『陰翳礼讃』 谷崎潤一郎

谷崎潤一郎の『陰翳礼讃』を読んだ。

タイトルの読み仮名は「いんえいらいさん」。ちと難しい。意味としては「薄暗いことを褒め称える」ってところか。
以前からこの本の存在は知っていたのだが、タイトルが小難しいのでずーっと避けていた。谷崎の文章はどれも軽妙で読みやすい上に、基本的に彼の書くものが大好きな当方であるが、タイトルの文字面から『陰翳礼讃』にはどうしても食指が動かなかった。

しかし、ふとブックオフで同書を見つけ、ついデキゴコロで買って読んでみた。
そしたら、事前の恐怖心はなんのその、軽く愉快に読めるエッセイ集だった。
昭和ヒトケタ代に書かれたにもかかわらず、まったく古臭い気がしなくて、現代にも通じると思えるところがたくさんあって驚いた。
谷崎の先を見通す目が鋭かったのか、70年たっても日本はほとんど進歩していないのか。

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70 Japanese gestures (日本のしぐさ 70)

ahoaho-expoというバカバカしい本をたくさん紹介しているサイトで、”70 Japanese gestures” という本を知った。
同サイトに掲載されているのは、今じゃ手に入らないような変な本がほとんどなのだが、この本は現在でも入手可能な様子。

日本人独特のジェスチャーを、写真図解、英語での説明文、日本語表記と3本柱で説明してくれている。
外国人はこれでマジメに日本文化を理解知るのかもしれないし、日本人もよく使う慣用句を英語で表現するにはどうすればいいのか勉強になるのかもしれない。

どこまでまじめで、どこからフザけてるのか判断は難しいが、こういうノリは大好きだ(写真は、ahoaho-expoより)。
ahoaho-expoでの紹介記事とか、amazon のなか見!検索でもっといろいろ見ることができる。

一家に一冊必携かもしれないし、そうじゃないかもしれない。
が、とにかく欲しいなぁ。

「続・男はつらいよ」(第2作)を見た

昨夜に引き続き、「続・男はつらいよ」(第2作)を見た。

寅さん初心者の僕は、寅次郎の肉親は妹のさくらと、だんご屋のおじ・おばしかいないのだと思っていた。
しかし、2作目にして寅次郎を産んだ母親が登場。彼女は京都に住んでいた。
「なんだ、柴又以外にも身寄りがあるんじゃん」
と、ちょっと拍子抜けといえば、拍子抜け。
#なお、寅次郎とさくらは異母兄妹。

そんなわけで、母親の住んでいる京都市がロケ地になっていた。
清水の舞台とか、嵐山の渡月橋(現在のものとは違うように見えた)が出てきたりする。

映画のラストシーンは鴨川。
京都市内初心者の僕は、これがどこだか特定できないのだが、三条大橋だろうか。

「続・男はつらいよ」ラストシーン

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「男はつらいよ」(第1作)を見た

ここしばらくの間、ドラマ「ちりとてちん」とか、映画「同窓会」とか見ているうちに、泣けて笑える人情コメディが空前のマイブームとなっている。

この波に乗って、人情コメディの雄「男はつらいよ」(第1作)を見た。
第1作の公開日は1969年8月27日で、ちょうど40年。公式サイトも派手になってるし、イベントもたくさん開催されてるみたいだし、HDリマスター版という新しいDVDも出たばっかりらしい。
#DVDが発売されたけれど、僕はレンタルしてきて見た。

やはり国民的映画だ。ものすごく面白く見ることができた。
上映時間が91分であり、現代の映画の一般的な尺(およそ2時間)に比べればそもそもが物理的に短い映画なのだが、のめり込んで見てしまい、1時間半があっという間だった。

「男はつらいよ」と言えば、旅先からふらっと柴又に帰ってきて騒動を起こし、妹のさくらを困らせ、ついでに寅さんが失恋するというプロットがお約束。一度も映画を見たことがない人でも知識としてこのことは知っているだろうし、僕も一応知っていた。
でも、まさか第一作から脈々と同じ筋書きだとは想像しておらず、軽くビックリ。
この様式美が、魅力のひとつなんだろうけど。
#水戸黄門の印籠とか、ウルトラマンのカラータイマーとか、KISSのジーン・シモンズの血糊とか、そういう様式美は嫌いじゃない僕である。

また、このシリーズでは全国各地がロケ地になることで有名だけれど、第一作では奈良が舞台だった。東大寺周辺で、二月堂(だと思う。僕はそこに行ったことがないからわからない)とか浮き御堂なんかが写ってた。あと、奈良ホテルのエンタランスも出てきた。
#ちなみに、谷崎潤一郎は「細雪」の中で、奈良ホテルをボロクソに書いてたと記憶している。

まぁ、そんなこんなで、楽しみどころは満載だったのだが。
しかし、それらを凌駕して、僕が良い意味で裏切られたのが、倍賞千恵子が演じる妹・さくらだ。

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『ハリー・ポッターと死の秘宝』(7巻) / J. K. ローリング

2000年代初頭を生きたものの基礎的な教養として、ハリー・ポッターシリーズは一通り押さえておかなくてはいけないと思っているような、いないような。

そんなわけで、最新刊にしてシリーズ最終巻となる『ハリー・ポッターと死の秘宝』を読んだ。

もちろん、これまでに既刊は全て目を通している。
しかし、前巻(6巻)を読んだのは2年近く前だし、それ以前の物語を読んだのはもっとずっと前だし、登場人物や小道具、エピソードの数が尋常ではないので、以前の内容は実はあまりよく覚えていない。いずれも1回読んだだけで、再読とかはしていないし。
4巻の「炎のゴブレット」までは映画でも見たのでいくぶんかマシなのだが、5-6巻あたりはかなり記憶があやふや。ていうか、内容はおろか、タイトルすら忘却のかなた。

そんな僕が、復習なしで7巻を読み始めたところ、最初の数章はなんの話だかさっぱりわからなかった。
言われてみれば、6巻でダンブルドア校長が死んだことは思い出したけれど、それを受けて主要登場人物たちがどういう方針を立てたのかとか、あまり説明されていないので、本当にちんぷんかんぷんだった。どっかで見た気はするけれど、ぜんぜん覚えていないような登場人物が、当然のように次から次へと出てくるもんだから、もう手に負えない。
本当に、なんど本を投げ出そうと思ったことか。

しかし、なんとか我慢して字面を追っていけば、次第になんとなく話が飲み込めてきた。

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Omnia のパッケージはすごいらしい

韓国のメーカー Samsung がスマートフォン “Omnia” を発表したそうだ。
巷では、「iPhone の対抗馬」なんて言われているとか、いないとか。
iPhoneの対抗馬!?サムスンのOMNIA (ascii.jp)
iPhone対抗というのは間違いだ!Samsung「OMNIA」の真の姿 (IT media)

さて、そんな “Omnia” のパッケージを開封するビデオもまた話題を呼んでる。

これを見ると、実際に買って開封するのがものすごく楽しみになってしまう。

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おじいさんにもらったラジコンカー: 探偵!ナイトスクープ

2008年8月22日の『探偵!ナイトスクープ』では「おじいさんにもらったラジコンカー」という依頼が放送された。

大阪府の男子小学生(10)から。友達になった近所のおじいちゃんから、ラジコンカーをもらった。何年か前に亡くなられたおじいちゃんの息子さんの形見だそうだ。もう動かないので、両親に直してもらおうとしたが、直らなかった。おじいちゃんはラジコンカーが動いているところを見たがっていると思うので直して欲しい、というもの。

以下、ネタバレ。
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sample: 深夜2時までやってるカフェ

お好み焼きを食べて口の中がなんとなくモニョモニョしていたので、帰りに「夜遅くまでやっていて、わりかしオサレ」という噂のカフェ sample に寄ってみた。

交差点の角にある年季の入った雑居ビルの1F。
ビルは年季が入っているが、店の内装は手が入れられていて随分オサレ。

店に入ってビックリするのは、カウンターがあるだけで、座席も4つくらいしかない。
なんか、常連っぽいあんちゃんが1人だけカウンターに座り、店のおねーさんと親しげにトークをしている。
小心者の当方は「なんて狭い店なんだ。しかも、常連が幅を利かせてるっぽくって居心地わりー」なんてオロオロしてしまう。

しかし、店のおねーさんが優しい微笑で
こちらの奥にも席がありますので、どーぞ
と僕の内心を見透かしたのかように、さりげなく誘導してくれる。

でも、指差された場所ってのが、幅1mくらいで壁が真っ黒に塗られた狭いトンネル。閉所恐怖症の人なら、絶対ビビる。

でもー、でもー、トンネルを抜けると、そこは落ち着いたホールだった。

sample のホール

間接照明が目に優しい。
女の子とかを連れ込むと、かなりいい雰囲気かも。
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