園山二美『続蠢動』

15年ほど前、僕はある漫画を読んだ。漠然と内容を覚えているだけで、著者もタイトルも分からなかった。その事を当ブログに書いて情報提供を募ったところ、あっという間に判明した
すでに絶版となっている漫画であったが、幸運なことにamazonで古本が売られていたので直ぐに購入した。今日届いて15年ぶりに再読した。僕の記憶は細部がずいぶんと違っていたが、面白かったはずだという記憶に間違いはなかった。

その作品は、園山二美の「怠惰嬉楽」という作品であった(参考写真)。1996年に読み切りとして雑誌に掲載された後、1999年の単行本『続蠢動』に収録された。

表紙の女の子が可愛くて、ちょいエロ


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NHK『カーネーション』第18回

女の子から初めて手芸品をもらったのは中学2年生の時で、それは少々ヤヤコシイ状況であったわけで、僕と仲の良かった女子クラスメイト(互いにタイプではなく、恋仲でもなかった)が「AちゃんはTくんの事が好きで、彼の誕生日に手編みの手袋をあげるつもりなの。だけど、編み物は初めてで、うまくいくかどうか心配してるの。そこで木公を練習台として、まずはアンタの手袋を編むことにしたの。手形採らせて。」と言うもんだから、しかたねぇなぁとノートに手を広げてシャープペンシルできちんと輪郭をなぞったまではいいが、数週間してできあがった白いミント型手袋は編目がギチギチに詰まっていて、どんなに伸ばして履いても掌が三分の一ほどはみ出してしまい、冬の北海道で着用するにはどうしようもない代物だったわけだが、Aちゃんが傷ついたり自信をなくしたりするのもかわいそうだと思い何日かそれを履いて登校したのだが、やっぱり手首にたっぷりと雪が吹き込んで大変な思いをしたけれど、それはまだ序の口で、編んだ本人のAちゃんがスヌーピーだと言い張る手の甲に施された模様はどう見ても潰れた豆餅のような物体であり、女子からの視線が気になるお年ごろでもあったわけで、ただでさえダサい自分がもっとダサく見えることに恐怖し、家に放置したわけだけれども、気づいたら次シーズンには、なんとうちの母親がそれを履いて自宅前の雪かきをしており、どうやら彼女の手のサイズにはピッタリと収まったようであるし、ああ良かったなぁ、これで豆餅スヌーピーも報われるだろうと感慨にふけり、未だに実家に帰ると物置部屋の片隅にそれが落ちているのを見かけては「結局、AちゃんはTくんにフラれたんだよな。その後Aちゃんは幸せにしているんだろうか。器量も気立ても編み物も、どれ一つとっても俺のタイプではなかったけれど。」などと過ぎ去りし日々を回想したりする当方が、NHK朝の連続テレビ小説『カーネーション』の第18回目の放送を見ましたよ。

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第3週「熱い思い」

善作(小林薫)に自分の作った洋服を着させて認めてもらおう。そう決意した糸子(尾野真千子)であったが、肝心な洋服の縫い方が分からない。パッチ店の大将・桝谷(トミーズ雅)のワイシャツをじっくり観察したり、ミシンを操作しながら様々に考えをめぐらしたり(そして、縫製を失敗する)していたが、どうにもうまくできそうに思えない。

パッチ店のみんなに事情を説明し、相談にのってもらった。すると、田中(湯浅崇)がアッパッパを作ることを勧めてくれた。本来は女物であるが、着やすくて涼しいので今の季節には最適であり、自分も家でくつろぐ時に着ているという。浴衣の生地を流用できるし、一般的な洋服に比べて縫うのも簡単なので、糸子ならうまくやれるだろうと言うのだ。
パッチ店の女将(一木美貴子)は浴衣用の上等な生地を見つけてきてくれた。みんなに応援されていることに勇気づけられた糸子は、ついにアッパッパを作り始めた。

善作用のアッパッパには、独自の工夫を盛り込んだ。足が出過ぎないように丈を長めにしたり、襟を着物のように仕上げたりと、善作が抵抗なく着れるようにした。生地の糊付けや裁断は、祖母(正司照枝)の協力を得て、自宅で善作の目を盗んでこっそりと行った。呉服屋なので、浴衣の生地を扱うのに適した道具がたくさんあったのだ。

縫製はパッチ店のミシンを借りて行った。そしてついに、アッパッパは完成した。それは糸子の自信作であったし、店のみんなも出来栄えをたいそう褒めて、感心してくれた。
いよいよ、善作に手渡す段となった。

その頃、善作はとても機嫌が悪かった。
善作と一緒に「日本の伝統を守る、洋風なものに徹底して対抗する」などと気勢を上げていた、隣の履物屋・木岡(上杉祥三)が約束を破って洋靴を売っていることを知ったのだ。木岡は、商売は時流には逆らえない、実際によく売れているなどと抗弁するが、善作の血圧は上がる一方だった。

家で待っていた糸子は、善作に声をかけたが無視された。少し様子がおかしいとは思ったが、まさか善作が激怒しているとは思いもしなかった。
夕食の前にあらためて自作のアッパッパを差し出した。それを一瞥した善作は、汚いものでも触るかのようにつまみ上げ、妻・千代(麻生祐未)に捨てるように命じた。それ以上、アッパッパについても糸子の行為に関しても、何も言わなかった。

しかし、そんなことでめげる糸子ではなかった。こっそりとアッパッパを取り戻して、自宅の呉服店の商品棚に忍び込ませておいた。

客がやって来た。善作は浴衣を買わせようと勧めるが、その客は懐紙だけを買いに来たと言って聞く耳を持たない。ところが、棚を眺めているうちに、糸子のアッパッパを発見した。客はちょうどそういう物が欲しかった、他所で探しても見つからなくて困っていたという。
売り物ではないと説明する善作であったが、客の剣幕に負けて、つい値段を付けて売ってしまった。

それから、善作の態度は豹変した。店で堂々とアッパッパを販売し始めた。作製は当然糸子の役目であった。彼女は、2日に1着のペースで作り続けなければならなくなった。そして、善作は涼しくて動きやすいといって、自分もアッパッパを来て街中を歩くようになった。
糸子は遊びに行くのもままならず、毎日遅くまでパッチ店に残ってミシンを動かした。

ある夕、大忙しでアッパッパを縫っている糸子に、パッチ店の大将が真剣な様子で声をかけた。店を辞めて欲しいというのだ。

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当ブログ公式iPhone4ケース

BENECASEが販売する iPhone4 用ケースは厚さ0.8mmのアルミ製で、軽くて丈夫で、しかも持ちやすいらしい。アルミカバー表面の模様も5種類あって、好みに合わせてスタイリッシュに選択することができるとか。

その名も ALMORE!!

ちょー笑った。

なお当ブログは、製品共同開発等の協力は一切行なっておりません。
ていうか、特に何も連絡は取り合っていません。
いわば全くの偶然の一致ですが、まぁこれも何かの縁だと思って、当ブログの公式iPhone4ケースとして推薦しようと思います。
日本で買えるかどうか知らんけど。

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NHK『カーネーション』第17回

最近寒いし、朝はなかなか起きられないのだが、ベタながら「糸子に元気をもらおう!」と思えばサクリと布団から出ることのできる当方が、NHK朝の連続テレビ小説『カーネーション』の第17回目の放送を見ましたよ。

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第3週「熱い思い」

昭和5年(1930年)夏。
糸子(尾野真千子)がパッチ店で修行をはじめて2年が経過した。
店では未だに一番下っ端であった。それでも、ミシンでの縫製も任されるようになり、裁断から仕上げまで一人でこなせるようになった。しかし、まだまだ失敗ばかりで、先輩に怒られては糸をほどいてやり直しを命じられている(糸をほどく道具にちなんで「目打ちの小原」というあだ名まで付けられた)。
けれども、自分自身で成長が感じられ、活き活きと仕事に打ち込んでいた。

最近の糸子は、幼なじみの勘助(尾上寛之)の家によく出入りをしていた。中学を卒業して紡績工場で働き始めた勘助は、仕事がキツイといっては弱音を吐き、しょぼくれてばかりいる。就職経験が長く、元来姉御肌の糸子は、勘助を叱咤激励した。それでも勘助の態度は改まらず、糸子は呆れるのだった。

勘助の義理の姉・八重子(田丸麻紀)と話をするのも楽しかった。一見すると彼女は地味なタイプだが、よく見ればおしゃれな女性で、ファッション雑誌を購読しており、洋服にも詳しかった。

八重子から洋服を縫わないのかと聞かれ、自分の本来の夢が後回しになっていることに気付いた。パッチ店での仕事は楽しく、真剣に取り組んではいるが、洋服を縫うという目的を見失っていたのだ。帰宅すると、幼い頃に祖母からもらったドレス(第5回)を引っ張り出し、みんなから忘れ去られ色あせてしまったドレスの様子に、自分の洋服への夢を重ねあわせた。そして少々落ち込んだ。

がっかりしながら家の前の往来を見ていると、洋服を素敵に着こなした女性の後ろ姿が見えた。このあたりで洋装をする人は珍しく、糸子は慌てて後を追った。するとそれは奈津(栗山千明)だった。糸子は腹の底から悔しくなった。自分の夢だったものが、奈津に先をこされて心底悔しかった。自室の床にのたうち回って悔しがった。

自分も早く洋服を作らなければ、と決意した。しかし、決意した瞬間、父・善作(小林薫)が一家に洋服禁止令を出していることを思い出した。洋服を作っていることがバレたら、父がどれだけ激怒するか分からない。糸子は困ってしまった。

八重子に悩みを打ち明けると、彼女は最初に善作用の洋服を作ってみたらいいとアドバイスしてくれた。口では文句を言っているが、娘が手作りした物なら喜ぶし、実際に着てみたら良さもわかるだろうというのだ。
糸子はその気になった。

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NHK『カーネーション』第16回

通勤経路にコスモス畑があり、その横をミニスカを翻しながら自転車で走っていく女子高生を眺めては「コスモスの花言葉は少女の純真か・・・」とひとりごちている当方が、NHK朝の連続テレビ小説『カーネーション』の第16回目の放送を見ましたよ。

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第3週「熱い思い」

昭和3年 (1928年)春、糸子(尾野真千子)がパッチ店で修行を始めて半年が経った。いまだに毎日叱られてばかりだが、充実した毎日だった。夜の居残りミシン練習にも楽しく取り組んでいた。

糸子は布の裁断を教えてもらえることになった。山口(中村大輝)は裁断を教えてもらうまでに2年かかったのに比べると異例の早さだった。山口は面白くなかったが、周囲が糸子の努力を認めた結果であり、彼にはもっと頑張るようにと促した。糸子は少し鼻が高かった。

そんな矢先、神戸で繊維会社を経営する母方の祖父・清三郎(宝田明)が岸和田にやってきた。パッチ店をこっそり覗くと、失敗する度に折檻されている糸子が見えた。孫のかわいい清三郎は心を痛めた。

しばらく観察した後、清三郎は糸子を早退させて心斎橋のカフェへ連れて行った。糸子は珍しい食べ物や美しく着飾った女性たちに目を奪われた。和服姿の女給たちが着用しているフリル付きのエプロンも興味深く眺めた。

糸子の境遇に胸を痛めた清三郎は、糸子に神戸へ来るよう誘った。清三郎の会社には大量のミシンがあり、糸子はいつでも好きなだけ使うことができるという。
しかし、糸子は即座に断ってしまった。祖父が自分に甘いことをよく知っており、それでは何も自分の勉強にならないと思ったからだ。店では怒られてばかりだが、それだけ必死になって勉強しようと努力する気持ちになる。だから今の環境が良いと説明した。
今のまま修行を続けて、一人前になったらきっと祖父の会社を手伝うと言うのだった。そこまで言われた清三郎は、糸子を説得することができなかった。それどころか、糸子の健気さに胸を打たれ、目の前で涙ぐむのだった。

4月12日、吉田屋の大広間で泰蔵(須賀貴匡)と八重子(田丸麻紀)の結婚式が挙げられた。糸子らも招待され、善作(小林薫)はふたりの門出を祝福する謡を披露した。天気の良い大安でみんな幸せそうだった。

ただし、奈津(栗山千明)だけは悲しみにくれていた。泰蔵の弟・勘助(尾上寛之)とは小学校の同級生であり知らない仲ではないし、家の料理屋の次の女将として挨拶するのが筋だった。しかし、ずっと庭で泣いていた。何年間も密かに思いを寄せいていた泰蔵の結婚がどうしても許せなかった。

一度だけ奈津に相談を受けたことのある糸子であったが、そんなことは少しも気にしてないようだった。

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NHK『カーネーション』第15回

カーネーションの花言葉は「母の愛」だそうだが、山口百恵の『秋桜』(さだまさし作詞・作曲)の印象があまりに強すぎて、コスモスの花言葉こそが「母の愛」だと思いこんでいた(実際は「少女の純真」)当方が、NHK朝の連続テレビ小説『カーネーション』の第15回目の放送を見ましたよ。

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第3週「熱い思い」

風邪をこじらせた糸子(尾野真千子)は、そもそも役に立たない上に風邪をうつされてはかなわないと言われ、家に帰された。裁縫をやらせてもらえず、役立たずとまで言われて、糸子は打ちのめされた。
帰宅して布団で休んだが、店を辞めたい、女学校に戻りたいと後悔ばかりしていた。ただし、家族にはまだ打ち明けずにいた。そのうちに眠ってしまった。

ふと、次女・静子(柳生みゆ)が母・千代(麻生祐未)に不満を訴えている声が聞こえてきた。長女の糸子ばかり新しい着物を買ってもらって、自分はお下がりだ。糸子は学校を辞めたいと言えば辞めさせてもらえた。糸子ばかりが自由で不公平だと言うのだ。
しかし、母は即座にたしなめた。糸子は自分で父を説得して自由を獲得したのだ。女はただでさえハンディがあるのに、糸子は自分で道を切り開いた。それでいて愚痴を言わない。静子は糸子のような努力もせずに不満を言うのは筋違いだと諭した。

そんなやりとりを寝床で聞いていた糸子は嬉しかった。自分が褒められて嬉しかった。すっかり体調が回復し、精神的な元気も湧いてきた。
相変わらず、父・善作(小林薫)には「勉強をしに行くと思え」と念仏のように言われていたが、今日初めてその意味がわかった。見方を変えれば、雑用の一つ一つが今まで自分の知らなかったことばかりだ。自分が働くと周りの人が喜んでくれて、自分が少し大人になる。そう思って、しごと帳をつけていたことを思い出した(第8回参照)。
それからは、どんなことも新鮮に思えた。どんなことにも真剣に取り組んだ。

ある朝、楽しそうに店のミシンを磨いていると、店主の桝谷(トミーズ雅)が笑顔で近づいてきた。彼は、ミシンは「夜になったら遊んでいる」と教えてくれた。糸子はその比喩の意味がわからず、一瞬混乱した。桝谷はあらためて、夜、誰も使っていない時なら自由にミシンを使っても良いと許可してくれた。

その日の夜、早速遅くまで残った。同じように夜間のミシンを狙っている山口(中村大輝)に追い返されそうになったが、店主からミシン練習の許可が出たと言い返すのだった。山口はミシンの許可が出るまで1年かかったという。山口は面白くなかったが、山口の練習が終わるまでおとなしく待つというので、糸子と一緒に居残りをすることになった。

山口が帰宅し、いよいよ糸子の番となった。
今朝許可をもらったばかりで、縫うものがなかった糸子は、ミシンの前に座ってうっとりと眺めるばかりだった。今夜はミシンに話しかけ、ボディをなで、優しく抱きつくばかりだった。

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NHK『カーネーション』第14回

昨日はいつもより1時間早く家を出たら、ちょうど高校生の登校時間で、ミニスカ自転車の女子高生の白くて健康的な太ももが眩しいなぁとニヤニヤしていたら、スカートがめくれて白地に水玉模様のパンツが見えるという行幸に巡りあい、これから毎日この時間に出勤しようと思った矢先、立て続けに3人のパンチラを目撃し、その途端、なんかもういいわ・・・という気になって萎えてしまった当方が、NHK朝の連続テレビ小説『カーネーション』の第14回目の放送を見ましたよ。

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第3週「熱い思い」

パッチ店での1日目、糸子(尾野真千子)は夕食に遅れて帰ってきた。仕事のことを聞かれて、糸子はとても楽しかったと明るく話した。しかし、それは家族を心配させないための嘘だった。部屋で一人になると落ち込んだ。雑用ばかりで、ミシンを使わせてもらえるまで10年もかかると言われ、その先の長さに挫けてしまいそうだった。
家族の方も、糸子の嘘にうすうす気付いていた。家族に勘づかれたことを、糸子自身も気付いていた。母(麻生祐未)や祖母(正司照枝)が何かと気を使ってくれた。彼女らの優しさをありがたく思いつつも、本当のことは言い出せないままだった。

パッチ店では失敗続きで、先輩職人に一日中怒られてばかりだった。もちろん裁縫をさせてもらえるはずもなかった。ミシンに触れるために女学校を辞めたはずなのに、かえってミシンが遠ざかっていくように感じた。
できることなら女学校の友だちに会いたい。そう思った瞬間、奈津(栗山千明)パッチ店を覗きに来た。

若くて美人の奈津は、職人たちにちやほやされた。職人たちは奈津にミシンを体験させ、しきりに上手だと褒めたたえた。それは、糸子が初めて店に来た時におだてられたのと全く同じ光景だった。糸子は、店の者たちの常套手段を面白くなく眺めていた。

日も暮れて、糸子が帰ろうとすると、店の前で奈津が待っていた。奈津は、大工の泰蔵(須賀貴匡)が結婚するという噂をもたらした。泰蔵の家とは親しく付き合っている糸子であったが、それは初耳だった。
すると、奈津は突然感情を爆発させ、泰蔵に結婚して欲しくないと言い出すのだった。聞けば、奈津は泰蔵のことをずっと好きだったのだという。しかし、糸子の見立てでは、泰蔵は奈津の存在すら知らない、奈津がどんなに頑張っても泰蔵が振り向いてくれることはないというものだった。
それでも奈津は引き下がらず、自分が大きくなって、もっと綺麗になったら泰蔵は必ず振り向くはずだから、それまで結婚しないよう言って欲しいと頼んできた。そのあまりにバカバカしい言い草に、糸子はおかしくなって笑いとばした。奈津は気分を害してさっさと帰ってしまったが、糸子は久しぶりに女学生に戻った気がして、仕事の辛さを少しだけ忘れることができた。

ある朝、糸子は風邪をひいてしまった。家族には仕事を休むように言われたが、糸子は無理をして出勤した。いつも通りに誰よりも早く店に出て、掃除などの準備をしていた。やってきた先輩職人の岡村(河野智宏)は糸子の体調が悪そうなのに気づくと、家に帰れと言った。糸子はいてもいなくても同じどころか、いない方が仕事も捗る、下手に風邪でも移されたら迷惑だと言って追い返すのだった。

反論できない糸子は、そのまま帰った。しかし、途中の道で悔しくなって泣き崩れた。店を辞めると言って、一人で泣き続けた。

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NHK『カーネーション』第13回

昨日はスーパーで買ってきた一尾79円のサンマがおいしくて、どんぶり飯を2.5杯も食べてしまった当方が、NHK朝の連続テレビ小説『カーネーション』の第13回目の放送を見ましたよ。

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第3週「熱い思い」

昭和2年(1927年)。
糸子(尾野真千子)は学校を去った。同級生たちには、パッチ屋で働くために学校を辞めるのだと説明した。洋裁が好きで自ら選んだ道だと宣言した。そして、家の商売が傾いたから学校をやめるのではない、変な噂を流すなと念を押した。

いよいよ桝谷パッチ店へ出勤する初日。糸子はワクワクしていて、女学校時代には考えられなかったほど早起きをした。父・善作(小林薫)には仕事に行くのではない、勉強に行くのだとしつこく言われた。しかし、糸子の耳には届いていなかった。

糸子は期待で胸がいっぱいだった。親切な職人たちと明るい職場で、大好きな洋裁をやっていけることは楽園のように思えるのだった。

パッチ店では、明るく元気に挨拶をした。しかし、店の者たちの態度はあからさまに冷たく、よそよそしかった。自分が店に来ない間に何があったのかと山口(中村大輝)に尋ねると、馴れ馴れしい口を聞くな、敬語を使えと叱られた。

以前の糸子はお客さんだったから親切にしたが、今は店の中で一番下っ端であるというのが山口の言い分だった。お茶くみ、店の掃除などの下働きは全て糸子の担当にされた。みんなが食事をしている間も、糸子一人だけで店の留守番を命じられた。自分の食事の番になったが、ご飯はほとんど残っていなかった。
遊びに来るのと働くのとでは全く違うのだと思い知らされた。

一番びっくりして、一番悲しかったことは、布にすら触らせてもらえないことだった。
店に入って5年間は雑用のみ、10年経ってやっとミシンを使わせてもらえるというのだ。

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NHK『カーネーション』第12回

それが見るに耐えないほど酷いものだと言うつもりは全くないが、尾野真千子の左こめかみにある大きなホクロがどうしても気になってしまうので、どうか左側からは撮影しないでくれと思っている当方が、NHK朝の連続テレビ小説『カーネーション』の第12回目の放送を見ましたよ。

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第2週「運命を開く」

店の資金繰りが上手くいかないことで、善作(小林薫)はふさぎこんでいる。しかし、家族は誰一人として原因に気付いていない。妻の千代(麻生祐未)などは、腹に虫がわいたと思って、呑気にも薬を買ってくるほどだった。

大地主(石田太郎)の娘の嫁入り衣装を請け負ったことで起死回生を目指していたが、問屋から反物を仕入れる金もない。どうすることもできなくなった善作は、大地主に正直に打ち明けて仕事を断ってしまった。
大地主は怒りはしなかった。むしろ、善作の今後について心配してくれた。ただし、商売は一度失敗すると坂道を転がるように没落していく、店をたたむなら早い方が良いとアドバイスするのだった。
頭でそれがわかっている善作であったが、どうしても踏ん切りが付かなかった。

糸子(尾野真千子)の女学校は夏休みが終わり、新学期が始まった。夏休みの間はおとなしく家にいた糸子であったが、学校の帰りに寄り道をして、父から出入りを禁じられていたパッチ店を覗いた。中からは店員たちの威勢のいい声やミシンの音が聞こえてきた。それらの音を聞いているだけで満足した糸子は、素直に家路についた。

ところが、帰り道の途中で、幼なじみの勘助(尾上寛之)が同級生にいじめられているのを見つけた。糸子は彼を助けようと思い、2人の男子に飛びかかった。しかし、小学生の頃とは違い、あっさりと返り討ちにあってしまった。
それまではやられるがままだった勘助であったが、糸子の窮地を傍観しているわけにはいかなかった。勇気を振り絞り、自分も加勢した。けれども、勘助も簡単にやられてしまった。

ふたりはボロボロになり、糸子は勘助に背負われて帰宅した。勘助が事情を説明しようとすると、何も言わせないうちに、糸子は勘助に物を投げつけて追い返してしまった。そして、そのまま糸子は布団に寝込んでしまった。

糸子は悔しかったのだ。弱虫で自分の庇護の下にあると思っていた勘助に、逆に助けられたことが悔しかった。男は成長につれて力が強くなっていくのに、女はそうならないことが悔しかった。女である自分は、これから一生男に勝てないのだと思うと悔しかった。だんじりに乗れないことが悔しかった。唯一自分の生きがいである洋服やミシンを父から禁じられていることが悔しかった。
もう自分の人生はお終いだ。そう思うと、普段は絶対に人前で涙を見せない糸子が、祖母(正司照枝)の前で号泣した。

善作は、その様子を陰から覗き見ていた。
翌朝、善作は糸子に声をかけた。だんじり祭が終わったら、女学校を辞めてパッチ店で働くことを許可するという。糸子は有頂天になった。父が話し続けているのにもかかわらず、ニヤニヤして大はしゃぎした。
善作は糸子を落ち着かせると、働きに行かせるのではなく「勉強をさせに行くのだ」ということを強調した。しかし、糸子はパッチ店に行けることが嬉しくて上の空だった。勉強という意味が少しもわかっていなかった。

そして今年も例年通り、勇壮なだんじり祭が行われた。

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