * *

 朝。洗顔を終えたばかりのあかり(瀧本美織)は首にタオルを巻き、Tシャツに膝丈ジャージというラフな格好。大阪から買ってきた冷凍たこ焼きを電子レンジで温めている。
 電子レンジのブザーが鳴り、調理が終わったことを知らせた。

 その時のあかりのセリフに萌えた。

「あ、たこ焼きできた!食べよ♪ 食べよぅ♪」

* * *

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映画『大奥』(男女逆転)を見た

♪バババーン バンバンバン バーーン

 ちゃーららーん ちゃらーららーん ちゃらららららーん
 ちゃーららーん たらーららーん たーららららららーん
 ちゃーらー ちゃちゃちゃちゃーらー ちゃらーちゃらららー
 ちゃーらー ちゃちゃちゃちゃーらー たーらーたらーららー

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NHK『てっぱん』第6回

 山瀬まみが朝ドラに出演することはあるだろうかと考え、年齢や容姿的にヒロインは絶対に無理っぽいので、せめてヒロインの母親役はどうだろうか、ヒロインの母役っつーのはいつもわりと意外な女優がやっていてそれはそれで楽しみだしな・・・などと思うのだが、芸能界におけるキャラ/立ち位置的にあと10年くらいは山瀬まみにドラマの仕事が回ってくるとは思えず、それだけ経てば山瀬まみも50歳を超えてしまうので、母役っつーよりは祖母にキャスティングされてしまう可能性が高く、それを見てみたいような見たくないような気がするのだが、冷静に考えれば「ヒロインの近所に住む、噂好きで何かと口うるさく、お節介なおばちゃん」役が山瀬まみにぴったりっぽいよな、みんなもそう思うよね?・・・とつらつら考えた当方が、NHK連続テレビ小説『てっぱん』の第6回めの放送を見ましたよ。

* * *

第1週「ばあちゃんが来た!」

 遺品のトランペットを吹くことは、自分の産みの母親(木南晴夏)のことを認めることになる。逡巡するあかり(瀧本美織)。
 しかし、腹をくくって演奏を始めた。

 トランペットを吹きながら、あかりは尾道の育ての家族の顔が次々に思い出された。それはとても不思議な感覚だった。
 そして何よりも、演奏することが楽しくて仕方なかった。

 初音(富司純子)も同じだった。あかりの吹くトランペットの音色を聞くと、死んだ娘のことばかりが思い出された。その音は、まさしく死んだ千春の音だった。
 あかりはその音色を会ったことのない母親の音だと感じるのだった。

 1曲終わると、初音は背中を向け急ぎ足で立ち去ってしまった。

 演奏会の打ち上げはお好み焼き屋で行われた。
 あかりは大阪のお好み焼きを見て驚いた。広島地方では具とタネを別々に焼いて重ねる食べ方が主流だ。しかし、大阪では具と小麦粉を最初によく混ぜあわせてから焼くらしく、初めての経験に興味津々だった。

 いよいよ食べ始めようという時に、バンドの顧問の音大講師・岩崎(柏原収史)から声をかけられた。使用したトランペットとあかりの相性は抜群だという。演奏中のあかりはとても気持よさそうだった。楽器の方も気持ちいいと思っている、もっとあかりに吹かれたいと思っているに違いないと言うのだった。
 その話を聞いて、あかりは居ても立ってもいられなくなった。焼きあがったお好み焼きには手をつけず、慌てて店を飛び出してしまった。

 あかりは一目散に初音の家に向かった。初音と顔を合わせると、胸を張って「トランペットを吹いた!」と叫んだ。遺品のトランペットを吹いたことで、モヤモヤしていた気持ちは全て吹っ切れたと言う。
 あかねは自信満々にトランペットを初音に突き出した。返すというのだ。

 初音が受け取るのを躊躇していると、あかりの腹が鳴った。初音はちょうど昼食の用意をしていて、奥からは美味しそうなにおいがする。そういえば、朝早くに尾道を出てきて、まだ何も食べていなかったことを思い出した。
 初音は、ぶっきらぼうな態度は改めなかったが、あかりを家にあげてやって食卓に付かせた。

 あかりは初音の作った親子丼を一口食べて、満面の笑みを浮かべた。その様子を見た初音はこっそりと、かつ、微かにうれしそうな顔をした。
 家のことを聞かれた初音は、自分は親戚縁者がなく、モデルのジェシカ(ともさかりえ)を下宿人でお置いているだけであると話した。夫にも一人娘にも先立たれたというのだ。
 初音は、家出した娘が尾道で孫を産んだことの因果を恨めしく言いながらも、あかりには尾道の育ての家族に感謝しろと説いた。

 腹の膨れたあかりは、すぐさま尾道に帰ることにした。トランペットは丁寧にケースにしまって、初音のところに置いていくことにした。

 立ち去る時、あかりは「最後のお願い」があると言い出した。何があってもトランペットは捨てないで欲しいと懇願した。初音は呆れ顔を作りながらも、最後の願いなら仕方が無いと請け負った。
 あかりは一本とった気持ちで得意になった。

 逆に初音は、食事は美味しかったかと尋ねた。あかりはとても美味しかったと答えた。満腹になったと答えた。
 初音は「音楽みたいなものでは腹は膨れない」と言った。それは、尾道でふたりが最初に出会ったときに、初音があかりに言い放ったのと同じ言葉だった。

 初音は勝ち誇った表情を浮かべ、ピシャリと戸を閉めた。
 あかりは家の前で地団駄を踏んだ。

* * *

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