NHK『カーネーション』第1回

「半年ぶりに、俺の根性試しがはじまるぜ」とひとりごちている当方が、NHK朝の連続テレビ小説『カーネーション』の第1回目の放送を見ましたよ。

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第1週「あこがれ」

大正13年(1924年)9月、大阪府岸和田市。
早朝にも関わらず、街中の男たちが続々と集まってくる。今日は岸和田の名物、だんじりの日だ。男はだんじりを曳く役割、女はごちそう作りと朝から大忙しである。

いつもは朝寝坊の小原糸子(二宮星)もぱっちりと目を覚ました。糸子もこの日を楽しみにしていたのだ。出かけていく父・善作(小林薫)を大はしゃぎで送り出した。

近所の髪結い・安岡玉枝(濱田マリ)が小原家を訪ねてきた。一緒にだんじり見物をしたいと言うのだ。安岡家の長男・泰蔵(須賀貴匡)は、今日のだんじりで大工方を務める。大工方とはだんじりの屋根の上から合図を出す役割である。もっとも目立ってかっこいい役であるが、同時に危険もつきまとう。失敗して恥を欠いたり、怪我をしたりするのではないかと、玉枝は心配でならない。

玉江は、次男の勘助(吉岡竜輝)を連れていた。勘助は糸子と同じ尋常小学校5年生であるが、ふたりはあまり仲良くしようとしない。勘助は糸子を自分の格下だと思っている。一方の糸子も勝気な性格であり、弱虫のくせにすぐに威張ろうとする勘助のことが気にくわない。ふたりはいつも喧嘩ばかりしている。
それでも、だんじりがやって来ると、ふたりは揃って声援を送った。だんじりが大好きな気持ちは同じだった。

大工方の泰蔵は、完璧に役割をこなした。夜には、小原家にみんなが集まって宴会となった。糸子の祖母・ハル(正司照枝)と母・千代(麻生祐未)が腕によりをかけて作った料理も大好評だった。

夜の余興として、子供たちもだんじりを曳かせてもらった。ただし、だんじりに登ることを許されたのは男の子だけで、女の子は良くても綱を曳く係だけだった。糸子は自分も大工方になりたいと願ったが、しきたりでそれは許されないのだ。勘助からも、女には無理だと言われ、頭に来て彼をつねってやった。

だんじりの翌日、街も人も日常に戻った。
昨日は早起きした糸子であったが、今日は家中の誰よりも寝坊した。昨日はあんなにたくさんのごちそうがあったのに、今日は白米とメザシだけの食事だ。昨日は一日中機嫌の良かった父なのに、行儀の悪い糸子のことを今日は朝から怒鳴りちらしている。

学校では、男子たちがカエルをいじめていた。糸子はそれを助け、逆に男子たちを追い掛け回した。
その様子を、離れたところから呆れた顔で眺めていた少女がいた。街で一番の料理屋の娘の吉田奈津(高須瑠香)である。粗暴な糸子と違って、彼女はおしとやかで、通学にも日傘をさしている。
奈津は毎日違う着物で学校へやって来る。呉服屋の娘である糸子ですら、毎日同じ着物だというのに。

下校途中、だんじりで大工方を務めた泰蔵とすれ違った。奈津は恋する娘のまなざしで彼を見つめた。一方の糸子は、自分もだんじりに参加したいと、そればかり考えていた。

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映画『ソーシャル・ネットワーク』を見た

世界最大のSNS Facebookを作った学生たちの友情と確執を描いた作品。デヴィッド・フィンチャー監督、ジェシー・アイゼンバーグ主演、2010年作品。

主人公のマーク・ザッカーバーグは、他人の感情に注意が向かず、不適切な言葉を投げかけては人を不快にさせる。人付き合いのヘタクソなコンピュータ・オタクなのだが、彼のテクニックと独創性は一流だった(実際に Facebook を創り上げたことだし)。
ある日、数少ない友人の一人であり、唯一の恋人(まぁ、恋人は通常唯一であるべきだが)にまでヒドイことを言ってしまい、フラれてしまう。その腹いせもあり、マークはネット上でのコミュニティサイトの作成にのめり込んでいく。
少しずつプロジェクトに協力する仲間も増えてきた。しかし、プロジェクトが大きくなるに連れて、組織の内外に嫉妬や方向性の相違が生まれ、マークは孤立していく。

そんなお話。

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映画『探偵はBARにいる』を見た

大泉洋が、札幌ススキノの便利屋<俺>を演じる映画『探偵はBARにいる』を見てきた。

原作は東直己『バーにかかってきた電話』。2011年現在、11作ほど出ている<俺>シリーズの2作目だ。
僕はこのシリーズが大好きでほとんど読んでいる(文庫で追いかけているので、単行本で出ている最新作だけは読んでいない)。僕は札幌の街が大好きだから、そこが舞台になっているシリーズも自然に気に入る。著者も札幌在住で、文中に出てくる流暢で正確な北海道弁にも好感が持てる。ススキノを根城にする主人公は、ニヒルな伊達者なのだが、たまに抜けているところもある。なかなか味わい深いキャラクターだ。

大好きなシリーズの映画化とあっては、当然楽しみになる。主人公を演じるのが、今や北海道を象徴する俳優の大泉洋であるということでも期待は高まる。そして、今回の映画の原作になっている『バーにかかってきた電話』はシリーズの中でもお気に入りの一つだ。

原作が大好きなだけに、映像化に対しては少々警戒もしていた。
しかし、先週の公開以来、ネット上の評判をいくつか拾い読みしたところ、いずれも上々の評価だった。
だから、期待に胸ふくらませて見に行った。

僕が見たのTOHOシネマズ海老名で、水曜日の昼の回だった。スクリーン1というかなり大きなスクリーンだったのだが、観客は半分以上は入っていたようだ。なかなかの入りだと思う。ただ、毎月14日はTOHOシネマズのサービスデイで、料金が一律1000円である。そのせいで通常よりも混んでいた可能性もあるが、それを差し引いても人気なのではないかと思う。

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DVD『センセイの鞄』

川上弘美の『センセイの鞄』は、老人と年増女の回りくどい恋愛話なのであるが、僕は大好きな小説だ。読んだのはいつだっけ?と、当ブログの過去記事を探してみたら、2004年の10月末だった。
つい最近のことだと思っていたのに、記録を見ると随分昔の話だ。

とてもお気に入りの小説であり、「好きな本を20冊挙げろ」と言われれば、おそらく余裕でランクインである。
しかし、時の流れとは残酷である。実は、細かい内容をすっかり忘れ去っている。
漠然と、「しっとりとしていて、いいお話だった」と印象に残っているのみである。

ところで『センセイの鞄』は、谷口ジローが漫画化していたり(『孤独のグルメ』の人ですよ)、沢田研二&富田靖子の音楽劇になっていたりするらしい。どちらも未見だが。

それらの映像化も気になるのだが、僕が数年前からどうしても見たいと思っていたのは、小泉今日子柄本明出演で WOWOWがドラマ化したというものだ。
小泉今日子のどこか冷めていて陰のある感じと、柄本明の飄々とした感じは、本作のツキコとセンセイのイメージにぴったりではないかと思っていたからだ。

そんなわけで、やっと小泉&柄本版のDVDを入手して、見ることができた。

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NHK『おひさま』日誌終了

頭痛に苦しめられ1日中寝ていた当方が、NHK朝の連続テレビ小説『おひさま』の第64回目の放送を見逃しましたよ。

そんなわけで、63回続いた『おひさま』のまとめ記事は昨日で終了ということになりました。正直なところ、最近は見ていてつまらなかったし、連載するモチベーションも激しく低下していたので、わりとせいせいしていたりもします。

とはいえ、一部の楽しみにしてくださっていたみなさんには申し訳ありません。
これまで読んでくださって、ありがとうございました。

次は、『カーネーション』でお会いしましょう。

NHK『おひさま』第63回

昨日のまとめ記事では、ついうっかりとマクラを書き忘れた当方が、NHK朝の連続テレビ小説『おひさま』の第63回目の放送を見ましたよ。

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第11週「戦火の恋文」

1944年(昭和19年)春。日本軍劣勢の噂が人々の耳にも届くようになった。国内の物資も不足がちになっていた。

いよいよ春樹(田中圭)が軍医として戦地に旅立つ時が来た。

春樹は良一(寺脇康文)と名古屋で再会した。良一は飛行機工場で新兵器の開発に携わっている。過酷な環境に置かれているようで、春樹の目にも良一の憔悴がわかった。しかし、良一は弱音は一切吐かなかった。
良一は生きて帰ってくるよう言おうとした。しかし、春樹はその気持は口に出さずともわかると伝え、みなまで言わせなかった。

春樹は、以前に茂樹(永山絢斗)と話した内容を父に知らせた。春樹が実家で病院を開き、家族全員がその近所に住むようになればいいと言っていた。自分もそうなれば良いと思うと言うのだった。

父と別れた春樹は、まず安曇野の実家に立ち寄った。無人となった家屋を眺め、そこが病院となった様子を想像した。自分が医者として働く横に真知子(マイコ)を置いた。

それから、陽子(井上真央)に会うため松本へ向かった。陽子の義理の両親(串田和美、樋口可南子)ともすっかり打ち解けた。陽子が良い家族に嫁いだことを春樹は喜び、安心するのだった。

夜、陽子と二人っきりになった春樹は、真知子へ宛てた手紙を差し出した。
生前の母(原田知世)に言われていたとおり、自分は何でもすぐに我慢してしまう質である。しかし、最期くらいは自分らしくない行為をしたいというのだ。真知子に自分の気持ちを告げずに死ぬのは悔やまれることである。
そこで、もし自分が生きて帰らなかった場合は、その手紙を真知子に渡して欲しいというのだった。

翌朝、春樹は戦地へ旅立った。
陽子は、真知子も春樹に心を寄せていることを知っている。しかし、そのことを春樹に教えたことはなかった。黙ったままでよかったのかと、後日何度も悩むのだった。

その頃、真知子の婚約者

その頃、真知子へ婚約者(萬雅之)の死亡が伝えられた。欧州からの帰国の途中、船の事故にあって死亡したというのだった。

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NHK『おひさま』第62回

当方が、NHK朝の連続テレビ小説『おひさま』の第62回目の放送を見ましたよ。

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第11週「戦火の恋文」

陽子(井上真央)の教え子たちはもうすぐ卒業する。授業では戦い方を教えるのみで、まともな授業を受けさせてやれなかったことを陽子は悔やんでばかりだった。

陽子は子供たちひとりひとりに手紙を書いて渡すことにした。命の大切さ、生きることの喜び、夢を持つことなど、陽子が本当に教えたいと思っていたことを書きつくした。それを卒業式で全員に手渡そうとしたのだ。
しかし、その手紙の束が校長(綾田俊樹)に見つかり、没収されてしまった。校長も教育者として、現状に満足しているわけではない。けれども、今はそれをしてはいけない時期なのだと優しく諭した。陽子も受け入れざるを得なかった。

陽子は、自分の不満を夏子(伊藤歩)や徳子(樋口可南子)に正直に話した。彼女らは異口同音に、子供たちを幸せな涙で送り出すべきだと意見した。後悔の念と共に送り出される子供たちは不幸だ、彼らの幸せを祝福してやることが重要だと言うのだった。

いよいよ卒業式の日を迎えた。
陽子は自分を奮い立たせ、満面の笑みで卒業生を送り出そうとした。ところが、子供たちに泣き付かれ、つい自分もつられて泣いてしまった。
しかし、それは幸せの涙だった。みんなを忘れない、みんな大好きだと言いながら、子どもたちと一緒に涙を流すのだった。

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映画『探偵はBARにいる』 2011年9月10日公開

東直己・原作(『バーにかかってきた電話』)、大泉洋・主演の映画『探偵はBARにいる』の公開が2011年9月10日決まったようだ。

特報映像も公開されている。
しかし、なんだかビミョーな空気が流れてる。僕が原作の大ファンなのでそう感じるだけだといいのだが。杞憂だといいのだが。

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NHK『おひさま』第61回

出張から帰宅し、久しぶりに家庭菜園の世話や洗濯物を干したりしようと思ったのに、雨模様でげんなりしている当方が、NHK朝の連続テレビ小説『おひさま』の第61回目の放送を見ましたよ。

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第11週「戦火の恋文」

1943年(昭和18年)暮れ。和成(高良健吾)が出征して4ヶ月が過ぎた。その間、陽子(井上真央)は幾度も和成へ手紙を書いたが、彼からの返事は一度もなかった。

安曇野では、父・良一(寺脇康文)が名古屋の飛行機工場へ旅立った。子供たちが戦場で頑張っているのに負けていられないと自分を奮い立たせて出発した。無人となった須藤家はタケオの両親(村松利史角替和枝)に託された。

大晦日。
丸庵は大忙しだった。物資窮乏で蕎麦の代わりにうどんしか出せなかったが、年越し蕎麦の雰囲気を味わおうとする客がひっきりなしだった。
忙しい中にも明るさを忘れず、互いに仲の良い和成の両親(串田和美、樋口可南子)である。彼らの姿を間近で見る陽子は、自分と和成はどんな夫婦になるのだろうかと想像するのだった。そのうち、戦地の和成のことが恋しくなると同時に、彼の身を案じるのだった。

明けて1944年元旦。

ついに和成からのハガキが届いた。
和成は毎日太陽を見上げ、幸せな気分になっているという。それは、陽子のことを考えてばかりいるという比喩であった。そして、昔映画で見た南方の太陽のことを思い出すと付け足してあった。和成は自分の赴任先が南方戦線であると他人にはわからないように知らせてきたのだった。
和成からのハガキは、陽子にだけはわかる、陽子への恋文に違いなかった。

陽子は、自分と年の近い啓子(初音映莉子)親子と独楽遊びをしていた。その時、戦死公報の配達員が目の前を通りがかった。その瞬間、啓子は自分の夫の戦死の知らせかもしれないと酷く怯えた。それは杞憂に終わったが、その様子を見ていた陽子は夫が戦地にいることの恐ろしさを初めて知るのだった。

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NHK『おひさま』第60回

昨夜は3ヶ月ぶりにリゾラ・フェリーチェでお食事をし、自分たちの結婚記念日を覚えていない某夫婦に「なんでアンタのblogに記録がないの!?ちゃんと書いておいてよ」みたいなメチャメチャな文句を言われたような気がしたり、しなかったりする当方が、NHK朝の連続テレビ小説『おひさま』の第60回目の放送を見ましたよ。

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第10週「今日だけの花嫁」

育子(満島ひかり)と真知子(マイコ)が遊びに来た。陽子(井上真央)は女学生に戻ったかのように大はしゃぎだった。

結婚1日で和成(高良健吾)が出征したことについて聞かれた陽子は、通常の寂しさとは少し異なる感情だと答えた。初めて会ってから間もなかったので、長く一緒にいた者を失う寂しさとは違うのだという。もっと一緒に居たかった、もっと話をしたかったという、不思議な寂しさなのだという。

次に、4年ぶりに再会した育子の近況が報告された。彼女は婦人雑誌の編集部で大活躍しており、夫や息子を戦地に送り出した女性たちのことを記事にしているのだと語った。しかし、それは育子のホラ話であり、実際には苦しい代筆屋であった。
育子はお手洗いに行くふりをして、家の物陰でひっそりと泣いた。幸せそうな親友たちと自分の落差を見せつけられて悲しくなったのだ。しかし、すぐに涙を拭いて、自分を奮い立たたせて、座敷に戻った。
その間、陽子と真知子も、育子のカラ元気に気付いていた。詳しくはわからないが、東京でうまくいっていないだろうことに気付いた。けれども、育子の話に合わせて、彼女をがっかりさせないように務めた。

時を同じく、丸庵に飯田(近藤芳正)が来店した。彼が陽子の英語教師だったことを知っていた徳子(樋口可南子)は、陽子らに引きあわせた。
当時、英語は敵性語として使うことが禁じられていた。そのため、飯田は職を失い、繊維工場で働きながら細々と暮らしていた。陽子たちに再会しても、気詰まりで、居心地が悪そうだった。

育子は、自分たち3人が親友になれたのは飯田のおかげだと話しだした。飯田が嫌な教師で、それに対抗するために3人で結託したことなどを明るく滔々と語った。陽子と真知子は、育子の遠慮のない物言いを止めようとしたが、飯田は自分でも誰かの役に立ったこともあったのだと涙ぐんだ。教師になって良かったと涙ぐんだ。

陽子たちは、卒業式で飯田に貰った言葉を飯田に返した。
「Well ladies, enjoy your life. 女性たちよ良き人生を。」
敵性語の英語を使い、飯田も良き人生を送れるようにとエールを贈った。
飯田はますます感激し、いっそう涙を止めることができなくなった。

楽しい時間も終わり、育子は東京に戻っていった。

ある日、隣組で消火活動訓練が行われた。丸庵が会場となり、バケツでじゃばじゃばと水をかけた。あまりに無茶苦茶に水をかけたため、その日は一晩中天井から水が漏れ続けた。

洗面器に落ちてくる水音で、陽子は眠れなかった。
暗い部屋の中に、和成の幻影を見た。しずくを額に受け、苦笑する和成の姿が見えた。
陽子はますます眠れなくなった。和成のことを思い、布団をかぶってしくしくと泣くのだった。

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