NHK『カーネーション』第26回

國村隼といえばサントリーオールドのCM(参考映像)を真っ先に思い出し、それにともなってCMの相手役の伊藤歩のことを思い、彼女は前作『おひさま』で夏子先生役だったよなぁ・・・と遠い目になる当方が、NHK朝の連続テレビ小説『カーネーション』の第26回目の放送を見ましたよ。

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第5週「私を見て」

糸子(尾野真千子)は百貨店の制服のデザイン画を持っていったが相手にされなかった。平凡すぎると言って断られたのだ。

しかし、それくらいのことでへこたれる糸子ではない。帰りに大量の婦人雑誌を買い込んで勉強し、休むまもなく新たなデザイン画を描き始めた。しかし、それはワンピースに振袖をつけるなど奇をてらい過ぎており、自分で見ても駄作だった。時間がかかり過ぎると、他の洋服屋に仕事を取られてしまうかもしれない。糸子は焦る一方だった。

八重子(田丸麻紀)が様子を見に来てくれた。彼女に相談しながら、百貨店の支配人・花村(國村隼)に言われたことを反芻した。従業員の制服は目立つほうが良い。一方で、店の象徴となるので奇抜すぎるものはふさわしくない。八重子の助言は「この人に接客して欲しいと思えるものが良い」というものだった。
その一言で糸子は蒙が啓かれる思いがした。和服を基調とした現在の制服はどこかしら地味で、一緒にいてもあまり嬉しくないし、ワクワクもしない。どこか素敵な所へ案内してくれる、そんな期待を抱かせる制服が必要だと考えた。
見ているだけで嬉しくなる制服。そういったものをつくろうと決意した。

糸子は徹夜でデザイン画を描き上げた。自分でも満足できる物ができた。

朝一番で心斎橋に出かけようとしていたところ、家族の誰も起きてこないのに、善作(小林薫)だけが糸子の様子を見に来た。躊躇する糸子にかまわず、なかば強引にできたてのデザイン画を見た。
善作はデザインについては何も言わなかった。その代わり、画などではなく、現物見本を持参すべきだと助言した。「そっちの方が面白い」と。

糸子もその考えに賛成した。しかし、材料を購入する金がない。善作も貸す金は無いという。しかも、失敗したら金を失うことになる。
糸子と母・千代(麻生祐未)は、神戸の祖母(十朱幸代)から贈られてきたガラクタをかき集めた。神戸の祖母は外国の品物を頻繁に送ってくれる。それらは美しく珍しいものなのだが、小原家には似つかわしくない調度品(異国情緒満点の民族仮面など)ばかりで使い道がないのだ。
そういったガラクタを古道具屋に振り払って金を作った。最上級品を買うことはできなかったが、3番目くらいに上等な生地を買うことができた。

材料を手に入れると、糸子は寝食を忘れて見本を手で縫い始めた。一晩かかり、2日連続の徹夜の末に完成した。それは自分でも満足できるできだった。
早速、家族に披露した。家族は異口同音に褒めてくれた。糸子はますます自信を得た。

善作の指示は、それを着たまま百貨店に行けというものだった。制服で突然現れて披露すると効果的だというのだ。糸子はまったくその通りだと思い、すぐに実行に移した。

そのまま隣の履物屋(上杉祥三)に靴を買いに行った。これ以上金は無いので堂々とツケで買った。
岸和田の街をハイヒールで颯爽と歩いた。根岸(財前直見)の洋服レッスン初日に「胸を張って歩け」と言われた時以来であったが、2年前の教訓を忘れずに堂々としていた。

ところが、いざ百貨店に到着すると、糸子は緊張で押しつぶされそうになった。堂々と快活な立ち居振る舞いをしなければ印象が悪くなり逆効果だ。頭ではそう思っていても、支配人・花村に見せることを考えるとどうしても顔がうつむいてしまった。自分を奮い立たせようとすればするほど、背中は丸くなるのだった。

店内の陰で花村が来るのをじっと待った。すると彼が歩いてくるのが見えた。
意を決し、制服姿の糸子は花村の前に飛び出した。

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映画『サルベージ・マイス』は広島以外でいつ見ることができるのか?

週末から空前の谷村美月マイブームが巻き起こっている。

それでいろいろ調べていたら、『サルベージ・マイス』という映画で谷村美月が主演を務めていると知った。

この映画は、盗難美術品を逆に盗むという義賊の話だそうだ。その女盗賊を谷村美月が演じるという。谷村美月がアクション映画初挑戦だという。
この女盗賊は覆面をして盗みに入るそうだ。ウェブサイトを見ると、キャッツアイみたいでカッコイイぞ。

キャッツアイみたいでカッコイイのはいいんだが、トップページに谷村美月の素顔が一切でてこないのはどういうことだ?アリか?アリなのか!?
予告編を見ても、助演の長野じゅりあばかりが目立つし。

それでも、予告編を見ると痛快爽快系で悪くなさそうだ。これはぜひ見てみたい。

しかし、劇場情報を見ると、広島でしか公開されていない。映画の舞台が広島市なので、同地で10月22日に先行公開したのだという。
いや、ロケ地で先行公開するのはいいけど、それ以外の地域のスケジュールが決まってないってどういうことですか!?

配給会社がんばれ。俺の谷村美月マイブームが終結する前にちゃんと神奈川でも公開してくれ。頼むよ。

NHK『カーネーション』第25回

本ドラマのまとめシリーズが終わったら、次は『新婚さんいらっしゃい!』について「桂三枝が椅子から転げ落ちた一問一答」を毎週まとめる(付録として、山瀬まみが三枝師匠に「ちょっとぉ!」と突っ込んだ回数もカウントする)のもアリだなと思った当方が、NHK朝の連続テレビ小説『カーネーション』の第25回目の放送を見ましたよ。

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第5週「私を見て」

東京の百貨店の火災が発生し、和服の女性従業員が死傷した。それを契機に洋服の制服を求める声が一部からあがった。それを知った糸子(尾野真千子)は、自分の作った洋服を持って心斎橋百貨店へ向かった。

まずは女性従業員の制服を観察し、全員が和服に前掛けという姿であることを確認した。続いて、そういった女性のうちの一人(辻本瑞貴)に声をかけ、店の支配人の所へ案内してもらった。

支配人の花村(國村隼)に会うことに成功した糸子であったが、ほとんど相手にしてもらえなかった。
花村も洋装の制服が、動きやすく衛生的、かつ先進的であることを認めている。しかし、どこの馬の骨とも知れないような、ましてや、まだ年端も行かない少女である糸子に制服を任せるわけにはいかないとはっきり断るのだった。制服は店の顔であり、もっと実績と信用のある相手に依頼すると言って糸子を追い返した。

去り際、糸子はせめて1つだけ質問に答えてくれるよう頼んだ。新しい制服に大事なことは何かと尋ねたところ、花村は「デザイン」だと教えてくれた。それを聞いた糸子は素直に帰っていった。

しかし、その答えを聞いた糸子は俄然やる気になっていた。
ファッションに詳しい八重子(田丸麻紀)の雑誌や切り抜きを研究し、勘助(尾上寛之)の助けも借りて、制服に良さそうな衣装の例を見つけた。その写真に写っていた洋服は、品が良くて誰にでも似合いそうに思えた。

その写真を手本に、夜遅くまでかかって10枚のデザイン画を描き上げた。翌朝一番で再び心斎橋百貨店に向かった。

しかし、店では糸子を支配人の所に取り次いではくれなかった。昨日の顛末で案内役の従業員が叱られてしまったのだ。しかし、そんな事で引き下がる糸子ではなかった。自分が行くことのできないのならばと、花村がやって来るのを店内でじっと待った。ずいぶん待った後、花村が店内の巡視にやってきた。それをすぐに捕まえた。

花村は追い返そうとするが、糸子の剣幕におされて、適当に1-2枚のデザイン画を見たら、それ以上相手にしなかった。あまりに平凡で見るべき所がないというのだ。10人中9人までが考えそうなデザインだ、そんなものを店の顔にはできないと言って立ち去って。

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NHK『カーネーション』第24回

昨日までのまとめ記事で、洋裁講師の根岸のことを財前と書いていたり(それは女優名だっつーの!)、某学会関連の仕事で名古屋市であるべきところを新潟市の住所を書いていたりと、凡ミスばかりしていた当方が、NHK朝の連続テレビ小説『カーネーション』の第24回目の放送を見ましたよ。

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第4週「誇り」

根岸(財前直見)の1週間限定の洋裁レッスンは2日目となった。ここから最終日までは、洋服づくりの基本がみっちりと教え込まれた。それまでの根岸の態度と違って、全く遠慮のない厳しいものだった。しかし、それは短期間に最大限の知識を与えるためのものであることが糸子(尾野真千子)にもわかっていた。だから必死で食らいついた。

1週間で、糸子は洋裁の基礎をおよそ身に付けた。とても充実した毎日であったし、最終日夜のお別れ会は近所の人々を招いて愉快に催された。

翌朝、糸子は涙をこぼしながら深く頭を下げ、根岸を見送った。一方の根岸は、「がんばりなさい。さようなら」とだけ告げて、振り返ることもなく去っていった。彼女も感極まっていたが、感情を抑えるのに精一杯だったのだ。

根岸の去った小原家は、たった1週間前に比べて、一層暗くみすぼらしいものに思えた。まったく売れる気配のない在庫の反物と、季節外れなのに売り続けられる夏用アッパッパ、元気のない父・善作(小林薫)などを見るにつけ、糸子は救いのない気分になった。

そんなある日、善作が中古のラジオを買ってきた。瞬く間にラジオが一家の中心となり、朝は娘たちがラジオ体操、昼は仕事をしながら善作が謡をうたう、夜は一家で落語を聞くといったことが定例となった。少しだけ家の中が明るくなった。

それから2年が経ち、昭和7年(1932年)となった。糸子は19歳になった。
小原呉服店は相変わらずの閑古鳥だった。善作の発案で、暖かさを保つ冬用アッパッパを店に並べたが全く売れなかった。糸子の作った洋服もいくつか並べてみたが、全く売れなかった。岸和田で洋服を着ようと買い求める人はまだほとんどいなかったのだ。手提げかばんと前掛けはそれなりに売れるので、糸子はそういった雑貨ばかりを縫っていた。

一つ変わったことは、善作が和洋折衷の装いを始めたことである。防寒マントとカンカン帽を身につける姿も様になっていた。

そんな頃、東京の百貨店で火災が発生し、大勢が死傷したというニュースが世間を騒がせた。事故を重大化させた問題点がいくつか指摘されていたが、糸子は女性従業員の制服の問題に注目した。若い女性従業員は、避難する時にすら、和服の裾の乱れを気にしてしまった。そのせいで逃げ遅れたり、避難ロープから手を離して落下してしまったというのだ。

その記事を読んで、糸子はモヤモヤとした中から、何かアイディアを閃いた。
すると、居ても立ってもおられなくなり、自分の作ったワンピースを掴み取ると、大慌てで心斎橋の百貨店に向かっていった。

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NHK『カーネーション』第23回

料理やインテリアなど家庭的ご婦人キャラで売っている山瀬まみであり、衣料品コラボもしているけれど、彼女が裁縫DIYネタをあまりしないのはどういうわけだろうかと考え始めた当方が、NHK朝の連続テレビ小説『カーネーション』の第23回目の放送を見ましたよ。

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第4週「誇り」

根岸(財前直見)による個人レッスンがいよいよ始まった。

糸子(尾野真千子)に最初に与えられた課題は、自分で洋服を着てみる事だった。糸子は、洋服に一度も袖を通したことがないと言って嫌がるが、根岸はそれだからこそ着てみなくてはならないとピシャリと言った。

糸子は見よう見まねでワンピースを来た。そのワンピースは、根岸が着ているものと色が違うだけで、全く同じデザインだった。それにもかかわらず、糸子が着ると野暮ったく、全く似合っていなかった。糸子は落ち込み始めた。
次に根岸が与えた課題は、どうして似合わないのか自分で原因を見つけるというものだった。糸子は、自分が生まれつき足の短いせいだと思った。それに対して、根岸はもう一度ふたりを見比べるよう指示した。すると、ウェストの位置が違うことに気付いた。ベルトを高い位置で締め直すと見違えるように足が長くなった。さらに、ヒールの高い靴を履かせてもらったら、もっと足が長くなった。
糸子は少し嬉しくなってきた。

次のレッスンは、洋服で街を歩くことだった。糸子はとても恥ずかしく、背中を丸め、根岸の後ろにトボトボと付いていくのがやっとだった。
その時、根岸が少し話題を変えて、糸子に好きな花を尋ねた。糸子はカーネーションが好きだという。カーネーションはカビが生えるまで堂々と咲き、簡単にはしおれない。根性がある花だから一番好きなのだと答えた。
すると根岸は、自分がカーネーションになったつもりで歩け、自分に花を咲かせて歩けと命じた。洋服を着て、胸を張って歩くことが一番大切なことであり、それこそ自分の使命だと肝に銘じるよう指示した。

ふたりは、心斎橋まで足を伸ばした。そこで、糸子は発見があった。これまでとは違う種類の人々と目が合うこと、頻繁に人に声をかけられること、自分が鏡ばかり気にすること。

けれども、やはり洋服で出歩くことは、とてもくたびれた。カフェで休憩することになった途端、姿勢を崩して座り込んだ。しかし、そういう態度を根岸は許してくれなかった。常に立ち居振る舞いを美しくするよう注意した。

カフェでは、洋服を着る側ではなく、作る側の心構えを教えてもらった。
洋服を着て歩くことは、誰しも(根岸でさえ)疲れて緊張するものである。そういった感情を取り除き、着る人が自信を持つことのできる洋服を作ることが肝心なのだと教授した。洋服は人々に品格と誇りを与えてくれる。そして、品格と誇りを得て初めて、人は夢や希望を持てるようになる。それを手助けするのが作り手の役目だと説いた。

岸和田に戻ってくると、道の向こうから泰蔵(須賀貴匡)がやってくるのを見つけた。知り合いに見られるのが恥ずかしい糸子は、思わず根岸の後ろに隠れてしまった。その様子に気付いた根岸は、糸子の背中を押して泰蔵に引き会わせるようにした。
意を決した糸子は、ピンと背筋を伸ばし、颯爽と歩き始めた。泰蔵に対して優雅に会釈だけすると、軽快に歩き去った。泰蔵は言葉も発せず見とれた。その一瞬で、糸子は洋服の振る舞いを会得したようだった。

ただし、糸子がその日学んだ最大のことは、やはり和服が一番楽だということだった。

そして、根岸と一緒に小原家の夕食が始まった。
母・千代(麻生祐未)は、根岸をもてなすためにカツレツを作ってみたが、加減がわからずにひどく焦がしてしまった。根岸は表情を変えずにそれを口にしたが、すぐにむせてしまった。。

見兼ねた祖母・ハル(正司照枝)は、自分が作ったイワシの煮付けを差し出した。善作以外は誰も食べようとしない田舎料理であったが、半分根岸を試すつもりでもあったのだ。根岸は、そのイワシを心の底から美味しそうに食べた。おかげで、それまで根岸のことを毛嫌いしていた祖母も機嫌が直り、彼女のことを見なおした。

根岸に追いつくため、なんでも彼女の真似をしようと思う糸子はカツレツを食べた。しかし、とても不味かった。今まで食わず嫌いだったイワシの煮付けも、今度から食べてみようと思うのだった。

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NHK『カーネーション』第22回

俺がミシンを完璧に使いこなせたとしても、意中の女の子にいきなり手作りのワンピースなんかをプレゼントしたら、喜ばれるどころか変態扱いされるかもしれないよなと心配し始めた当方が、NHK朝の連続テレビ小説『カーネーション』の第22回目の放送を見ましたよ。

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第4週「誇り」

善作(小林薫)は心斎橋へ根岸(財前直見)を訪ねた。
カフェで生まれて初めてのコーヒーを飲みながら、根岸が糸子(尾野真千子)に洋裁を教えるよう頼みこんだ。しかし、根岸は会社に雇われて初心者向けのミシン講習を担当しているのであり、それは簡単に応じられないと断った。

けれども、そんなことで引き下がる善作ではなかった。自分は捨て身の覚悟で糸子に洋裁を学ばせたいと話し始めた。自分は呉服屋だが、これからは洋服の時代だと認めざるをえない。糸子は後先考えずに行動するタイプだが、洋服に関してだけは10年近くも全身全霊で打ち込んできた。自分はもう第一線から身を引き、糸子を引き立てる役に立ちたい。家財道具一式を売り払ってでも、根岸に謝礼を支払う覚悟があるとまくし立てた。そして、洒落たカフェの真ん中で、善作は土下座をはじめた。

東京で洗練された生活をしている根岸は、土下座されて自分の方が恥ずかしくなった。また、善作の熱意に圧され、ある条件と引き換えに糸子への指南役を引き受けることとした。

その夜遅く、善作はひどく酔って、岸和田に帰宅した。寝ている娘たちを全員叩き起こし、要領を得ないまま、コーヒーの話をひたすら続けるのだった。糸子たちはいったい何が起きているのか想像も付かなかった。

幼なじみの勘助(尾上寛之)が、不況のせいで務めていた紡績工場をクビになった。糸子はからかい半分、心配半分で彼を訪ねた。しかし、ちょうど和菓子屋の主人が身体を壊し、それを助けるために働き始めたという。その店は、勘助が小さい頃、何度もだんごを盗んでいた(第4回参照)和菓子屋だった。
働き始める時、勘助は主人に過去の罪を全て謝ったという。すると、主人は怒るどころかとても喜んだそうだ。それで勘助もたいそうやる気を出し、工場に務めていた時とは違って、活き活きと楽しそうに仕事をしていた。

糸子は悔しくなった。勘助が心配した以上に元気で肩透かしだったことや、彼はすぐに次の仕事が見つかったのに自分は何もせずに時間だけが過ぎていくことに腹立たしかった。
家に帰ると、善作が二階で謡を教えていた。その呑気さにも腹が立った。さらに、祖母(正司照枝)は訳もわからずイライラしており、雰囲気が悪かった。
母(麻生祐未)には、謡の弟子に挨拶をするよう促された。どうして自分がそんな者に挨拶せねばならないのかと、不承不承部屋を覗いた。

すると、そこでは根岸が一対一で稽古を受けていた。
根岸は今月いっぱいで東京に帰ってしまう。その前に1週間の休暇を取り、糸子の家に寝泊まりして洋裁を教えるのだという。その謝礼として、善作から謡を習うことになったのだという。
全て善作の根回しの結果なのだが、善作は根岸にその事は伏せておくように願い出てあった。そんなことを知らない糸子は、根岸に感謝してもしきれない程大喜びした。

いよいよ根岸が岸和田にやってきた。かっこ良く、颯爽と歩いてきた。

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NHK『カーネーション』第21回

女の子から男子へのプレゼントとして手編みのニット品はありがちなのに、ミシンを使った縫製品がポピュラーじゃないのはなんでだろうと不思議に思い始めた当方が、NHK朝の連続テレビ小説『カーネーション』の第21回目の放送を見ましたよ。

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第4週「誇り」

女たらしで有名な歌舞伎役者・中村春太郎(小泉孝太郎)と一緒に居た女性は奈津(栗山千明)だった。糸子(尾野真千子)は急いで注意しに行こうとしたが、心斎橋で騒ぎを起こすのは得策ではないと祖母ら(十朱幸代、渡辺大知)に止められた。
糸子は軽率な奈津のことに腹を立てながら家に帰った。

家に入る前、善作(小林薫)を説得しなければと、糸子は自分を奮い立たせた。父に秘密で心斎橋に通っていたこと、神戸の祖母にミシンを買ってもらうこと、そのミシンでもって洋裁講習を受けたいことなどをきちんと話さなければならないのだ。

しかし、その日はただでさえ善作は虫の居所が悪かった。糸子が自分に内緒で心斎橋に行っていたことが気に入らない。その上、糸子が神戸の親戚の世話になるということは、自分の不甲斐なさを指摘されているようでますます気に入らなかった。善作は烈火のごとく怒り出し、当然、糸子の願いは聞き届けられなかった。

その夜、糸子は布団の中で泣き続けた。自分には夢も希望もなくなったと悲しくなって泣き続けた。その声は、階下の善作にも聞こえていた。

今年もだんじり祭が始まった。
自分の将来を悲観していた糸子であったが、だんじり祭を見物するとすっかり気分が晴れた。くよくよと悩んでいるのが馬鹿馬鹿しくなるほど、だんじり祭は糸子にとって素敵なものだった。

糸子は見物客の中に奈津を見つけた。駆け寄って、春太郎との付き合いをたしなめた。当然、奈津は反発し、小突き合いの喧嘩になった。そこへ泰蔵(須賀貴匡)が止めにやってきた。泰蔵への恋心の忘れられない奈津は、びっくりして逃げ出してしまった。

その頃、パッチ店の大将・桝谷(トミーズ雅)が善作に会っていた。
桝谷は糸子を解雇したことを謝罪しながら、糸子にはたいへん見所があると褒めた。桝谷がこれまで見てきた職人の中でも、糸子は腕が立つし、将来の見通しにも明るいという。もし彼女が娘だったら、自分なぞ早々に引退して、店を丸ごと任せてしまいたいほどだと告げた。さらに、控えめで失礼に当たらないように、これからは和服ではなく洋服の時代だと善作に助言するのだった。
善作は桝谷の話を否定することはできず、何かを思いながら黙って聞いていた。

翌日、善作は木之元(甲本雅裕)に案内させて心斎橋へ出かけた。木之元は店頭をミシンの実演販売に貸した縁で、根岸(財前直見)の居所を知っていたのだ。恐る恐るミシン教室の扉を開け、善作は根岸に面会した。

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NHK『カーネーション』第20回

モテ要素としての料理男子はすでに普及しすぎているので、裁縫男子というニッチで戦ってみようかと考え始めた当方が、NHK朝の連続テレビ小説『カーネーション』の第20回目の放送を見ましたよ。

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第4週「誇り」

糸子(尾野真千子)は近所で行われていたミシンの実演販売を遠巻きにうっとりと眺めた。
実演終了後、勇気を出して販売員の根岸(財前直見)に洋裁を教えて欲しいと声をかけた。ところが、岸和田での実演販売は今日までなので応じかねるという。その代わり、明日からは大阪の心斎橋でミシン教室が開かれるので、そこに顔を出すといいと誘ってくれた。

翌日、家の中の雰囲気が少し悪かった。洋装を見慣れない祖母のハル(正司照枝)は、根岸のことをけばけばしく品のない女だと陰口を言っていた。それに対して、根岸のことを気にいった善作(小林薫)が弁護し、ちょっとした親子喧嘩の様相を呈した。それに加えて、善作は心斎橋など若い娘が一人で行く所ではないとブツブツ言っている。
糸子は、根岸を訪ねて心斎橋に行くとは言い出せなくなった。仕方ないので、家族に黙って出かけることにした。

心斎橋のミシン教室は大盛況だった。会場に準備されているミシンの数よりも、明らかに生徒の数の方が多かった。それでも、3年間のミシン経験がある糸子は、上級者として自分が優遇してもらえるだろうと考えていた。

ところが、開始早々、糸子の期待は裏切られた。この教室は、ミシンを購入した初心者向けのものであり、購入者しかミシンに触れられないという。それ以外の者は周りで見学することしか許されないというのだ。当然、糸子は見学するのみだった。また、教えられる内容も初歩中の初歩で、糸子の役に立つことは一つもなかった。
それでも、翌日には高度な内容に進むだろうと期待し3日続けて通った。けれども、少しも初心者の域を出ず、糸子はがっかりする一方だった。

我慢の限界を迎えた糸子は、講習会終了後に根岸に声をかけた。自分はミシンの基本操作は全て習得しているので、高度な洋裁の技術を教えて欲しいと直談判した。しかし、根岸の返答はつれないものだった。自分はミシン購入者に基本操作を身に付けさせるために来ている。糸子が望むような高度な内容を一足飛びに教える訳にはいかないというのだ。
これ以上交渉しても無駄だとわかった糸子は、帰宅の途についた。

心斎橋をしょぼくれて歩いていると、神戸に住む祖母の貞子(十朱幸代)といとこの勇(渡辺大知)にばったりと出くわした。家族に内緒で来ている糸子は逃げ出そうとするが、貞子らも内緒で心斎橋に来ているのだと説明し、互いの秘密を守ることを約束し合流した。貞子は孫が可愛くて、勇に様々なものを買い与えている。そのせいで家族に批難されているのだ。
高級喫茶店でお茶を飲みながら、糸子も自分が心斎橋に来ていた理由を全て話した。孫に甘い貞子は、ミシンを買ってやる、購入者として堂々と洋裁の講習を受けろと言ってくれた。しかし、いきなりミシンを手に入れても、家に持って帰っては善作が激怒するに決まっている。まずは善作と話し合いをするから、その後に買ってくれと頼むのだった。

店内を見回すと、女たらしで有名な若手歌舞伎役者・中村春太郎(小泉孝太郎)が来ていた。連れの女性について、中村に騙されるなんてバカな女だとヒソヒソ話していると、なんとその相手は奈津(栗山千明)だった。

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NHK『カーネーション』第19回

楽しそうにミシンを操作する糸子を見ていたら自分でもやってみたくなり、数千円の安いミシンなら買って遊ぶのもアリだと思い始めた当方が、NHK朝の連続テレビ小説『カーネーション』の第19回目の放送を見ましたよ。

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第4週「誇り」

昭和5年(1930年)、晩夏。
糸子(尾野真千子)はパッチ店を解雇された。
店主の桝谷(トミーズ雅)の言い分は、不況で資金繰りが悪化し、人件費を削減しなくてはならないというものだった。糸子の能力は認めているものの、糸子以外に辞めさせられる人員はいないと言う。男は家族を養うために仕事を失うわけにはいかない。女の糸子に辞めてもらうしかないと正直に告げた。
糸子は、桝谷や他の職人たちが悪いのではない。不況という現象のせいだと自分を言い聞かせ、解雇を受け入れた。

糸子の家族は突然のことに驚いた。ただし、同情してくれたのは母・千代(麻生祐未)だけだった。

父・善作(小林薫)は、糸子に学校を辞めさせてパッチ店に行かせた本当の理由を正直に打ち明けはじめた。端的に言って、カネのためだった。小原家の家計は火の車なのだ。糸子の学費が浮いた分で、次女(柳生みゆ)を学校に行かせることができた。糸子が持ってくるパッチ店の給料で三女(眞木めい)を、アッパッパの売上で四女(吉田葵依)をそれぞれ学校に行かせることができる。ところが、糸子のもたらすカネがなくなると、それができなくなるというのだ。

善作は、今や糸子も立派な働き手なのだから、失った収入分をすぐに取り戻すよう働き口を見つけろと厳に言い含めた。糸子は早速、自分の足で仕事を探し始めるが、どこに行っても断られるばかりだった。そうしている間に夏も終わった。これからはアッパッパも売れなくなる。ますます一家の経済状況が悪くなることは明らかだった。(そのくせに、善作は近所で将棋をするなどして緊迫感がなかった)

そんな時、洗練された洋装の女性・根岸良子(財前直見)が町に現れた。彼女はミシンの実演販売員だった。小原家の近所の電器店の店頭を借りて実演販売を始めた。

木之元(甲本雅裕)を介して、善作は根岸を紹介してもらった。根岸はこれまで洋裁ばかり勉強してきたが、これからは日本の伝統も学んでいきたいと挨拶した。善作が呉服屋で、謡教室も開いていると聞き、根岸は善作に興味を持ったようだった。一方の善作は、見目麗しき女性を前にして緊張し、借りてきたネコのようになってしまっていた。

実演販売の初日、相変わらず仕事が見つからない糸子はしょぼくれて帰ってきた。すると、電器店で行われているミシンの実演販売に気付いた。

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NHK『カーネーション』第18回

女の子から初めて手芸品をもらったのは中学2年生の時で、それは少々ヤヤコシイ状況であったわけで、僕と仲の良かった女子クラスメイト(互いにタイプではなく、恋仲でもなかった)が「AちゃんはTくんの事が好きで、彼の誕生日に手編みの手袋をあげるつもりなの。だけど、編み物は初めてで、うまくいくかどうか心配してるの。そこで木公を練習台として、まずはアンタの手袋を編むことにしたの。手形採らせて。」と言うもんだから、しかたねぇなぁとノートに手を広げてシャープペンシルできちんと輪郭をなぞったまではいいが、数週間してできあがった白いミント型手袋は編目がギチギチに詰まっていて、どんなに伸ばして履いても掌が三分の一ほどはみ出してしまい、冬の北海道で着用するにはどうしようもない代物だったわけだが、Aちゃんが傷ついたり自信をなくしたりするのもかわいそうだと思い何日かそれを履いて登校したのだが、やっぱり手首にたっぷりと雪が吹き込んで大変な思いをしたけれど、それはまだ序の口で、編んだ本人のAちゃんがスヌーピーだと言い張る手の甲に施された模様はどう見ても潰れた豆餅のような物体であり、女子からの視線が気になるお年ごろでもあったわけで、ただでさえダサい自分がもっとダサく見えることに恐怖し、家に放置したわけだけれども、気づいたら次シーズンには、なんとうちの母親がそれを履いて自宅前の雪かきをしており、どうやら彼女の手のサイズにはピッタリと収まったようであるし、ああ良かったなぁ、これで豆餅スヌーピーも報われるだろうと感慨にふけり、未だに実家に帰ると物置部屋の片隅にそれが落ちているのを見かけては「結局、AちゃんはTくんにフラれたんだよな。その後Aちゃんは幸せにしているんだろうか。器量も気立ても編み物も、どれ一つとっても俺のタイプではなかったけれど。」などと過ぎ去りし日々を回想したりする当方が、NHK朝の連続テレビ小説『カーネーション』の第18回目の放送を見ましたよ。

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第3週「熱い思い」

善作(小林薫)に自分の作った洋服を着させて認めてもらおう。そう決意した糸子(尾野真千子)であったが、肝心な洋服の縫い方が分からない。パッチ店の大将・桝谷(トミーズ雅)のワイシャツをじっくり観察したり、ミシンを操作しながら様々に考えをめぐらしたり(そして、縫製を失敗する)していたが、どうにもうまくできそうに思えない。

パッチ店のみんなに事情を説明し、相談にのってもらった。すると、田中(湯浅崇)がアッパッパを作ることを勧めてくれた。本来は女物であるが、着やすくて涼しいので今の季節には最適であり、自分も家でくつろぐ時に着ているという。浴衣の生地を流用できるし、一般的な洋服に比べて縫うのも簡単なので、糸子ならうまくやれるだろうと言うのだ。
パッチ店の女将(一木美貴子)は浴衣用の上等な生地を見つけてきてくれた。みんなに応援されていることに勇気づけられた糸子は、ついにアッパッパを作り始めた。

善作用のアッパッパには、独自の工夫を盛り込んだ。足が出過ぎないように丈を長めにしたり、襟を着物のように仕上げたりと、善作が抵抗なく着れるようにした。生地の糊付けや裁断は、祖母(正司照枝)の協力を得て、自宅で善作の目を盗んでこっそりと行った。呉服屋なので、浴衣の生地を扱うのに適した道具がたくさんあったのだ。

縫製はパッチ店のミシンを借りて行った。そしてついに、アッパッパは完成した。それは糸子の自信作であったし、店のみんなも出来栄えをたいそう褒めて、感心してくれた。
いよいよ、善作に手渡す段となった。

その頃、善作はとても機嫌が悪かった。
善作と一緒に「日本の伝統を守る、洋風なものに徹底して対抗する」などと気勢を上げていた、隣の履物屋・木岡(上杉祥三)が約束を破って洋靴を売っていることを知ったのだ。木岡は、商売は時流には逆らえない、実際によく売れているなどと抗弁するが、善作の血圧は上がる一方だった。

家で待っていた糸子は、善作に声をかけたが無視された。少し様子がおかしいとは思ったが、まさか善作が激怒しているとは思いもしなかった。
夕食の前にあらためて自作のアッパッパを差し出した。それを一瞥した善作は、汚いものでも触るかのようにつまみ上げ、妻・千代(麻生祐未)に捨てるように命じた。それ以上、アッパッパについても糸子の行為に関しても、何も言わなかった。

しかし、そんなことでめげる糸子ではなかった。こっそりとアッパッパを取り戻して、自宅の呉服店の商品棚に忍び込ませておいた。

客がやって来た。善作は浴衣を買わせようと勧めるが、その客は懐紙だけを買いに来たと言って聞く耳を持たない。ところが、棚を眺めているうちに、糸子のアッパッパを発見した。客はちょうどそういう物が欲しかった、他所で探しても見つからなくて困っていたという。
売り物ではないと説明する善作であったが、客の剣幕に負けて、つい値段を付けて売ってしまった。

それから、善作の態度は豹変した。店で堂々とアッパッパを販売し始めた。作製は当然糸子の役目であった。彼女は、2日に1着のペースで作り続けなければならなくなった。そして、善作は涼しくて動きやすいといって、自分もアッパッパを来て街中を歩くようになった。
糸子は遊びに行くのもままならず、毎日遅くまでパッチ店に残ってミシンを動かした。

ある夕、大忙しでアッパッパを縫っている糸子に、パッチ店の大将が真剣な様子で声をかけた。店を辞めて欲しいというのだ。

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