NHK『カーネーション』第125回

今日は逆旧ドリカム状態(現代風に、もしくは厚木に住む者として言うならば逆いきものがかり状態の方がしっくりくる)でデート(デート?デートなのか!?)をする予定であり、自分はなんと果報者なのだろうかと思えば、「尾野真千子、高橋一生と同棲…2年前から交際」(サンスポ)という記事を読んだところで少しも堪えることはない、ていうか、山瀬まみだって中上雅巳と3年近く同棲をしていた(しかも、全く報道されなかった)のだから今さら何が起きても驚かない当方が、NHK朝の連続テレビ小説『カーネーション』の第125回目の放送を見ましたよ。

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第22週「悔いなき青春」

大晦日に、聡子(安田美沙子)が家族の前でロンドンへ行くことを宣言した。糸子(尾野真千子)はすぐにそれを許可した。優子(新山千春)と直子(川崎亜沙美)に責め立てられ、小さく縮こまっている聡子のことがかわいそうで仕方がなかったのだ。
思ってもいないのに、つい勢いでロンドン行きを許可してしまったというのが本音だった。

年が明けて、1973年(昭和48年)1月。
糸子はすぐに昌子(玄覺悠子)と松田(六角精児)に報告した。年末までは聡子に店を譲ることで話がまとまっていたのに、急に反故になってしまったことにふたりは驚いた。
聡子までいなくなったらオハラ洋装店の跡取りが完全になくなる。店をどうするつもりかと聞かれ、糸子は自分が最後まで店を続けると話した。そして、自分の手で店をたたむ覚悟であることを告げた。
みんなの前では強がっている糸子だったが、自分の店が一代限りでなくなってしまうことは心苦しかった。

繊維商業組合の三浦組合長(近藤正臣)にも事の次第を報告に向かった。新年の挨拶もそこそこに、跡取りが無くなったことを話そうとするのだが、三浦は気もそぞろでまともに聞いてくれない。

なんと、つい数分前まで、事務所に周防(綾野剛)がいたのだという。周防は岸和田を去る挨拶に来ていたのだという。子供は全員独立し、妻にも先立たれた。一人ぼっちになった周防は、生まれ故郷の長崎に帰りたくなったのだという。長崎の田舎に一軒家を買い、畑をやりながらゆっくりと暮らすつもりなのだという。
その話を聞いているうちに、糸子は泣き出してしまった。周防の心境を思いやると悲しくて仕方がなかった。家族と離れ、歳をとってから見ず知らずの人間関係の中で、新しい生活を一人で組み立てることの寂しさを思うといたたまれない気持ちになったのだ。三浦は、人のいい周防のことだからきっとうまくやれる、むしろ近所のおばさんたちがおせっかいを焼きに来るだろうと軽口を言うのだが、糸子はさめざめと泣き続けるのだった。

北村(ほっしゃん。)は聡子に会って、彼女のロンドン行きについて詳しく話を聞いた。何かと頼りない聡子が一人で異国に行って暮らしていけるのだろうかと心配でならないのだ。けれども、聡子は全てを楽観的に捉えていた。あてはないけれどロンドンに行き、まずは語学学校に通いながら仕事を見つけるのだという。犬がどこでも暮らしていけるのと同じように、自分も大丈夫だなどと子供じみたことまで言い出す始末だった。北村はもうそれ以上何も言えなくなってしまった。

北村は話題を変えて、糸子の好きな花を聡子に尋ねた。

早速、赤いカーネーションをたくさん持って、北村は糸子に会いに来た。家族が寝静まった後、北村と糸子はゆっくりと静かに酒を飲み交わした。北村の様子がいつもと違うことに気づいた糸子は、話をするよう促した。

北村は優子の話を始めた。
優子の心斎橋出店については北村が融資した。融資の際、北村は冗談半分で、優子が成功したら独占契約を結びたいと言っていた。実際に優子の店は太繁盛し、その時の約束を優子が履行したのだ。北村と優子は東京に進出することを決めたという。

娘のことながら、その話は糸子には初耳だった。暮れに優子が帰省した時も何も言っていなかった。
優子が東京に行くと知って、糸子は優子の家族の事が心配になった。優子の夫(内田滋)は大阪で働いているはずだし、どうするのかと思った。そういえば、暮れに夫が顔を出さなかったことも思い出した。
北村によれば、優子の夫婦仲は冷え切っているという。優子本人は、離婚したがっているという。

そこまで話を聞いて、糸子は北村が花を持って話に来た訳を理解した。優子と北村が不倫をしており、その報告と謝罪に来たのだろうと思った。ふたりは大阪から逃げるように東京へ行きたがっているのだ。

もちろん、それは糸子の早合点だ。
北村は冷静に不倫を否定した。むしろ、小さな頃から知っている優子と男女関係になるなど考えられないと怒った。言われてみれば確かにその通りで、糸子も自分の勘違いがおかしくて吹き出してしまった。

北村は居住まいをただした。そして、自分と一緒に東京へ行くことを提案した。それは、北村なりの求婚の一環だった。けれども、勘の悪い糸子は、何をしに行くのか、旅行か?などと的はずれな反応しか示さなかった。

はっきりと本心を伝えられない北村は、東京の新会社の副社長になって欲しいとしか言えなかった。糸子は渋った。どうしても一緒に上京したい北村は、即座に社長就任でも良いという条件を出した。
糸子は完全に仕事の話だと思い込んでいる。北村の申し出に感謝しつつも、考える時間が欲しいと答えるのだった。

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NHK『スタジオパークからこんにちは』 ゲスト尾野真千子

NHK『カーネーション』第124回

関東地方は未明から降雪に見舞われ、車の運転は危険だし、バスを利用して交通混雑に加担する必要もあるまいという判断、さらに、出社しなければできない作業もない(雪を見越して昨日のうちに片付けた)ので会社を休ませてもらうことにしたわけであり、本日13:05からのNHK『スタジオパークからこんにちは』のゲストが尾野真千子であることは単なる偶然であり、それを見るために休むのではないと言い訳する当方が、NHK朝の連続テレビ小説『カーネーション』の第124回目の放送を見ましたよ。

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第22週「悔いなき青春」

余命半年と宣告された玉枝(濱田マリ)であったが、結局それから1年8ヶ月も生き長らえた。その間、玉枝は死ぬことが怖くないと言い続けた。早くに亡くした夫や、戦争で亡くした二人の息子(須賀貴匡尾上寛之)があの世で待っていてくれると思えば、何も恐れることはないというのだ。自分の死を自然に受け入れることができて、むしろ入院前よりも元気になったほどだった。同じように夫(小林薫)を亡くしている千代(麻生祐未)は、玉枝に強く同意した。

対して糸子(尾野真千子)は、彼女らの言っていることの真意が理解できなかった。けれども、老婆たちが達者なことは嬉しくて、頼もしいことだった。
しかし、1972年(昭和47年)9月のある朝、ついに玉枝はこの世を去った。八重子(田丸麻紀)は、介護から解放された安堵と、実の親以上に付き合いの長かった玉枝の死去に放心状態になってしまった。駆けつけた糸子は、八重子をねぎらうように何も言わずに肩を抱いた。

その年の冬頃には、聡子(安田美沙子)は周りからも認められるほどの実力者になっていた。糸子の下で働くのと並行して、優子(新山千春)や直子(川崎亜沙美)の店へも頻繁に手伝いに行っていた。今でも主な仕事は姉の店の売れ残りを岸和田で売るというものだったが、多くの経験を積むことでデザインや経営のノウハウも蓄積していた。

聡子本人は相変わらずのん気な態度で仕事をしていたが、昌子(玄覺悠子)や松田(六角精児)によれば、周囲の適切な手助けさえあれば、もう店を任せても安心だという。その意見を受け入れ、いよいよ糸子も聡子に店を譲ることを決めた。

年の瀬になり、糸子は聡子に代替わりのことを切り出した。大仰に言い過ぎると失敗すると考えた糸子は、ふたりでクリスマスケーキを食べている時に、何でもない風にさり気なく話し始めた。すると、聡子はケーキに夢中なままで生返事しかしない。不安になった糸子は、もう一度はっきりと聡子に意思の確認をした。それでもやはり暖簾に腕押しであった。けれども、それはいつもの聡子の態度であり、役割さえ与えてやれば立派に全うするのが聡子の性分なので、あまり気にしないことにした。
聡子が代替わりを承諾したものと見なし、年明けから聡子を店主とすることで準備を進めていった。

大晦日に優子と直子が帰省した。糸子は家族が全員揃ったところで、改めて聡子へ店を譲ることを発表した。上の姉たちはその考えに大賛成だった。しかし、聡子は紅白歌合戦に熱中していて、話に加わろうとしなかった。

そして突然、聡子は素っ頓狂なことを言い出した。ロンドンに行くつもりだというのだ。身寄りのない土地で、誰に頼ることもなく、一から自分の好きなことをやりたいという。それには家族一同驚いた。

いつも反対のことばかり言う優子と直子も珍しく意見が一致した。英語もできない聡子がロンドンで生活できるはずがない、ただでさえ頼りない聡子が異国で一人で暮らしていけるわけがないなどと猛反対した。姉たちの売れ残りを売るのが不満なら、それはもうやらせない。岸和田で自分の好きなようにデザインした服を売ればよいと言いくるめようとした。

しかし、聡子の決意は固かった。
厳しい表情で成り行きを見守っていた糸子は、一言恫喝して優子と直子を黙らせた。そして、聡子のロンドン行きを認めた。厳しい表情を崩すことなく、好きにすればいいと聡子に告げるのだった。

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NHK『カーネーション』第123回

現在ドラマの中では1970年なので、ついに山瀬まみ(1969年生)のいる時代が描かれ始めたのだなと感慨深く思っている当方が、NHK朝の連続テレビ小説『カーネーション』の第123回目の放送を見ましたよ。

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第22週「悔いなき青春」

葬式帰りで酔っ払った北村(ほっしゃん。)が誰かの死を伝えに来た。しかし、糸子(尾野真千子)がいくら聞いても誰が死んだのかは話さずに帰ってしまった。

おそらく泉州繊維商業組合の関係者の誰かだろうと思った糸子は、組合長の三浦(近藤正臣)に聞いてみた。三浦によれば、死んだのは周防(綾野剛)の妻だという。三浦は、北村が自分で糸子に伝えたいと言っていたので任せたという。まさか北村がきちんと報告していなかったとは想像していなかったが、三浦は北村の糸子に対する恋心を思えばその行為にも合点が行った。

糸子自身は、北村の秘めた思いよりも、周防のことで頭がいっぱいになった。
周防との出会いと別れからすでに20年近い年月が経っていた。糸子が周防に月賦で売った店(第97回)の支払いは2年前に完済しており、それからは直接的にも間接的にも関係はなくなっていた。周防自身や彼の家族がどうしているか、糸子には何もわからなくなっていた。
その夜、糸子は眠れなくなった。目をつぶれば瞼には周防の姿ばかりが映った。思い返せば、周防と一緒に過ごした時間よりも、彼のことを思い出す日々の方がずっと長くなってしまっていたのだ。

オハラ洋装店では、聡子(安田美沙子)が若い女性客らと良好な関係を築いていた。購入を迷っている客も、聡子がうまく勧めると納得し、喜んで買っていった。

糸子は、再び自分の引退の時期について考え始めた。
しかし、昌子(玄覺悠子)や松田(六角精児)は、今の聡子に店を譲ることには反対だった。彼女はまだまだ経営者の器ではないどころか、半人前もいいところだというのだ。松田の見立てでは、一番商売が上手いのは優子(新山千春)だという。彼女の手腕は糸子をも凌ぐという。彼女に大きく水を開けられて糸子と直子(川崎亜沙美)が位置し、そのふたりよりもさらにずっと経営者として劣るのが聡子だという。糸子は頭を抱えた。

糸子と昌子は、聡子に婿を取ろうと意気投合した。事務や経理に明るい(そして男前な)夫を取り、店を任せようと考えた。考えてみれば、聡子は男友達が多く、いろんな青年を家に連れてくる。彼らの中から選べば良いかもしれない。
しかし、よくよく考えなおせば、聡子の友達には碌なのがおらず、店を任せられそうにない。あほの聡子の周りはあほばかりだといって、その計画も棚上げになった。糸子が引退できるのはまだまだ先になりそうだった。

八重子(田丸麻紀)が深刻な様子で訪ねてきた。玉枝(濱田マリ)の体調がすぐれないので病院で検査したところ、余命が半年ほどだと宣告されたという。そのまま入院することになったという。

その話を聞いてから、糸子は2日に1度の割で玉枝を見舞った。
いつも家の夕食のおかずを重箱に詰めて持参し、つとめて明るい話ばかりをした。玉枝も糸子の見舞いをたいそう喜んだ。ふたりはいつでも穏やかで幸せな時間を共有した。

ところがある日、糸子が病室に入ると玉枝は体を起こそうともせず、厳しい表情で天井を睨んでいた。玉枝は待合室のテレビで戦争の事実を伝える番組を見たのだという。そこでは、日本軍が戦地で行った悪行について取り上げられていた。
これまで玉枝は、戦地へ行った息子・勘助(尾上寛之)の気がふれてしまったのは、彼が戦地でひどい目に合わされたせいだと信じていた。ところが、テレビを見てそれは反対だと知ったのだ。勘助ら日本軍の方こそが加害者だったのだ。

玉枝は自分の信念が誤りであったこと、他人に対して優しかった勘助が戦地でどんなことをしたのか、その結果どんな苦しみを受けたのかと思うと悲しくてならなかった。それは糸子も同じだった。ぐっとこらえる玉枝の前で、糸子は嗚咽を漏らした。
玉枝は糸子の頭を優しくいつまでも撫で続けた。

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NHK『カーネーション』第122回

クランクアップセレモニー」におけるコメントを見るかぎり、夏木マリばかりがそれらしいことを言っていて、尾野真千子がこのドラマのヒロインだとは信じられなくなってしまう当方が、NHK朝の連続テレビ小説『カーネーション』の第122回目の放送を見ましたよ。

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第22週「悔いなき青春」

1970年(昭和45年)4月。
31歳になった直子(川崎亜沙美)は、5歳年下の大輔(森下竣平)と結婚した。今や日本を代表するデザイナーの1人で、「サイケの女王」の異名を持つ直子の結婚はマスコミでも大きく取り上げられた。直子が2年前に開いた原宿のブティックに糸子(尾野真千子)ら家族や親しい人々を集めて、派手なパーティーが催された。ただし、斎藤(郭智博)だけは仕事のため来ることができなかった。

パーティーの翌日、新聞を見ると斎藤が日本人として初めてパリコレに参加したことが記事なっていた。直子はファッションの世界で斎藤に先をこされたのが悔しかった。しかも、それが自分の結婚パーティーの翌日に報道されていることに腹を立てた。そして、その悔しさをバネにしてますます仕事に打ち込むのだった。

直子の店は話題性と評判に恵まれ、客で連日賑わった。人気歌手のジョニー(浅利陽介)や売り出し中の女優・白川ナナコ(村上東奈)といった有名人も出入りしていた。
ところが、糸子が帳簿を調べたところ、表面上は人気店であったが、経営は軌道に乗っているとは言いがたかった。仕入れたものの、気に入らなくて全く使わなかった生地などの無駄が大量にあったのだ。糸子は、直子のデザイナーとしての腕前は大いに認めたが、経営者としては呆れ返ってしまった。本人に行っても無駄なことを知っている糸子は、夫の大輔に直子と店のことを託して岸和田に帰った。

オハラ洋装店には月末ごとに優子(新山千春)や直子から小包が届く。心斎橋や原宿の店で売れ残った品物を岸和田で売るためである。オートクチュール(オーダーメイド)店である優子からは余った生地が送られてくる。それはそのまま店の在庫となる。

一方、プレタポルテ(高級既製服)店である直子から送られてくるのは、売れ残りの服である。それはそのままオハラ洋装店の店頭で売られる。売るためには価格を決めなければならないが、それは糸子が一手に引き受けた。直子からは定価が知らされているのだが、糸子はそれを無視して半値以下で売る。岸和田では直子の作る奇抜な服を求める客は少なく、たたき売りでもしない限り買ってもらえないという考えだ。

ところが、糸子の予想に反して、若い女性客に直子の服は人気だった。そしてまた、聡子(安田美沙子)はそうした客に売るのが上手かった。聡子は糸子が決めた価格より高い値段でそれらの服を売った。
糸子は聡子の手腕に感心し、同時に、客の求めるものがわかっていない自分を情けなく思った。そして、商売はいつまで経っても難しいものだと思い知らされるのだった。

ある夜、居間でくつろいでいると誰かが勝手口を叩く音が聞こえた。糸子が様子を見に行くと、落ち込んだ様子で北村(ほっしゃん。)が立っていた。いつものように千代(麻生祐未)が家にあがっていくように誘っても、北村は頑なに拒否した。
そして、「死んだ」とだけ一言告げて、トボトボと帰って行ってしまった。誰が死んだのか聞いても、北村は答えなかった。

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映画『バグダッド・カフェ』

山瀬まみがラジオ番組(ニッポン放送『ごごばん!』2011年11月4日放送分)で生涯で2番目に好きな映画として『バグダッド・カフェ』を挙げていた。好きな人が好きだといっている映画なので見てみた次第。

きっといい映画なんだろうなと、は思う。でも、僕にはちょっと退屈だった。
ただし、山瀬まみがこの映画の「世界観と映像」がお気に入りだと言っていた訳はわかったように思う。確かに、独特の世界観と映像には引き込まれる。

そして、主題歌であり、劇中で何度も流れる “Calling you” (Jevetta Steele)もいい曲ですね。
この映画の主題歌だとは知らなかったけれど、曲自体は昔から知っていた。George Micheal のカバー版を持ってる(”Five Live”に収録されている)。

NHK『カーネーション』第121回

今週、人権問題啓発ドラマ(タイトル、製作時期等不明)を見たのだが、同和地区出身者を演じたはりた照久という役者さんの名前に見覚えがあるなぁと思っていたら、糸子に300坪のテントを発注した男性を演じていた人だとわかって(第45-46回に登場)、思わずニヤリとした当方が、NHK朝の連続テレビ小説『カーネーション』の第121回目の放送を見ましたよ。

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第21週「鮮やかな態度」

1965年(昭和40年)3月。
オハラ洋装店の隣で履物屋を営む木岡の妻(飯島順子)がやって来た。最近、若い男達が決まって同じような靴を探しに来るが、彼女にはそれが何かわからないというのだ。糸子(尾野真千子)は、それがローファーという靴だと教えてやった。男性の間ではアイビールックが大流行しているのだ。

糸子は、北村(ほっしゃん。)がアイビールックにいち早く目をつけていたことを思い出した。話を聞くと、確かに昨今のアイビーブームで北村は大儲けしたという。しかし、その儲けは同時に手がけていたデザイナー育成計画につぎ込んで失ってしまったという。

聡子(安田美沙子)が、村山(染谷有香)という客の注文を受けた。聡子が糸子に見せたデザイン画はまたしても丈の短いスカートだった。初めての仕事で同じような提案をして客(末成由美)にこっぴどく叱られたのを懲りていないらしい。正直、糸子にはそのデザインが良いのか悪いのか判断がつかなかった。自分の感性には合わないが、若い人達はそれを好むかもしれないと思うのだ。
聡子には、客に提案して直接意見を聞くよう指示した。

客の村山は、やはり短すぎるスカートに難色を示した。自分の足を露出するのは恥ずかしいというのだ。けれども一方で、本音では履いてみたいのだという。
糸子は、店に顔を出したサエ(黒谷友香)にも意見を求めた。サエによれば、女はきれいな部分を見せたがっているに違いないと述べた。自分が初めて糸子に作ってもらったイブニングドレスの背中が大きく空いたデザインを引き合いに出し、自慢の背中を見せることができたことが嬉しかったと思い出を述べた。
さらに、パリを旅行中の直子(川崎亜沙美)から電話がかかってきた。パリではミニジュップという丈の短いスカートが大流行しているというのだ。元々ロンドンで流行っていたものを、クレージュが春に発表し、瞬く間に爆発的流行になったという。

これらの話から、糸子は時代が変わったことを感じ取った。日本でも確実に流行すると直感した。親に叱られようが、嫁に行けなくなろうが、若い女の子たちがこぞって履きたがるだろうと予想した。

心斎橋の優子(新山千春)の店が開店した。記念パーティーにはパリから帰国した直子を初め、多くの人々が集まった。

その場で糸子は、北村にミニスカートを作って売るよう説得した。糸子が最近学んだ時代の変化を伝え、聡子が実際に着用して見せた。優子や直子も後押しした。口は悪いが女性に弱い北村は、初めて見る聡子のミニスカート姿を恥ずかしがり、狼狽した。女たち4人に詰め寄られ、もじもじしているうちに彼女らの提案を受け入れざるを得なくなってしまった。

それから1年も経たない、1966年(昭和41年)4月。
糸子の予言通り、日本でもミニスカートが大流行した。街中がミニスカートだらけになった。女の子たちは、これまで隠されていた自分の足を露出させ、とても嬉しそうにしていた。デザインの大変革とブームの大爆発によって、ファッション下克上と言われるほどの事件となった。

糸子らのアドバイスに従ったお陰で、北村もビジネス・チャンスを逃すことなく大儲けした。
しかし、未だに北村は恥ずかしがってばかりいる。街を歩いてもどこを見ていいのかわからないという。そのことを糸子にからかわれてばかりいる。

糸子は世の大変化を感じ取り、ワクワクしていた。時代がどんどんと変わっていくことを心から楽しんでいた。

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大江健三郎の妻は伊丹十三の妹

今、NHK BSプレミアムの『こだわり男とマルサの女』という伊丹十三の特集番組を見ている。見ながら思い出したのだが、伊丹十三の妹の夫というのが大江健三郎だ。伊丹十三と大江健三郎は義兄弟になる前、若い時分から友達同士だったそうだ。ふたりが交流する中で、大江健三郎は自分の理想の女性像を完成させたという。

そのエピソードが東海林さだお・椎名誠(2000)『やぶさか対談』に掲載されていることを思い出した。

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NHK『カーネーション』第120回

昨夜は巨乳未婚女性を前にして確固たる自制心を必要とする夜だったわけだが、アルコールをいつもより多めに摂取してしまい「まぁいいや、もうなるようにしかならんし」と半分理性が飛びかけたのだが、アルコールのせいでぐでんぐでんになってそのまま朝まで熟睡してしまったので、結局は己に打ち克つ結果となった当方が、NHK朝の連続テレビ小説『カーネーション』の第120回目の放送を見ましたよ。

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第21週「鮮やかな態度」

優子(新山千春)はオハラ洋装店の手伝いをやめて、独立して心斎橋で店を始めたいと言い出した。北村(ほっしゃん。)に物件の紹介と融資を受けるのだという。糸子(尾野真千子)と自分の2つの個性が店でぶつかり合っていては、従業員たちも仕事がやりにくいだろうと言うのだ。

2人の個性が衝突し、周囲がやりにくそうだという見立ては糸子も同じだった。しかし、糸子の計画では自分が引退して、優子に店を譲るというものだった。それが反故にされようとしているのだ。すでに店の古株の昌子(玄覺悠子)と松田(六角精児)にも大見得を切っている。今さら計画を引っ込めるのはかっこ悪くて、きまりが悪い。優子の自由にはさせないつもりだ。
糸子は感情を隠そうともせず、自分の計画を台無しにされたと怒りを露わにした。

しかし、優子の意思は固かった。
自分は東京で実力をつけ、進むべき道も見つけた。しかし、オハラ洋装店にいては自分のやりたいことの半分も発揮できない、生きながら死んでいるようなものだと泣きながら訴えた。

糸子はもう何も言わなかった。好きにしろと告げて、家を出ていってしまった。糸子の怒りの源泉は自分のカッコ悪さだった。家長であり店主である自分がないがしろにされている状態が気に入らないのだった。

翌日、糸子は仕事中の優子を店の裏に呼び出した。そして、突然、店から出ていけと告げた。
糸子が言うには、新規店舗の準備は片手間にできるものではない。本気で店をやる気なら、そっちに集中しろと言うのだった。そして、自分は優子の力を借りなくても平気だとたんかを切った。
それが糸子なりのけじめだった。善作(小林薫)が自分にしてくれたように、厳しさを装いながらも優しく娘の独立を見届けることができた。当初の計画とは違ってしまったが、カッコよく送り出すことができたと安堵するのだった。
そして、聡子(安田美沙子)を店の跡継ぎにするなら、まだしばらくは糸子が一線で働ける。それはそれで嬉しいことだった。

ところが、優子の独立は不安の幕開けだった。
店の開店前、内装工事の問題すら優子は自分で解決できなかった。内装工事の職人らは女の優子をなめてかかっている。それに対して優子は何も言えず、手を抜かれるばかりなのだった。糸子に解決を依頼した。糸子は現場監督(酒田かおる)に怒鳴りたて、睨みを利かせることで、なんとか優子の希望を通すことができた。
一方で、優子に対しても激しく説教するのだった。これくらい言えないと女店主は務まらないと叱った。

1965年(昭和40年)元日。
直子(川崎亜沙美)が帰省した。優子は直子に東京の店の様子を聞いた。しかし、直子はまともに答えようとしない。売上が悪いのだろうと思いしつこく聞く優子に、ついに直子は店をやめると白状した。年明けに店をたたんで、パリに行くのだという。

優子は無責任に店をやめようとする直子を罵った。それには直子も黙っていなかった。昔からオハラ洋装店を継ぐと言っていた優子が心斎橋に店を開くのは話が違うと言い返した。ふたりは大げんかを始め、優子は泣かされ、直子は家を出ていった。
糸子は呆れるのだった。

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NHK『カーネーション』第119回

巨乳未婚女性がまたひとりこの世から消えたということをついさっき突然知り、昨日のうちに準備していたマクラをふっ飛ばして差し替えるほど動揺したりガッカリしたり下心ありで奢ったジンギスカン代返せと叫んでいたりしているものの、かろうじて泣き笑いしながら「よかったね。おめでとう。どうぞお幸せに。」とお祝い申し上げる当方が、NHK朝の連続テレビ小説『カーネーション』の第119回目の放送を見ましたよ。

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第21週「鮮やかな態度」

1964年(昭和39年)11月。

糸子(尾野真千子)は外に出て店の看板を見上げていた。善作(小林薫)から店を譲られた日(第42回)のことを思い出していた。夕方に家に帰ってくると店の看板が下ろされていた。祖母(正司照枝)以外の家族は全員消えていた。「小原洋装店」という看板を置き土産に、善作は何も言わずに身を引き、店を糸子に譲ったのだ。

近頃の糸子は、自分の引退のことばかり考えている。どうやって優子(新山千春)に店を譲ろうかと悩んでいる。
できれば、善作のように何もかも捨てて、カッコよくある日突然消えてしまいたいとすら思った。しかし、残される従業員や顧客のことを考えると、そのように無責任で不義理な行為はできないと思いとどまった。少しずつ、ゆっくりと代替わりしていくほかないと考えなおした。

東京では、優子と直子(川崎亜沙美)の仲がかつてないほど険悪になっていた。優子の娘・里恵がいるので手狭になったという理由で直子は別に部屋を借りて住み始めたのだが、仕事を離れてまで顔を合わせたくないというのが2人の本音だった。店ですら、2人は直接口を聞くのを避けた。どんな短い用事でも、従業員(福坂恵梨)に伝言させるのだった。

そんな中、直子は話があるといって、仕事帰りに優子のアパートに立ち寄った。それには仕事で東京に来たという北村(ほっしゃん。)も一緒だった。直子は、北村の紹介で心斎橋に新しい店を開くと切り出した。東京の店は優子に譲るのだという。
当然、優子は反対した。東京の店は直子のものであり、自分は単に手伝いに過ぎない。しかも、従業員や客を突然放り出すのは無責任にも程があると叱った。直子の言い分は、今や優子の売り上げの方が圧倒的に多いので心配はないというものだった。押し問答の末、直子は優子のことが目障りなのだと泣きながら本音を言った。優子のいない所で、自分の力だけで店をやりたいというのだ。
それを聞き、本来の筋を通すため、優子が身を引くことになった。優子が岸和田に帰ることになった。

優子の帰郷を受け、糸子は今こそが自分の引き際だと決断した。
まずは昌子(玄覺悠子)と松田(六角精児)を喫茶店に連れていき、自分が退くことを打ち明けた。東京で鍛えられた優子は、今やデザインや経営について糸子に匹敵する実力を有している。店の中に実力者が2人もいると、下の者がやりにくいに違いない。故に自分が身を引くというのだ。もちろん、客への責任もあるから、糸子自身も店に出て、優子の下に就くという。

昌子と松田は当然反対し、引き止めた。しかし、糸子の意思は固かった。だんじりを引き合いに出し、役割が次々に代変わりすると話した。だんじりでは誰も文句を言わないし、むしろその潔い交代がカッコいいと説明した。そう説得されて、昌子と松田は応じるしかなかった。

その帰り、糸子は安岡美容室に立ち寄った。八重子(田丸麻紀)にも自分の決意を話しに来たのだ。八重子は糸子の引退を惜しんだ。八重子は糸子が店を始めてからの様子を全て見てきただけに、悲しくて仕方が無いのだ。
糸子は涙を流す八重子を慰めた。自分が引退しても店は続くのだから、何も変わらないのだと言った。それは八重子に向けた言葉でありながら、糸子が自分自身にも言い聞かせるための言葉であった。
日がくれて、糸子は家に帰ってきた。もう一度、店の前で看板を見上げた。上を向いているのにも関わらず、涙が溢れ出て頬を伝った。

涙を拭って家に入ると、北村が上がり込んでいた。
北村の隣には優子が座っており、あらたまった様子で糸子に話があると切り出した。

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